AV誕生から30周年の思い出をAV好き作家・高橋源一郎とAVライター・安田理央がアツく語り合った!!
#アダルト #インタビュー #高橋源一郎
■文学は黒木香にかなわない?
高橋 いちAVファンとしては、「ミス本番」シリーズを追っかけてたでしょ。で、ほどなくして黒木香の『SMっぽいの好き』(86年/クリスタル映像)が出て、2度目の衝撃を受けた。すごい淫乱で、びっくりしたよね。
安田 監督の村西とおるさんに聞いたんですけど、当時は「女が淫乱」っていうAVなんてウケないだろう考えて、お蔵入りしかけたらしいんです。でも、その頃村西さんのところに出入りしてた警察官に絶賛されて、出してみたら大当たりしたという。まあ、村西さんだから話を盛ってるかもしれませんが(笑)。
高橋 あれは新しい表現だったよね。AVは本来オナニーのためにあるんだけど、はっきりいってあれじゃヌケないよ(笑)。だって気持ちよくなったらホラ貝を吹くって、爆笑するしかないでしょ。悲劇や死はセックスと結びつくけど、笑いとセックスは結びついたことがない。日本ではね。ほんとまいった。僕は、これ見たとき、「文学はこれにはかなわんな」って思った(笑)。
安田 実は、残念ながらこの2作品は、諸事情で「AV30」には入れられなかったんですよ。80年代の作品で収録されてるのは、一番古い人で84年の竹下ゆかり、あと主立ったところでは小林ひとみ、桂木麻也子、斉藤唯、葉山みどり、立原友香、美穂由紀、豊丸……。
高橋 全員見てる(笑)。特に、豊丸は強烈だったね。ここまでくると、もはや人間を超えてる。黒木香はまだ人間だったけど(笑)、豊丸は「何? セックスロボ?」って感じ。それまでの日本にはなかった洋ピンのノリで、しかもアソコがブラックホールみたいなんだもん。
安田 フィストファックしたり大根入れたりしてましたからね。この豊丸と同時期に葉山レイコが『処女宮 うぶ毛のヴィーナス』(88年/h.m.p)でデビュー。さらに89年に松坂季実子や樹まり子、90年に桜木ルイや星野ひかる、あいだももなんかが登場して、ひとつのAV黄金時代を迎えます。
高橋 「処女宮」シリーズもクオリティ高かったよね。宇宙企画の美少女モノにぶつけてさ。
安田 僕は、この頃ビデオ業界誌の仕事をしてたんですけど、あるときゴールドマン監督の作品にハマって、無理やりインタビューしにいったんですよ。そこからカンパニー松尾さんやバクシーシ山下さん、平野勝之さんといったV&Rプランニングの人たちと付き合うようになったんです。90年前後は、そういう異端の企画モノ作品が花開いた時期でもありますね。
高橋 バクシーシ山下さんの『ボディコン労働者階級』(92年)とかね。V&Rはアウトサイダーだったよね。
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