電子書籍普及の波は来ているのか? あの「自炊の森」が池袋に2号店をオープン
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一昨年のコミケ会場でのチラシ撒き、昨年の突然の閉店騒動などで話題を呼んだ「自炊の森」(東京都千代田区)が、近く池袋に2号店をオープンすることがわかった。
同店は、持ち込んだ雑誌や書籍を裁断しスキャナで電子化できると共に、「店内の書籍を店内で電子書籍化して持ち帰ることができる」サービスを展開する店舗だ。一昨年12月末のプレオープンにあたっては、コミックマーケット会場周辺でチラシを配布し、著作権者に対する利益還元やモラルの問題など話題を呼んだ。さらに昨年10月には、突然の閉店を告知。9月に講談社・小学館・集英社ら出版社7社と作家・漫画家ら122人が自炊代行業者約100社に対して「自炊代行は複製権の侵害」とする旨の質問状を送付する事件があり、関連性も取り沙汰された。だが、筆者の取材で、閉店はオーナーの意向であることが明らかに(記事参照)。「なんらかの形で継続を模索する」と話していた同店の店長は、支援者を得て店舗を移転し、事業を継続していた。
今回オープンする2号店は、池袋駅から徒歩5分ほど。豊島区役所に近い、繁華街の外れのビルの1階にある。元は客だったという池袋店の店長は、新たな店舗を開く理由に、昨年の移転後からの客層の変化を挙げる。
「秋葉原の繁華街からは外れたところに店舗を移したのですが、ごく普通のサラリーマンや学生も利用するようになったんです。立地は最初の店舗に比べるとよくないのですが、現在でも新規の客足は絶えません。徐々に電子書籍が一般化してきており、この波はまだまだ続くと考えて2号店を開くことにしました」
最初の店舗があったのは、PCパーツショップが並ぶ、秋葉原の裏通りにあるビルの2階。やはり入りづらい雰囲気があったのか、客層は「ディープな客」が多かったという。対して、現在の秋葉原の店舗は繁華街からは外れたものの、1階にある路面店だ。
「自炊」サービスにおいて、店へ入りやすいか否かは、重要なポイントになるようだ。 事実、「自炊」機材を貸し出すサービスを行う店舗は、オープン後、短期間で閉店しているところも多い。
「他店は、ブースをなるべく狭くし設置するスキャナの数を増やして回転率を上げることを重視しています。対して、うちは1ブース125センチ幅とゆったりとしたスペースです。そこが、成功のカギの一つだと考えています」(池袋店店長)
現在、利用者のうち自分で持ち込んだ雑誌書籍を電子化する人と、店内のものを利用する人の数は1:1の割合。徐々に、自分で持ち込んで電子化する人の数が増えているという。そして池袋で狙うのは、やはり一般の客層だ。
「週末の買い物など、何かのついでに利用してもらうことを目指しています」(同)
元は客だった池袋店店長の助言で、料金体系を変えるなど利用者目線でサービスの充実化を図る同店、電子書籍普及の波に乗ってビジネスが成功するのか、今後も注目していきたい。
なお、池袋店は4月28日午後1時よりオープンする予定。開店記念キャンペーンも今後発表される。
(取材・文=昼間 たかし)
●自炊の森
<http://www.jisuinomori.com/>
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