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「クール・ジャパンなんてウソ」”精子人形”村上隆が日本のアニメ業界に苦言

0116pre-murakami.jpg「芸術起業論」(幻冬舎)

 ”股間の白い液で投げ縄人形”で一躍オタクカルチャーを世界に広めた村上隆氏の発言が波紋を広げている。

 これは、朝日新聞デジタルに掲載された村上氏へのインタビューの中で、インタビュアーから「『クール・ジャパン』の旗手として注目されているが」と問われた村上氏が以下のように反論したもの。

「『クール・ジャパン』なんて外国では誰も言っていません。うそ、流言です。日本人が自尊心を満たすために勝手にでっち上げているだけで、広告会社の公的資金の受け皿としてのキャッチコピーに過ぎない。外国人には背景や文脈のわかりづらい日本のマンガやアニメが少しずつ海外で理解され始めてはいますが、ごく一部のマニアにとどまり、到底ビジネスのレベルに達しておらず、特筆すべきことは何もない。僕は村上隆という一人の芸術家として海外で注目されているのであってクール・ジャパンとは何の関係もない」

 村上氏の作品といえば、旧来の日本のマンガやアニメからの影響が色濃く、2008年には競売会社・サザビーズが行ったオークションに裸の少年が精液を飛ばすフィギュア『My Lonesome Cowboy』が出品され、1,516万ドル(約16憶円)で落札されたことが大きな話題となった。

 そんな村上氏の発言に対し、ネット上では「そんなことは知っているけどお前がゆうな」「オタク文化をパクって無知な欧米人に見せたくせに」「アニメの方からもおまえなんかと一緒にされるのは願い下げだろ」など辛辣なコメントが頻発している。

 しかし、その一方で村上氏は、「クール・ジャパン」の問題点についても冷静に指摘。

「(クール・ジャパン戦略は)広告会社など一部の人間の金もうけになるだけ。アーティストには還元されませんし、税金の無駄遣いです。今やアニメやゲームなどの業界は、他国にシェアを奪われて、統合合併が相次ぎ、惨憺(さんたん)たる状態。クリエーターの報酬もきわめて低いうえ、作業を海外に下請けに出すから、人材も育たない。地盤沈下まっただ中です」

 こうした村上の指摘に、アニメ雑誌編集者は「うなずける一面もある」と言う。

「確かに、日本のアニメ業界はその苛酷な労働環境から若手が育たず、そればかりか、原画だけ国内で作って動画は海外スタジオへ丸投げするのが当たり前になりつつあります。日本国内の優秀な監督や作画監督も叩き上げのアニメーターが少なくありませんから、このままでは日本のアニメ文化は死んでしまうかもしれません。今の業界のシステムでは、実際に筆を動かしている現場まで金が下りてこないんですよ。局と広告代理店が先導する現在のアニメの在り方は、もはや限界に来ているといえるでしょうね」(同編集者)

 現在、2月にカタールで開かれる個展に向け、東日本大震災後の日本をテーマにした全長100メートルの「五百羅漢図」を制作中だという村上氏。同インタビューの中では「サブカルチャーと伝統絵画を結びつけた独自の作風で活躍する美術家」として紹介されている。

 作品についてはさておき、「作家が直接的に作品を金に換える」という方法においては比肩する者がないという評価も受ける村上氏。アニメ業界が”アートの錬金術師”に学べることも、もしかしたら少なくないのかもしれない。

芸術起業論

物議を醸してこそアート?

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最終更新:2013/09/09 19:04
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