
10代・20代・30代 それぞれの処女喪失を描く映画『ヴァージン』
#映画
昨年の東日本大震災以降、一時ブームだとされたのが「震災婚」だ。この「ブーム」は、厚生労働省が発表した2011年の人口動態統計で婚姻件数が前年度比の4.3%減だったことから、虚構であることは明らかになった。とはいえ、震災を機に日本人の価値観が大きく変貌しているのは間違いない。それはセックスでも一緒のハズだ。
5月12日から公開される映画『ヴァージン』は、まさに価値観と人生観の変貌する現代を舞台に、女性なら誰もが経験する“ロストヴァージン”をテーマに3人の監督が競作するオムニバス作品である。男性である筆者は想像するしかないが、女性にとってロストヴァージンの経験に対する思いはさまざまなハズ。若気の至りと恥じ入るのか、思い出になるのか、そうした愛憎の入り交じった人生の一大イベントを、本作では10代、20代、30代と、それぞれの世代ごとに焦点を絞って描いていくことになる。

『たまの映画』(2010)などで知られる今泉力哉監督の『くちばっか。』は、10代の好奇心に満ちあふれた少女の、一風変わったロストヴァージンを描く作品だ。ヒロインは、高校2年生の中村翠(佐藤睦)。彼女は、以前、姉の二葉(川村ゆきえ)に告白してフラれた、同級生の市川(田村健太郎)と交際している。そんな翠は、自分が処女であること以上に、いまだに市川が姉のことを好きなのではないかという不安を抱えていた。そして、彼女は市川に処女を捧げる場所に、二葉の部屋を選ぶのだが……。

20代編『ゴージャス・プリンセス』は、一風変わった青春劇から打って変わって、ラブコメテイストで描かれる。ブスで卑屈なヒロインのアズサ(大崎由希)は、モテキャラのリエ(梅田絵里子)とコンビを組む、駆け出しの女芸人だ。容姿がブサイクな上に性格もアレな感じのアズサは当然、処女。ところが、ある日突然、彼女の人生は一変する。生活のために昼間に働いている会社で同僚から、思いがけない告白、それに加えてライブ中にリエから、処女とバラされて大げんかに! 果たして、無事に処女を捨てることができるのか? 『アワ・ブリーフ・エタニティ/OUR BRIEF ETERNITY』(10)の福島拓哉監督が描く、ひたすらハイテンションなロストヴァージンの物語だ。
そして30代編『ふかくこの性を愛すべし』は、『家族X』で高く評価された吉田光希監督が担当。薬剤師として35年間堅実に(あるいは、男にも縁がなく)働いてきた和代(正木佐和)は、ひたすら淡々とした日々を過ごしていた。そんな彼女が出会ったのは、高校生の少年・遼(栁俊太郎)。なんら感情や肉体を突き動かされる衝動を味わったことがなかった彼女は、初めての狂おしい想いの止まない時を過ごすことになるのだが……。
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