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寡占化が進む同人誌書店 リブレット撤退は新たな業界再編の布石か

R0029714.jpg男性向け同人誌に定評のあるメロンブックスだが、
今回の撤退は果たしてどのような結果をもたらすのか
(2011年末秋葉原店の店頭にて)。

 新たな業界再編の動きの一部なのか。1月末、同人誌書店の大手・メロンブックスが女性向け部門のリブレットの事業を2月末で取りやめることを発表し、注目を集めた。これにより、同社は女性向け事業からは完全に手を引き、男性向け同人誌を中心に据えた事業を展開していくことになる。

 リブレットは、メロンブックス店内にコーナーとして展開するものも含めて全国に6店舗。中でも池袋店は昨年9月にオープンしたばかりで、早期撤退を決めた背景には、この店舗の売り上げが芳しくなかったことがうかがい知れる。業界の動向に詳しい同人誌書店関係者は語る。

「損失が拡大する前に、早期に不採算部門を切り捨てたのは経営判断としては的確です。その点については英断といえるでしょう」

 同人誌市場全体の動向を見ると「市場が縮小している」という分析が大勢を占めるが、その実態は女性向けに限らず男性向けも含めて、飽和状態というのが正しい。需要に対して供給が過剰な状態が続いており、結果として同人誌書店の売り上げも右肩下がりのスパイラルから抜け出せていない。その中で、メロンブックスが女性向けを切り捨て、従来から得意としてきた男性向けに絞って経営戦略を立てるのは妥当といえるだろう。

 ただ、メロンブックスの内部にもさまざまな問題が存在するという話もある。

「近年、盛んに経費節減が叫ばれていて社員も苦労しているという話を聞きますね。また、経営陣が同人作家や即売会対応を担っている社員に対して”ルート営業と同じ”と発言したとかで、男性向け同人誌を担当していた幹部社員が一時退社する騒動もあったとか。その後、復帰したそうですが、その発言が事実なら、経営陣はちょっと同人誌について理解が不足しているといえるでしょう」(同前)

 いずれにしても、メロンブックスは男性向けに強い同人誌書店として、一定の支持を集めていることは確かだ。リブレットの撤退によってあらためて、そのイメージが顧客層に認識されるのであれば、経営的には吉と出るのではあるまいか。

■アニメイトグループの寡占化は現在進行形

 もうひとつ、リブレット撤退の背景としてウワサされているのが、アニメイトグループの事業再編というものだ。本来、女性向け同人誌はアニメイトの得意分野。それをグループの別会社であるメロンブックスが行っているのは、確かに不採算だろう。しかし、業界の事情通たちに話を聞いたところ「もしそうならば、そもそもリブレットを出店しないはず」と否定する。

「アニメイトグループは、出版業界でいえば角川書店に似た経営スタイルです。同じグループ内にユーザーが被る事業があっても、なんら問題にしていません」(事情通)

 そもそもアニメイトグループは、かなり奇妙な部分がある。メロンブックスやらしんばんがアニメイトグループに属していることは、同人誌業界では誰もが知っている事実なのだが、アニメイト側が積極的にそれをアナウンスすることはない。昨年、秋葉原に同人誌書店・らしんばんがオープンする際にアニメイトの割引券を配ったときには「ついに正体を明かすとは、一体なにが起こるのだろうか」と、業界内では注目を集めたほど。

 なにより、メロンブックスやらしんばんがグループ会社なのは明らかなのに、経営の形態はどうなっているのか等々、肝心なところは公開情報ではまったく見えてこない。また、リブレット撤退が事業再編の一貫という説を補強する「アニメイトは社内の世代交代に向けて再編の真っ最中である」というウワサも、実態はどういうものなのか判然としない。高橋豊社長の子息が社員として働いているのは事実だが、世襲が行われるのかも不明である。

 巨大化するアニメイトグループだが、寡占化は業界にどのような影響を及ぼすことになるのだろうか。特定の一社が市場を占有してしまえば、競争力が衰えるのは自明の理。同人誌書店における「競争」の意味もあらためて考えてみたいものだ。
(取材・文=昼間たかし)

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最終更新:2013/09/09 16:46
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