人はお下劣な分だけ、強く優しくなれる!? 結婚を控えた女たちの本音『ブライズメイズ』
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もちろん私に任せてよ、と胸を叩いてみせるアニーだが、リリアンが諸々の事情で選んだ4人の花嫁介添え役はかなりの個性派ぞろい。スーパーセレブなヘレン(ローズ・バーン)は、リリアンの婚約者の上司の妻。金銭感覚があまりに違い、やたらとイニシアチブを取りたがる出しゃばりタイプ。アニーにとって唯一の親友であるリリアンを自分の世界に取り込もうとしている。もう1人の要注意人物は、婚約者の妹であるメーガン(メリッサ・マッカーシー)。デヴィッド・フィンチャー監督の『ファイト・クラブ』(99)をこよなく愛する武闘派だ。見るからにトラブルメーカーな匂いをぷんぷんさせているメーガンだが、リリアンにとって義妹になるわけで、介添え役から外すわけにいかない。初対面な上に、ライフスタイルのばらばらなメンバーを束ねて、アニーは大親友の晴れの宴を盛り上げるために途方もない苦労を背負いこむはめに。
バーン)。アニーとはどうも気が合わない
タイプ。女同士の友情は成立するのか?
『セック・アンド・ザ・シティ』(08)みたいにおしゃれな世界を舞台に、とんでもない下ネタが飛び交う。中でも極めつけは、リリアンの花嫁衣装の試着にみんなで出掛けた日の惨劇。試着前にアニーの薦める安くて美味しいブラジル料理店でランチを取るが、どうも肉料理の素材に不都合があったらしく、メンバーはキリキリと差し込むような腹痛に襲われる。しかも、超高級セレブなブライダルショップでの試着中に。脂汗を流しながら必死で耐えるリリアンたち。おいしいランチが、おそろしいウンチに大変身! まぁ、お下劣と思うでしょうが、でもその後もすったもんだあった挙げ句のクライマックスは意外とすっきり爽快感のある後味。男同士のシンプルな友情に比べ、結婚を機に別世界に嫁ぐことになる女性の場合は嫉妬、世間体、新しいコミュニティとの迎合といった様々な難問が渦巻いているわけで、それらの葛藤を踏み越えた女たちのノーウーマンノークライな絆に、男も知らず知らずに涙腺をピンポイント攻撃されるわけですよ。
人生で最も華やかなメモリアルイベントである結婚式を題材にした作品で、もう一本のお薦めがスパニッシュホラー『REC/レック3 ジェネシス』(4月28日より公開、入場料1000円)。謎のウィルスに感染したアパートの住人たちが次々と凶暴化していく様子を主観映像で追った人気シリーズ。『REC/レック』(07)では報道カメラ、『REC レック2』(09)はアパートに突入した警察隊のCCDカメラによる映像という設定だったけど、今回は感染源であるアパートとは別設定に。結婚式の楽しげ様子を記録していたホームビデオにウィルス感染した列席者たちが続々とゾンビ化していく姿が映し出されるというもの。教会での結婚式というサイコーにおめでたい席が、ゾンビたちによって血に染まるという天国から地獄への急降下していくドライブ感は、観る者の顔を引きつらせる。さらに新郎新婦の親族や親友たちがゾンビ化して襲いかかってくるという恐怖。途中から主観映像という『REC』シリーズのお約束が放り出されることも気にならないほどの阿鼻叫喚っぷりです。
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