「受注金額は言い値で決まる!?」東日本大震災の復興利権に群がるゼネコンの”焼け太り”
#東日本大震災 #東電 #原発事故
「絶対に表じゃ言えないけど大震災は宝くじに当たったようなもの。被災者には悪いけどガッツポーズしたい気分」
そんなとんでもないことを言い出したのは大手ゼネコンの下請け業者だ。昨年12月から本格的に動き出した放射線の除染作業を大規模に引き受けたからである。
福島第一原発から近い汚染地域は国が、離れた地域でも被ばく量が年間1ミリシーベルト以上であれば地方自治体が除染を行なうことになっているが、この1ミリ以上の地域は、現在分かっているだけでも約1万3,000平方キロメートルで、面積でいえば秋田県に相当するほどの広さである。
専門家によれば「すべて1ミリ以下にするというなら、最低でも25年は必要で、その総費用は軽く見積もっただけでも30兆円以上」という。
すでに大成建設や鹿島、大林組などが大規模な除染作業に着手、清水建設や竹中工務店などを含めたゼネコンは一様に増益で、各被災地の下請け土建業者はこの復興バブルに沸いている。
前出の業者は「リスクの高い仕事だということで通常の3~4割増の見積もりが出せる。除染作業は、雨が降ったりすればすぐ線量が高くなって同じ場所でも繰り返し稼げるし、こんな美味しい商売はない。でも、もっとウマいのは手を汚さず中間マージンを搾取する上のゼネコン、割増の分も折半だから、彼らは濡れ手で粟」と話す。
昨年まで国土交通省の地方整備局に勤めていた局員も「高い技術力が必要な除染は、ゼネコンの言い値で受注金額が決まるので各社が競うように群がっている」と復興利権のうまみを証言する。
「そんなゼネコンを後押ししているのが皮肉にも環境にうるさい専門学者や市民団体などで、彼らが放射能汚染の怖さを訴えれば訴えるほど、この仕事への監視が甘くなり、規模が拡大していく。中にはゼネコンから不安をあおるよう頼まれて多額の支援費を受け取っている学者もいる」(同)
こうした復興利権に対しては異を唱えている者もおり、福島で住民と独自の除染活動を続けている環境学の大学教授からは「基本は土を掘って埋める簡単な作業。放射線量を下げる仕事は各自治体でもできるので、何もゼネコンだけに頼る必要はない」という声も出ているのだが、ゼネコンの勢いは止められない。
「できるだけマスコミには危機を煽って騒いでほしい」と前出業者。復興は何より最優先事項であることに違いないのだが、その心理を悪用する”焼け太り”まで許してしまっていいのだろうか。
(文=鈴木雅久)
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