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どう見てもギャグ!? 豪華スタッフなのにC級テイスト漂う『戦姫絶唱シンフォギア』

shinfogia130.jpg『戦姫絶唱シンフォギア』公式サイトより

 ミュージカル嫌いで有名な芸能人といえばタモリ。彼いわく「なんでわざわざセリフを歌にするのかわからない。不自然じゃないか」と。この気持ち、わからないでもない。和歌の伝統がある我が国だけれども、近代的なドラマを歌とセットで見せられる文化はもともと存在していないのだもの。

 はてさて、そんなミュージカル文化の根付いていないこの国で、歌とドラマの融合という無謀な挑戦に果敢に挑んでいるアニメがある。1月から放送中の『戦姫絶唱シンフォギア』(TOKYO MXほか)だ。

 企画の中心になっているのは、声優にして紅白出場も果たした人気歌手でもある水樹奈々のプロデュースで知られる音楽制作集団「Elements Garden」と、ヒットゲーム『ワイルドアームズ』シリーズなどで知られるゲームクリエイター・金子彰史。異業種クリエイターの豪華コラボレーションだけでも不穏な気配に胸がざわめくが、さらに製作委員会には、『新世紀エヴァンゲリオン』のキングレコード、『魔法少女まどか☆マギカ』のアニプレックス、ニコニコ動画の運営元であるドワンゴ、そしてカードゲーム「ヴァイスシュヴァルツ」で我が世の春を謳歌するブシロードといった国内コンテンツ関連企業の有力株がこぞって参加しているのである。”覇権”の品格漂いまくりである。

 実際のところ作品の内容も、『マクロスF』や『けいおん!』などのヒットを受けて、「歌とアニメの合わせ技こそがアニメーション企画の勝利の方程式だ!」と考えた人たちが生み出した、まるで戦艦大和のような大艦巨砲主義精神に満ち満ちている。

 水樹はもちろん、『魔法少女まどか☆マギカ』の鹿目まどか役などで知られ、ソロアーティストデビューも決定している悠木碧、ユニット「TWO-MIX」としての活動で「声優にしてヒット歌手」の先駆者として知られる高山みなみ、ユニット「RO-KYU-BU」としてのアーティスト活動も記憶に新しい井口裕香ら、演技も歌もともに高い実力を備えたキャストを配した豪華な声優陣。彼女たちが演じる美少女たちが、サイバー感覚溢れるスーツを身に纏い、人々を苦しめる「ノイズ」と呼称されるモンスターたちと戦う。こう書けばなんだか楽しいオトナ向けプリキュアという雰囲気だが、問題なことに、彼女たちは戦闘シーンで歌いっぱなしなのである。おかげで、吉本新喜劇もかくやの衝撃コント時空が画面に発生してしまう。

 もちろん作中では、彼女たちの歌の力がモンスターを倒すためにはどうしても必要なのだ……と理由付けがされてはいる。しかし、迫り来る攻撃を必死で潜りぬけ、鋭いパンチやキックを放ちながら、BPM高めのテンションアゲアゲなユーロビート調楽曲を歌い狂う姿は、どう見てもギャグ。笑ってはいけないアニメ選手権である。

 考えてみれば『マクロスF』は歌う人と戦う人が別だったし、『けいおん!』だってライブはライブで、日常生活の中でいきなり歌い始めたりしない。発想の逆転、意外な新機軸を打ち出したつもりが、シリアスな笑い(by『バクマン。』)に繋がり、破天荒な面白さが生まれてしまったというオチか。

 またさらに、必殺技を撃つたびに画面に現れる謎の書き文字が、珍奇な魅力をブーストしてくれる。まるでインチキ外人の描いた勘違い和風アートのような決めカットが、見る側の笑いのツボをグリグリと容赦なく刺激してくるのだ。

 あまりにカオティックな魅力に、巷には作品名をもじった「シンフォギアン」を名乗るファンが急増中だそう。たまには、合成着色料バリバリの怪しいお菓子を食べるような感覚で、ジャンキーにアニメを見てみるのもよいのでは!? ラララ~♪
(文=御船藤四郎)

戦姫絶唱シンフォギア 1(初回限定版)

ある意味、伝説。

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最終更新:2013/09/09 17:37
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