「最初は作品を作る気になれなかった」岩井俊二監督が新作映画に込めたメッセージ
#東日本大震災 #原発事故
宮城県仙台市出身の岩井俊二監督が、震災以降に出会った人々、久しぶりに再会した友人と語る日本の未来を綴ったドキュメンタリー映画『friends after 3.11【劇場版】』。公開初日の10日には岩井監督、松田美由紀(女優・写真家)、藤波心(反原発アイドル)らが舞台あいさつを行った。
自身のブログで震災について語ったことから注目を集めるようになったアイドルの藤波。
「震災から1年が経ちますが、国民の関心は薄れてしまっていると感じます。このままでは第二の福島を作りかねない、人類の滅亡につながりかねないと思います。今日来ていただいたみなさんには、映画を見て感じたことを家族や仲間、大切な人と話し合ってもらいたいです」
そう語る口調は14歳とは思えないほどしっかりしていて熱い。
これまで環境や原発のことに特別関心があったわけではないという松田も思いは同様である。
「私は3.11以降、人生が変わりました。というのも、今まで見てはいけないとされてきたものに気づいてしまったからです。震災後、多くのことを知ってしまった。もう引き返せません」
「人種も職業も関係ないと思います。これからの環境問題を変えるのは、国民一人ひとりの自覚と結束です」
とアピール。
岩井監督は「最初、作品を作る気持ちにはなれなかった。そんなに簡単に作品にできるとも思わなかったから」とその当時を振り返る。だが、さまざまな人たちとの出会いを通じて考えが変わったという。
「今も地震が続いていたり、原発も危険な状態のまま。巨大地震とかつてない核の危機の二つに苛まれている状態ですが、われわれ大人だけでなく子どもたちも真剣にこれに向き合って生きていかなくてはいけないという気持ちでこの作品を作りました」
そんな前向きなメッセージが込められている『friends after 3.11【劇場版】』。オーディトリウム渋谷ほか全国順次公開。
(撮影・文=シン上田)
原子力崩壊後の世界。
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