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「清武の乱」がいよいよ2月2日からの法廷闘争へ(2)

読売社会部OBでジャーナリストの大谷昭宏氏が勧告する「ナベツネ辞任のススメ」

otani0129.jpg大谷昭宏氏

 昨年11月の清武英利元読売巨人軍GMの突然の会見に端を発した「清武の乱」。闘争の舞台はいよいよ法廷へ移されることに。東京地裁が第一回口頭弁論の期日を2月2日に指定したのは既報の通り(記事参照)。裁判の争点は、清武氏を解任した読売新聞社側の行為に正当性が認められるかどうかに絞られそうだ。

 清武氏といえば、かつて読売新聞社会部記者として大企業の暗部に潜り込み、数々の経済スキャンダルをスッパ抜いてきた武勇伝の持ち主。今回の清武氏の「乱」がそんな記者魂の発露から来ていると指摘するのは、同じく元読売新聞社会部記者でジャーナリストの大谷昭宏氏だ。同じ読売OBでジャーナリストの大谷氏の目に、今回の騒動はどう映っているのか。都内某所で大谷氏に聞いた。(聞き手/浮島さとし)

――いわゆる「清武の乱」をどうご覧になりますか。


大谷氏(以下、大谷) 私は渡邉(恒雄)会長に問題があったと考えています。報道ではコーチ人事について、「清武君とは会ったけど詳しくは聞いていない」と言い訳しているようですが、これはずるいやりかたでね。事実は認めて本質は認めない。彼はいつもこのやり方をするんだけど、渡したほうは相手が当然見るものと理解するんであって(編注:昨年10月20日に清武氏が桃井前オーナーとともに渡邉会長を訪ねて提出した、来季の巨人軍コーチ人事等を記した文書のこと)、見てないなら「詳細は後日議論して結論を出そう」くらい言わなければ、部下はたまったもんじゃない。どこの会社にもいるじゃないですか、「俺は聞いてねえよ」って言い逃れして責任を下になすりつけるバカな上司が。それと同じですよ。

――清武さんも大谷さんも読売新聞の社会部出身です。

大谷 といっても、彼はどちらかというと企業の内情や不正を書いたりする世界。第一勧業銀行総会屋事件や山一證券の破たんスクープなどが有名ですね。私は捜査一課の担当で、切った張ったの人殺しの世界だから(笑)。だから記者としてジャンルは違うんだけど、理解できる部分はありますよ。彼が記者時代に書いたスクープで、証券会社や金融機関のトップの首が飛んだわけですが、こうした情報は企業内部でわずかな良識派とも言える人たちの勇気ある告発がもとになっている。そういう取材を続けてきた彼が、「ナベツネが相手だから」と自己保身に走ってしまったら、かつて告発してくれた人たちからすれば、「お前の社会正義は何だったんだ」という話になる。つまり、彼自身が企業政治にどう挑むのかという、その答えが今回の「乱」だったのではないか。彼の記者としてのDNAが目覚めたんだと、私はそう理解していますけどね。

――渡邉恒雄という方は、敵が多い反面、ファンも多いように感じます。

大谷 「じじい」特有のかわいさがあるんですよ(笑)。新聞記者に揉みくちゃにされて「清武より暴力的だ!」なんて言ったりしてるけど、VTRをよく見ると「君らの苦労もわかる。おれも記者だったし、散々やってきたよ」なんて最後に言ってるわけ。そうすると記者はホロっときて「なかなかいい爺さんじゃねえか」となる。まさに食えない「じじい」というわけでね(笑)。昔から人たらしなんですよ。政治部の若手記者時代は大野伴睦さんという大物代議士を転がし、中曽根康弘さんを転がし、散々「じじ殺し」をしてのしあがってきた。そういう人心掌握術は、(田中)角栄さんに似ているところがあるね。

――大谷さんは元大阪読売の記者でしたが、渡邉さんはどんな方でしたか。

大谷 僕は大阪の社会部育ちだけど、ナベツネという存在を意識したときは副社長になってたかな。もちろん彼は東京本社だし、立場上も直接やりとりすることはなかったけど、当時の社長は大阪本社を作った務台(光雄)さん。だから、彼は大阪をすごくかわいがってくれた。ところが、ナベツネからすれば、大阪は自分の言うことを聞かない。なので、次々と自分の息のかかった人間を大阪に送り込んできた。あと、彼の社会部嫌いは筋金入りで、「社会部帝国主義」なんて言ってみたり、社会部記者を「紅衛兵」って呼んでみたりね(笑)。自分を可愛がってくれた大野さんや中曽根さんを社会部が嗅ぎまわったり批判したりすると、「おまえら紅衛兵なんか糞の役にも立たねえじゃねえか、政治家なんて少々のことは目をつぶって育てていくんだ」と言ったりね(笑)

――読売批判をすると関連メディアから仕事が来なくなるというのは本当ですか。

大谷 僕は今でも大阪の読売テレビからは声がかからないんですよ。日本テレビには出るけどね。たまに事情を知らない読売テレビの若い人間がオファーしてくるんで、「上司に確認してみたか」と聞くと、数日してから「申し訳ありません……」と(笑)。別に渡邉さんが命令してるわけじゃない。部下が気を使って自主規制しているんでしょう。ただ、こういうことを部下にさせてしまうことが問題なんですよ。今、彼の周りにはイエスマンしかいない。今回の騒動で裁判なんて愚行に走ったのも、もし氏家(齊一郎・日本テレビ元会長)さんが生きてたら「ナベちゃん、やめとけ」くらいのことは言ったと思いますよ。そういう仲間や側近を育ててこなかったことが、彼の最大の罪なんですよ。

●関連書籍/『別冊宝島1846 渡辺恒雄の虚像と実像』
<http://tkj.jp/book?cd=20184601>

渡辺恒雄の虚像と実像別冊宝島)

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最終更新:2023/06/12 20:04
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