日本語版Kindle登場目前で大問題……Amazonは消費税を払わないってホント!?
#Kindle #電子書籍
「日本語版Kindleは4月にドコモ回線で!」「角川グループとAmazonが契約締結か?」と、今年に入ってから期待を持たせるニュースが続き、日本語版Kindleの登場に向けていよいよ盛り上がってきた。紙の本より安く買えて、かさばらないし持ち運べる。そしてなにより、登録や購入方法が分かりづらくてイマイチな国内の電子書籍サービスに比べて格段に使いやすい、新たな読書ライフが始まるはず……。
ところが、このKindleの参入に際して問題になっているのが「Amazonは電子書籍の消費税を払わなくてもいい」ということだ。
「実は、海外の企業から実際にモノを買ったり、あるいは権利やデータベースといった形のないものを買ったりする場合、条件によっては日本の消費税を払わなくて済むんです。Kindle端末をはじめとした海外の品物を注文する場合、商品本体の代金や輸送費などはかかっていても、日本の消費税を払わなかったという経験がある人もいるはずです」(出版関係者)
Amazonと日本の出版社との契約内容は明らかにされていないが、もし、Amazonの日本法人ではなくアメリカ本社と契約する場合、電子書籍はアメリカのAmazonから配信されることとなる。すると、日本の読者は、電子書籍をアメリカのAmazonから買うことになり、その場合、消費税がかからなくなるというのだ。
たとえば、税抜1,000円の電子書籍を買う場合、ソニーや楽天や紀伊國屋書店などが運営する電子書店では1,050円で売られている。消費税分の50円は、電子書店や出版社など配信にかかわったそれぞれの事業者が、日本政府に納税する。一方、今後Kindle日本語版が上陸した場合、アメリカのAmazonは日本政府に消費税を払わなくてもいいので、そのまま1,000円で配信・販売することができる。
「実はこの問題、出版業界ではすでに問題視されているんです。2010年6月に行われた電子書籍についての懇談会で、紀伊國屋書店の高井昌史社長が『電子取引においては税制の不備がある。海外からのデジタル書籍の購入は消費税がかからず、日本のコンテンツ配信事業においては5%消費税がかかるため、ハンデがつけられている』と発言している記録も残っています」(同関係者)
日本最大級の書店チェーンの社長が、当時の閣僚や、文壇、出版界の重鎮たちが同席する中で「ハンデがある」と訴えたという事実は重い。だがこの1年半のあいだ、新聞・テレビはおろか、雑誌やネットでさえもこれまで報じてこなかった。
実際、Amazonが電子書籍の消費税を払わないとなると、読者は5%も安い値段で買えるし、日本の出版社も売り上げは変わらない上に余計な消費税を申告しなくて済む。さらに、Amazonは消費税分の利益を元に、日本語版Kindleでますます便利なサービスを展開してくれるかもしれない。いいことずくめのようにも見えるが、いったいどんな問題が起こるのだろうか。
「日本の作家や出版社が作った日本語で書かれた電子書籍を日本の読者が買っているのに、消費税を払わなくていいというのは通念として違和感がありますし、“常にAmazonが5%安い”となれば、国内の書店が電子書籍市場に参入できなくなります。消費税が10%、15%になったらハンデはさらに広がっていく。ただでさえ書店の消費が落ち込む中、電子書籍までAmazonの一人勝ちとなっては、この国から本屋さんがなくなってしまいますよ」(同関係者)
国内では市場規模も未知数な電子書籍分野へのKindleの参入、数年後には、この国の出版業界はまったく違う景色を見せているかもしれない。
予習しとこ。
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