緊急レポ! プリンセステンコーの秘蔵っ子女優が女子プロレスに参戦!!
#女子プロレス
2月5日、新木場1stRINGにて、女子プロレス団体スターダムの興行「スターダムseason5 NEW YEAR STARS 2012」が行われた。なんといってもこの日のニュースは、あのプリンセステンコー所属事務所の秘蔵っ子であり、蜷川幸雄主催NINAGAWAスタジオ出身という異色のキャリアを持つ本格女優、安川結花がリングデビューを飾ったことであった。
後楽園ホールを満杯にするなど、すでに人気のスターダムだが、看板レスラーであるグラビア出身の愛川ゆず季が不在にもかかわらず、このデビュー戦を見ようと会場は400人を超える観客で埋め尽くされ、早々に満員札止めとなった。
安川のリングネームは惡斗(あくと)。「惡」というその名のイメージ通り、それまで正統派という印象だった安川が、自身の殻を打ち破ってヒールレスラーに挑戦するという触れ込みのデビュー戦。風貌もグラビア時代の安川とは打って変わって攻撃的なイメージに塗り替えられ、彼女の発するコメントも試合前から過激なものに変わっていた。
安川の対戦相手に選ばれたのは、彼女とは対照的に愛くるしいフェイスで周囲を魅了するアイドル出身のはるか悠梨。加藤悠(かとうはるか)の名でグラビアアイドル活動をしているはるかも、昨年12月にスターダムでプロレスデビューを飾ったばかり。
それにしても、取材で入った控え室通路で選手たちとすれ違うたびにびっくりさせられたのは、どのレスラーもみんなスタイルがよく、セクシーでかわいいということ。ショーの最初にオープニングダンスを披露した「Kちゃんパンダ」の面々や、リングアナも務める風香GM、この日登場したレスラーの美闘陽子、鹿島沙希、紫雷イオ、星輝ありさ、岩谷麻優、宝城カイリ、翔月なつみと、最近の女子プロレスがアイドル路線に変わりつつあることを知っていても、その美女揃いの布陣には驚かざるをえなかった。グラビアアイドルイベントにでも顔を出したような不思議な気持ち。本来なら愛川ゆず季もここに加わるわけで、これほどアイドルレベルの高い団体も珍しいのではと感心させられた。
安川のデビュー試合は1試合目に行われた。リングサイドにはプレスのカメラが集い、安川はウイスキーボトルを手に悠々と登場。紙テープの飛び交う中、はるかに握手を求められて、口に含んだウイスキーを吹きかけるなど、憎々しい態度でのっけから挑発的。ゴングとともにはるかに勝負を挑む姿は、それまでの安川のイメージを完全に覆すほど過激なヒールっぷりだった。
試合は、これぞプロレスといった技の応酬、迫力のある展開。安川がデビュー戦を見事に勝利で飾るわけだが、やるほうもやられるほうも、髪を振り乱し、胸を揺らしながら、大股を開いて組み付いていくというセクシーなもので、女子プロレスの魅力を再認識させられた。プロレスをプロレスと見ればただの一試合でしかないだろうが、女子プロレスがこれほどまでアイドル化している昨今、プロレスという枠を外して考えてみても、既存のどんなイベントよりもこちらのほうがずっと面白く、魅力的に感じた。
テレビではなかなか見る機会も少なくなってしまった女子プロレスだが、ファンにとってはアイドルレスラーに気軽に会いにいけるプライベートイベントとしての魅力も高い。そういった側面を楽しんでいるファンも多かった。会場で販売されているグッズもアイドル性を意識したものが多く、彼女たちの喜怒哀楽をむき出しにしたファイトを見ていると、会場を満員にする魅力が自ずとわかるような気がした。この日安川と対戦したはるかも、試合後、プロレスに入るきっかけを「女の子が普段見せないような顔をして闘うじゃないですか。あれを見て、自分もやりたいと思ったんです」と語っていた。そういう魅力がリング下にいても伝わってくる。
試合は意識もうろうとなったはるかに対して、安川がコーナー2段目からローリングセントーン(=惡トーン)を投下して終了した。試合後、安川は控え室で「気合いで勝ちましたよ!」と雄叫びを上げ、勝利を喜んだ。ヒールらしく、最後まで悪役らしく振る舞おうと、記者会見の言動も最初は荒々しいものだったが、時折女の子らしい表情も垣間見られた。プロレスを初めて間もなかった昨年9月、バセドー病を患っていることを知り、甲状腺ホルモンが人の3倍あることを知った安川。そんな苦境にも負けずトレーニングを続け、40キロ台の細かったウエイトを56キロまで増量。今日の試合に臨んだ。その背景には芝居で鍛えられた強い精神力があった。
安川は、「舞台とリングなら身体を使う分、やはりリングのほうが半端なく大変ですよ」と話しつつも、「わたしにとってプロレスは客に楽しんでもらう、それだけなんです。自分が楽しくなければ人も楽しくないという。だから自分も楽しむ。そこは舞台と何も変わらないんです。女優道もヒール道も同じ」と語気を荒げた。
ふだん、「願晴る」と書いて「がんばる」という自分の言葉を大切にしているという安川だが、苦労の末の勝利、そして自身の新しい門出を勝利で飾れたことを素直に喜び、「初勝利をレスラーになるにあたってお世話になった風香GMと総合格闘技の大山峻護先生に伝えたいです」と最後に語った。
敗れたはるかは「本当に勝ちたくて挑んだんですけど、惡斗は本当に力が強くて、必殺技も結構重い感じだった。自分の力が及ばなかった部分があったので、今すごい悔しいです。スピードではわたしのほうが勝っていると思うので、スピードで惑わせるような戦いをして次は絶対に勝ちたいです」とコメント。再戦への意欲を燃やしていた。
女子プロレス、なかなか侮れない面白さかもしれません。
▼安川惡斗デビュー戦15分1本勝負
安川惡斗○(10分44秒/惡トーン→片エビ固め)はるか悠梨●
その他の試合結果はスターダム公式ホームページを参照ください。
スターダム公式ホームページ
<http://wwr-stardom.p-kit.com/>
(取材・文=名鹿祥史)
週刊プロレスEXTRA (エクストラ) Vol.1 女子プロレスエロかわ主義 2012年 3/5号
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