“納豆は混ぜれば混ぜるほど栄養価が上がる”はウソ!? 『おかめちゃんの納豆レシピ』
#本
カルピスが監修する『カルピス社員のとっておきレシピ』(池田書店)、キッコーマン監修の『ヘルシー! 豆乳レシピ』(ワニブックス)といった類の、メーカーお墨付きレシピ本が増えている。そんな中、おかめ納豆で有名なタカノフーズが渾身の1冊『おかめちゃんの栄養たっぷり納豆レシピ』(ワニブックス)を発売。社員だけが知っている75レシピが紹介されているという。
あのクセの強い納豆のこと。75もレシピがあれば、絶対にツッコミどころ満載な珍メニューの宝庫に違いない。そんな期待を込めてページをめくっていったのだが、「とろろなめたけ納豆ごはん」「ほうれんそうの納豆ナムル」「納豆ポテトもち」、と案外おいしそうなものばかり。
レシピの合間に挿入されている納豆コラムも、丸大豆納豆とひきわり納豆の栄養価の違いについて解説していたり、西日本で納豆を食べる人が少ない理由に言及したりと、”そういえばそれ気になってた!”という絶妙なポイントを突いた豆知識が多い。中でも”納豆Q&A”コーナーでの「納豆を混ぜる回数でおいしさや栄養は変わるの?」に対する回答には、ショックを隠し切れなかった。本書によると、混ぜることで舌触りが変わるだけで、栄養価に影響はないとのこと。昔、『発掘!ある●る大事典』か何かで、「納豆は混ぜれば混ぜるほど栄養価が上がる」とやっていたのを信じて、今の今まで混ぜまくっていたあの時間は無駄だったのか……!
このまま真面目な本のままで終わるのかと、残念なようなホッとしたような気持ちで読み進めていたら、本の後半から徐々に様子がおかしくなってきた。ネタ切れなのか、作り手がテンション上がって楽しくなってきちゃったのか、妙なレシピがところどころ登場。なぜかお米ではなく食パンで作る「納豆食パンのり巻き」。果たして納豆をトーストの具にしてもいいのかという疑問が先行する「納豆のりマヨトースト」。いずれも、「納豆お好み焼き」や「おろしねぎ納豆もち」のような比較的違和感のない納豆料理のページの間にさりげなく挟み込まれているから油断ならない。
せっかくなので、「納豆食パンのり巻き」「納豆のりマヨトースト」を作ってみることにした(作り方の詳細は本書を参照のこと)。
結果は、思った以上に悪くなく、特にトーストは甘じょっぱさがクセになる味。しかも、いずれもせいぜい5分程度で完成する。珍メニューかと思われたレシピすらもおいしくできあがるとは、タカノフーズめ、やりおる……。
レシピよし、豆知識よし、さらには納豆のネバネバが苦手な人向けに調理時のポイント解説まで掲載する抜かりない本書。また、ただのレシピや豆知識のほかにも、「バニラ納豆」「納豆ヨーグルトパンケーキ」のような納豆おやつの作り方や、大豆と納豆菌で手作り納豆を仕込む方法も載っているため、レシピすべてを制覇するには並々ならぬ納豆愛が必要である。
そして、ページのラストは、『おかめ納豆』をこよなく愛する社員の言葉を掲載し、納豆愛をたっぷり振りまいてシメ。それも、「納豆のおかげで毎日元気です。私の人生に欠かせないサポーターです☆(M.I 女性/九州工場)」「大学まで納豆嫌いだったわたしは『おかめ納豆 旨味』に出会ってから納豆が好きになりました。(Y.Y 男性/八王子営業所)」と”●●のおかげで身長が5cm伸びました”の定型句を彷彿とさせるものから、「納豆は人類を救う!(M.S 男性/八王子営業所)」とよく分からないものまで、皆、思い思いに納豆愛を表現している。彼らは皆、「納豆ヨーグルトパンケーキ」にも常日頃から慣れ親しんでいるのだろうか。気になるところである。
(文=朝井麻由美)
おかめが一番だよ。
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