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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.170

インド映画はすごいんど!  世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!!

robot01.jpg映画大国インドからやって来た、
超ミラクルお祭りムービー『ロボット』。浮世の憂さを
きれいさっぱり洗い流してくれます。

 「インドに行くと人生観が180度変わる」という言葉は本当だった。インドへ行かずとも、世界興収100億円のメガヒットを記録したインド映画『ロボット』を観るだけで、映画の文法だとか映画的リアリティーだとかを気にする映画マニアの固定観念はガラガラドッシャ~ンとぶっ壊されてしまう。まさに、インド映画はすごいんど! 『ロボット』の主演は、インドの誇る“スーパースター”ラジニカーント。1990年代のミニシアターブーム体験者には懐かしい『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95)のラジニ兄貴は御年62歳ながら、まだまだヨガパワーで健在だ。ヒロインはミス・ワールド国際大会での優勝歴を持つ世界一の美女アイシュワリヤー・ラーイ。でもって『ターミネーター』(84)シリーズで知られるハリウッドきってのCG工房スタン・ウィンストン・スタジオ(現レガシー・エフェクツ)がSFXとロボットパートを担当。年間の映画製作本数が1000本を越える映画大国インドの底力とハリウッドの最先端技術が化学融合したミラクルムービーなのだ。

 歌って踊って恋をして……というインド娯楽映画の伝統を、『ロボット』はIT大国でもあるインドの世情を反映して、超ハイテックにアレンジ。だが、物語は極めてシンプル。天才科学者バシー博士(ラジニカーント)は10年の研究の末に画期的な高性能ロボット・チッティ(ラジニカーント2役)を完成させる。科学委員会の承認を得るため、バシー博士はチッティに善悪の判断ができるように細やかな感情をインプット。ところが人間と同じ感情を持つようになったチッティは、バシー博士の恋人サナ(アイシュワリヤー・ラーイ)に横恋慕。自分は年老うこともなく、永遠にサナを愛し続けると誓うチッティ。ここに超メタル仕様かつベタな恋愛三角バトルが勃発する。でも、なんでこんなシンプルな物語で、世界興収100億円を越える大ヒット作となったのか?

robot2.jpg結婚を控えたバシー博士(ラジニカーント)と
医大生のサナ(アイシュワリヤー・ラーイ)。
実年齢でラジニ62歳、アイシュ38歳ですが、
映画の世界では年齢は関係ありません。

 物語に目新しさはなく、その上、『ターミネーター』や『トランスフォーマー』(07)といったハリウッド大作から、綾瀬はるか主演の珍作『僕の彼女はサイボーグ』(08)までどこかで見たようなデジャヴ感のあるシーンが満載。『ロボット』はパクり映画なのか? いや、違う。アイデアに枯渇したハリウッドや日本映画が人気コミックやTVドラマに題材を求めた安易な映画もどきや過去のヒット作の焼き直しを粗製濫造しているのに対し、『ロボット』はあらゆる映画の名シーンやアイデアを貪欲に取り込んだ上で、観客を徹底的に楽しませることに奉仕した尋常ならざるサービス精神で貫かれている。画期的なロボット・チッティが世界各国で開発された部品や回路を組み合わせて誕生したように、映画『ロボット』も古今東西のエンターテイメント映画の粋を集めた結晶体なのだ。

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