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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 千鳥「媚びない心」の切れ味
お笑い評論家・ラリー遠田の【この芸人を見よ!】第106回

千鳥 いよいよ全国区に羽根を広げる「媚びない心」の切れ味

 ただ、千鳥の漫才で最も注目すべきは、その堂々とした姿勢だ。彼らは決して観客に媚びない。大悟は自分が面白いと思うものに対して揺るぎない信念を持ち、それを荒削りな状態でやや無造作に観客にぶつけてみせる。恐らく彼にとって漫才とは、自分の生き方を表現することなのだ。

 だからこそ、大悟の放つボケにはほかの漫才師にはない、生き生きとした魅力がある。それを受け止めて、できるだけわかりやすい形にして観客に提示するのが相方のノブの役目だ。ノブはツッコミという形で常識を提示して、大悟の狂気が暴走するのをギリギリのところで引き留めているのだ。

 千鳥の2人の関係性は、バンジージャンプを試みる人とそれを支える命綱にたとえられる。大悟が無謀にも崖の上から飛び降りると、そんな彼をノブは命綱として必死でつなぎ止めようとする。このスリリングな関係こそが、千鳥の漫才がはらんでいるゾクゾクするような魅力の源泉だ。彼らは、全国区のテレビで自分たちの持ち味である「媚びない笑い」をどこまで進化させることができるのだろうか。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田)

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