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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 瑛太主演『モンスターズクラブ』

行きすぎたシステム社会に警鐘を鳴らす“ユナボマー・マニフェスト”の映画化『モンスターズクラブ』

mosters2.jpg『青い春』(01)でスクリーンデビューした
瑛太にとって、念願の豊田監督による主演作。
山形県最上町で2週間にわたってロケが
行われた。

 この声明文を読んだカジンスキーの弟が「兄の過去の論文と似ている」と気づき、FBIに通報。96年4月、モンタナの山小屋で爆弾魔ユナボマーは取り押さえられることになる。年間の生活費110ドルで暮らしていた彼の身なりは、FBI犯罪史上に残る知能犯と思えないほどボロボロだった。現在、ユナボマーは司法取引により、仮釈放なしの終身刑となっている。以上がユナボマー事件のあらましだが、暴力に訴えた彼の罪とは別に“ユナボマー・マニフェスト”の「効率化の進んだシステム社会が、個人の自由を奪っている」という主張には共感を覚えた人も少なくない。その1人が、豊田監督だった。

 「彼が危惧していた社会システムの末路は日本の現状に似ていると感じた」と豊田監督は語っている。『空中庭園』の公開直前に不祥事を起こした豊田監督も、1年間の隠遁生活を岡山の山中で送った。4年ぶりに公開された前作『蘇りの血』(09)は、もともとは鈴木清順監督が「この映画が完成すれば、世の中がひっくり返る」と脚本まで準備を進めていたものの幻の企画に終わった、魯迅の短編小説『鋳剣』をベースにしたもの。生ぬるい映画モドキがはびこる現在の日本映画界に、ガツンと一撃を加える過激さに溢れた作品だった。豊田監督にとっては映画づくりこそが、ぬるま湯に慣れ切った現代人の固定観念を吹き飛ばす爆弾であり、社会に物申すマニフェストなのだ。

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