「よっぽどやる気がなければ卒業できない」放送大学こそ”本当の大学”だった!
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Twitter上で放送大学を侮辱した自称・某有名大学教授を、「私は学長です」の一言で退散させた学長によって一躍注目された放送大学。関東圏では、地上波で放送されているので名前だけは知っているという人も多いだろうが、その内実は意外に知られていない。ともすれば、カルチャーセンターと勘違いしている人もいそうだ。しかし、調べてみると「放送大学卒業」の肩書きの前には、ひれ伏すしかない実態が見えてきた。
放送大学の学生数は2011年の2学期時点で学部生が8万768人、大学院生が5,551人。一般に、最も学生数の多い大学とされる日本大学は学部生が6万802人(2011年5月現在)なので、実は隠れたマンモス大学といえるだろう(大学院+通信教育部の学生数を加えると)。
放送大学の特色は、なんといっても、大学名が示す通り授業のほとんどがテレビ・ラジオを通じて行われることにある(一部科目はインターネット視聴も可能)。一部では面接授業もあり、学習センターも設けられているが、ほとんどの科目履修は学生がテキストを購入して授業を視聴する形で進められる(例外は体育実技で、履修登録した上で公的機関が行うスポーツ教室などに規定の時間数通わなくてはならない)。
入学試験は、毎年4月と10月の年2回。書類による審査のみで、学力試験は行われない。また、通常の大学であれば高等学校卒業などの要件が課せられるが、放送大学では選科履修生又は科目履修生として所定の単位を取得すれば、全科履修生への入学を認めている。高校中退者で、高等学校卒業程度認定試験に合格していなくても、大卒資格や修士の学位を手に入れることが可能なのだ。また、在学最長年限も10年と一般の大学より2年長い。
通学しなくても自宅で自分のペースで単位を取得することができる、なんとも自由度の高いこの大学。学生の年齢も幅広く、学部生で最も多いのは40代の1万9,397人。次いで30代の1万7,700人が続く(2011年5月現在)。やはり、仕事の合間に自分のペースで授業を聞いて学歴を得て資格取得もできることは魅力的なのであろう。
しかし、一般の大学と違い、テレビやラジオを一人で聞かなければならない。それに、卒業までの単位を取得するスケジュールも自分で決めなければならない。これはかなりキツそうだ。
「最低4年で卒業される方もいらっしゃいますが、多くの方は6年半から7年くらいかかっています。やはり、お仕事の合間に学習されている方が多いからだと思います。4年で卒業される方に聞いてみると、みんな『相当大変でした』とお話されますね」(放送大学のサポートセンター)
学部を卒業するために必要な単位数は124単位。うち放送授業で94単位以上、面接授業で20単位以上と定められている。放送授業は、1科目2単位。1学期間(半年間)授業を受け、さらに単位認定試験を受験して、ようやく2単位。6年半から7年くらいで卒業する計画でも、1学期あたり5科目程度は授業を受けなければならない計算だ。
毎週45分の放送を5回聞くことが6年以上も……。これに加えて、空いている時間にテキストを読んで自習しなければ単位認定試験にも合格できない。よほど、根気や目的意識がなければやっていられない。
来る者は拒まないが、卒業できるかどうかはあなた次第。「放送大学を卒業した人=やる気と根気のある人」ということ。求める者に門戸を開く放送大学は、近代以前からの大学の理念を保持した教育機関といえるだろう。
(取材・文=昼間 たかし)
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