ブラックなのは居酒屋だけじゃない! 「ワタミの介護」元職員が労災申請拒否を告発
#企業 #ワタミ
2008年、居酒屋チェーンのワタミフードサービス社員の女性が、入社2カ月後に自殺したのは「長時間労働による精神障害」によるものだったとして、約4年越しに労災認定された。
ところがワタミ側は「(労災認定は)当社の認識と異なっておりますので、今回の決定は遺憾」と回答。さらに同社の渡辺美樹会長も、Twitter上で「ワタミは天地神妙に誓ってブラック企業ではありません」と発言するなど、女性社員の死に関し、あくまで自らの非を認めない構えだ。
そんな中、ワタミグループの新たなブラック事情を告発する声が、記者の元に届いた。
「私も労災の申請を認めてもらえませんでした」
そう話すのは、同社のグループ企業のひとつ 「ワタミの介護」が運営する関東の老人ホーム施設で、昨年末まで勤務していた20代の女性介護福祉士だ。
「私の場合、残業は月に30時間程度でしたが、残業代は一切もらっていません。うちのグループでは施設ごとに厳しい収益ノルマが課せられていて、職員全員で経費軽減に取り組んでいました。そんな中、残業の申告などできない雰囲気。入社半年弱だった私にとってはなおさらでした」(女性介護福祉士)
彼女によると、1日12時間の肉体労働で月収は手取りで17万円ほど。それでいて業務内容は、肉体労働を極め、入浴サービス時の男性利用者からセクハラや肛門に指を突っ込んで排便させる摘便などにも耐えなければならない過酷なもの。こうした労働環境に耐えられず、同僚たちは次々と退職し、施設は慢性的な人手不足だったという。職員一人当たりにかかる負担が増大する中、彼女は腰痛を発症してしまう。
医者の勧めもあり、彼女は休養を申し出るが、 上司に「うちにそんな余裕がないのはあなたも分かっているでしょう」と一蹴されたという。彼女は仕方なく、無理を押して1カ月ほど勤務を続けるが、ベッドから自力で起き上がれないほどに症状は悪化。ついに退職を決意した。
「退職後は、労災の療養給付を利用して通院を続けるつもりでした。しかし、上司は『腰痛なんて我々の職業病みたいなもの。こんなものにいちいちハンを押していられない』と、何度頼んでも労災申請に必要な書類を用意してくれなかったんです。結局、私は労災の申請をあきらめ、実家に身を寄せて自費で療養するしかなかった」(女性介護福祉士)
腰痛は今でも完治せず、再就職もままならないという彼女は、なけなしの貯金を削りながら通院を続けている。こんな環境では、渡辺会長が「会社の存在目的の第一」とする社員の幸せはおろか、利用者の満足いく介護サービスなど、実現できるはずもない……。
(文=牧野源)
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