カレル・ヴァン・ウォルフレンが語る孫正義──彼は歴史的な起業家(アントレプレナー)だ!
ジャーナリスト カレル・ヴァン・ウォルフレン
1941年、アムステルダム生まれ。ジャーナリスト、アムステルダム大学名誉教授。90年、『日本 権力構造の謎』(ハヤカワ文庫NF)、94年、『人間を幸福にしない日本というシステム』(新潮OH!文庫)が話題に。最新刊に『日本を追い込む5つの罠』(角川oneテーマ21)がある。
[ソフトバンクと孫正義の評価]
【○】世界的な経済誌でも「NTT独占を打破した人物」として紹介される孫氏は原子力ムラの独占をも打破しようとしている。
【×】なし。
■国際的ジャーナリストがグローバル視点で見たカリスマの本質とは?
私は最新刊の『日本を追い込む5つの罠』(角川oneテーマ21)の中で、TPP、財政緊縮、原発、沖縄、国民の無関心という5つの問題に潜む罠を取り上げました。中でも原発問題に潜む罠は「多種多様な再生可能エネルギー供給源があるにもかかわらず、原子力発電を今後も推進し続けること」だと指摘しました。
この計画を推進すれば、どのような弊害が生じるか、その危険性について、3・11の大震災によって発生した福島第一原発の事故で多くの国民は認識し、彼らは再稼動を望んでいません。(新潟県の柏崎刈羽原子力発電所6号機が定期検査に入り)東電の原発すべてが運転を停止していますが、このまま再稼働せずに脱原発の道を進むと期待する人も多いようです。
しかし、日本には形勢を自らに有利に展開させようともくろむ、多大な影響力を持つ既得権者の勢力が存在します。天下りを目的に現状維持を望む行政機構の一部の役人たち、日本の市場を地域割りで独占する電力10社、助言を与えて報酬を得る学者たち、いわゆる「原子力ムラ」の住人たちです。しかも、彼らは有権者によって選ばれた政治家たちにも支配されない「非公式な権力」なのです。
こうした「非公式な権力」の罠に対し、私が期待しているひとりが、ソフトバンク創業者で社長の孫正義氏です。彼は海外の有力経済メディアにて「NTT独占を打破した人物」として紹介され、世界的に知られたビジネスマンです。私財を投じて「自然エネルギー財団」を設立し、利用されていない農地に大きな太陽光パネルを設置するため、35の道府県と協力関係を取り結ぶなど、彼は現在、日本の、そしておそらくは世界の将来の電源としての太陽エネルギーを普及させるために、最も精力的な活動を展開しています。
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