貼って貼られて貼り返されて!? 「ビックリマンチョコ 悪魔VS天使シール」今昔物語
#サブカルチャー #バック・トゥ・ザ・80'S
また、大野氏によると、だいたい2弾ごとに新たな技術をシールに盛り込んでいたそうだ。中でもホログラムシールの美しさとプレミア度は出色で、今もマニアの間では高額で取引されるほど。2009年に発行された印刷業界の専門誌「デザインのひきだし」では、ホログラム、箔押し、疑似エンボス、2枚重ねシールなどの技術を活用した身近なシールとしてビックリマンシールが取り上げられるなど、今もなお印刷業界からも注目を集めている。
そして、チョコへのこだわりぶりにも注目したい。
当初はアーモンドやピーナッツをチョコに混ぜ込んでいたビックリマンチョコだが、現在の「ビックリマン伝説チョコ」はクッキークランチ入りチョコとなっている。
その理由は、「シリーズ初期は、当時の食事情を考慮して栄養価の高いナッツを入れていましたが、今は上品な味わいや食べ応えを追求してクランチを入れています」とのこと。
「シールとお菓子が一体となっているのが『ビックリマンチョコ』です。シールだけ欲しいというお客様もいるのですが、やはりお菓子メーカーとしての意地がありますので、どちらも楽しんでいただきたいと考えています」
大野氏は意気込んだ表情でこのように語る。
■2012年、待望の新シリーズ始動!
現在、「ビックリマン」は「悪魔VS天使シール」第1弾を復刻した「ビックリマン伝説チョコ」を2月から東日本で発売。そして4月24日より、販売地域を全国に拡大すると同時に、新シリーズ「聖魔化生伝」の販売をスタートする。
「2012年の今、つぎ込めるものを全部つぎ込んだ」という「ビックリマン伝説チョコ」は、伝説の「悪魔VS天使シール」の原点である第1弾を、ゴージャスなエンボスシールで復刻すると同時に、現在ユーザー数が120万人以上を数えるソーシャルゲーム版「ビックリマン」と連動するほか、「聖魔化生伝」に登場する新キャラクターのラフカットを収録したシールも封入している。
そして過去のシリーズと新シリーズを繋ぐような「ビックリマン伝説チョコ」を受けスタートする「聖魔化生伝」は、「悪魔VS天使シール」の前史に当たる内容になるそうだ。
「『悪魔VS天使シール』で活躍したキャラクターのルーツを持つキャラクターがたくさん出てきます。新鮮でありながら、過去のキャラクターとの繋がりを探すという楽しみもできるようになっています」
そう語る大野氏は、かつての「悪魔VS天使シール」がそうだったように、まずはお菓子としてコンスタントに展開することを目標に掲げているとも語る。
タイアップやメディア展開を前提とした商品開発が当たり前となったこの時代、あえて直球で勝負をかけてくるロッテに、「お菓子メーカーとしての意地」を感じるのは筆者だけではないはずだ。
再始動し始めた「ビックリマン」だが、将来的にはどんな展開を目指しているのだろうか?
「今は、かつてのシリーズを楽しんでくださった方に支えていただいている部分も大きい『ビックリマンチョコ』ですが、やはり『ビックリマンチョコ』は子どもたちに楽しんでもらうということがスタートだったので、いつかはそこに戻りたいという思いがあります。ですので、今の小学生にかつての私たちと同じように楽しんでもらえるものを、これからも目指していきたいと思います」(大野氏)
2012年に生誕35周年を迎えた「ビックリマンチョコ」は、今後も新たな「ビックリ」を子どもたちに提供するべくネタの仕込みに余念がないようだ。
ところで余談だが、ビックリマンチョコといえば「箱の奥から3~4個目くらいにキラシールが出やすい」という都市伝説があったが……。
「それは全く根拠のない都市伝説ですね。商品製造の工程上、狙った位置に特定のシールをパッケージすることはできないんです」
とは大野氏の弁。
これはビックリ。根拠のないウワサに全国の子どもたちは踊らされていたことが、これで証明されてしまったわけだ。それでもついつい奥の方からビックリマンチョコを取り出してしまう癖が抜けそうもないのは、筆者だけではないはずだ。
ちょっとした行動パターンにまで深い影響を与えたビックリマンチョコは、まぎれもない「国民食」なのである。
(取材・文=有田シュン)
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