ドレスコードはバンドT! ROCKにキメる『ジャケ弁講座』に潜入
#サブカルチャー #散歩師・朝井がゆく!
ゆるいものならなんでも大好き♪ ロリ顔ライター・朝井麻由美が気になるスポットをご案内します。
私のコンプレックスのひとつに、”かわいいものを生み出せない”というのがある。昔、図工の授業で作った妖精の置き物は「宇宙人にしか見えない」と評され、今年の年賀状に描いた辰のイラストは「鬼の妖怪かと思った」と散々な言われようだった。かわいい辰を描いたつもりだったのに。
そんなコンプレックスゆえ、近頃続々とママデビューしている同級生たちが、Facebookなどで愛らしいキャラ弁の腕前を披露するのを目にするたびに、胸がキュッと締め付けられるったらない。どうせ私が作っても、ピ○チュウは猫の幽霊に、アンパ○マンはただの顔付きまんじゅうになるだろうしね。そこで今回行ってきたのが、「オトトイの学校」で開講された『オバッチ先生のジャケ弁講座 ~ジャケ弁の半分は愛情でできている~』。CDジャケットをお弁当で再現する技を伝授してくれる人気講座で、2012年4月からも新規講座の開講が予定されている。オバッチ先生は、「オバッチのJacket Lunch Box」(http://jakeben.blog111.fc2.com/)というブログで日々ジャケ弁を公開しており、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)にも出演するなど、その道の達人! 同じお弁当アートといえど、キャラ弁よりもジャケ弁のほうが、かわいく作れなくても許されそう!
作るCDジャケットとバンドTを同じアーティストでそろえている人ほど、
ジャケ弁の完成度が高かった。愛ゆえか。
まずは、ジャケ弁にするCDジャケットを選定。悩んだ末、「色がシンプルなほうが簡単そう」「人が写ってるほうができあがりが面白そう」「思い入れのあるCD」の3つの基準から、初めて買ったCDであるSPEEDの『ALL MY TRUE LOVE』にすることに。
「私、絵理子ちゃん!」などとSPEEDごっこをした世代。
思い出すと小っ恥ずかしいですが。
使う食材は、基本的には持参。生で使えないものは、事前に家で調理して持っていくのだが、面倒なのですべてそのまま食べられる食材のみを使うことにした。『ALL MY TRUE LOVE』のジャケットを見るに、必要な色は、白バックにメンバーが並び、その服装は紺、白、緑。顔の部分は、黒髪に赤い唇、肌色、といったところ。そこで、バックの白は白米、紺はナスの漬物、緑はお茶っ葉、黒は海苔、赤は梅肉、肌色はちょうどいい食材が思い付かなかったため、白いカマボコで代用することにした。少々、色白すぎるSPEEDに仕上がるかもしれないが致し方ない……。
ジャケ弁講座の授業が開始し、講師のオバッチ先生から簡単な説明を受けたのち、各々自由に作り始める。まずは、ジャケットサイズの四角いお弁当箱に入れた白米を押し潰し、できる限り平らにする。こうすることで、食材を上からのせやすくするのだそう。そして、ジャケ写をトレースし、トレースした紙と海苔を重ねてカットしていく。ちなみに、海苔はジャケ弁ではほぼ必ず使う材料で、海苔に慣れるのが第一の関門。思った以上に切りづらく、ジャケ弁作り初心者が最初につまずくポイントなのだ。
今朝、まさに眉をカットしてきたばかりのハサミで海苔を切ったため、
不思議な気持ちになった。
トレースした紙からはみ出ないように、美しく、そして細かく海苔を切っていたら、「そんな細かく切らなくていいのいいのー!」と各テーブルを巡回していたオバッチ先生が登場。細かく切っても、海苔が徐々にフヤフヤになり、白米の上にのせる際にはヨレて結局汚くなってしまうため、ざっくりとしたシルエットが再現できていればいいのだそう。
またポイントは、上の写真のように、最初の段階で海苔で全身の形を作っておく点。そうすれば、この海苔がガイドとなり、あとはCDを見ながら対応する箇所に色付きの食材を海苔の上にのせるだけでよく、失敗が少ないとのこと。つい、色のパーツごとに切って組み合わせたくなるが、そうすると全体の大きさのバランスが崩れ、このジャケットの場合だと、大きさが合わず4人全員入らない、という事態になる。
ともかく、先生の「適当でいいよ!」に開き直り、丁寧さゼロでカマボコを顔型にくりぬき、海苔を小さく切って目や眉をつけ、薄く切ったナスの漬物を貼りつけて、口元に梅肉を塗った。やはり、カマボコが白すぎて、メンバー全員、故・鈴木その子みたくなったけど、気にしない。
釣り上がっていないため、海苔の角度にこだわってみた。
ほぼ完成したところで、ふと周りを見ると、チキンライスや卵焼き、茹でたほうれん草など、当たり前のようにおいしそうな調理済み食材を使っている人がほとんど。ほうれん草を茹でるのが面倒だからと、緑色の代用品としてお茶っ葉を持ってきた人など私くらいのものだった。調理ナシで簡単にできることにばかりこだわっていて、お弁当になった際の味は度外視していたことに今頃気付いた。何しろ、使用食材は米、海苔、ナスの漬物、梅肉、カマボコ、お茶っ葉。しまった……このジャケ弁、全然おいしくないかもしれない。そんなことを思って落ち込み始めているうちに作業時間は終了。生徒ひとりひとりの作品をみんなで見て回りつつの講評タイムが始まった。
結果からいうと、他の人々のジャケ弁を見れば見るほど、己の不器用さ加減にしゅんとするのだった。
本物とは色が多少違っていても、しっかり特徴を捉えた力作。
近くにCDがなくても、Perfumeだと一目で分かる。
対して、私の作ったジャケ弁、タイトル『季節のナスとこだわりカマボコの高級梅肉和え ~お茶の葉を添えて~』は冒頭の写真。そもそも今はナスの季節じゃないし、カマボコにこだわってもいなければ、梅肉も特に高級ではないし……。
先生からの評は、「アヴァンギャルドなジャケ弁ができあがりましたね!」。
帰宅後、すっかりご飯の冷えたジャケ弁『季節のナスとこだわりカマボコの高級梅肉和え ~お茶の葉を添えて~』を晩御飯代わりに食べたところ、これでもかと激しく主張するナスの漬物の味の合間に、ときどき、お茶っ葉のジワッとくる苦みが口いっぱいに広がった。見た目通り前衛的な味だったのは言うまでもない。
……もう、ナスの漬物は一生食べたくない。
●アヴァンギャル度
★★★★★
筆者の作ったジャケ弁がアヴァンギャルドだったのはさることながら、大勢でCDを見つめながら海苔を眉用ハサミで切る様子はちょっと異様な光景だった。講師のオバッチ先生は、さぞ料理が得意なのかと思いきや、「私は料理上手なわけでは全然ないんですよ。ただもう、音楽が好きすぎてライブ代でいつも金欠。節約のために楽しくお弁当を作る方法を模索したらこうなりました」と語る。料理下手でも音楽狂なら、ジャケ弁作りで隠れた才能が開花するかもしれない。
(取材・文=朝井麻由美)
●『オバッチ先生のジャケ弁講座 ~フジロック編!ジャケ弁の半分は愛情でできている~』
< http://ototoy.jp/school/event/info/41 >
次回講座は4月8日、5月20日、6月10日の全3回、いずれも14時~16時。「IID世田谷ものづくり学校」にて開催される。3回通しての参加のほうが、よりジャケ弁作りをマスターしやすいが、単発の参加でも可。受講料は8,500円(全3回分/1回のみの場合は3,000円/世田谷区民割引あり)。現在、『オトトイの学校』HPにて申込み受付中。
ROCK!
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