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マンガ学部よりも就職はラク? 全国初のポピュラーカルチャー学部は成功するのか?

popularcul.jpg京都精華大学公式HPより

 昨年12月、全国で唯一マンガ学部を持つ京都精華大学が、今度はポピュラーカルチャー学部を新設することを発表し注目を集めている。この学部には、音楽コースとファッションコースの2つのコースが設置される予定だ。

 既に開設されている特設サイトでは、想定される就職先として音楽コースでは「ミュージシャン」「ソングライター」「DJ」「サウンドエンジニア」「音楽サイトや雑誌の編集者・ライター」「音楽プロデューサー」を、ファッションコースでは、「ファッションデザイナー」「バイヤー」「アパレルブランドプロデューサー」「ショップオーナー」「ファッション雑誌やウェブサイトのデザイナー・ライター・編集者」などを挙げている。加えてファッションコースでは「批評眼と伝える技術をもった批評家や編集者という、ファッション文化の担い手も育てる」とも記している。


 同大学のマンガ学部は定員200名あまりだが、そのうちデビューしたり、マンガ・アニメ業界に就職できるのは、ごく一握りに過ぎないのは既に知られている通り。

 華やかな職業を羅列したところで「そんなに、うまくいくものか?」と疑ってしまう。

 ところが、大学事情に詳しい人々に話を聞いてみたところ「これはなかなか手堅い経営戦略だ」という称賛の声ばかり。誰もが口をそろえるのは、学費を払うであろう親に対する訴求力の高さだ。

「才能の有無にかかわらず、音楽系の専門学校を志望する高校生は意外に多いのです。しかし、親は”学費を出すのであれば四年制大学に進学してほしい”と考えるのが当たり前です。このコースは、両者のニーズをうまく一致させているといえるでしょう」(都内大学職員)

 つまり、大学での授業内容や卒業後の進路は、「人並みに大学に行ってくれるんなら……」と、親の心をくすぐることができるものといえる。

 また、ファッションコースも、手堅い就職を期待させるコースだと分析される。

「全員がファッションデザイナーになるのはとても無理でしょう。でも、ショップの販売員であれば、さほど困難とは感じないハズです。おそらく、販売員になりたいギャル系の女のコあたりを入学志望者に想定しているのではないでしょうか」(同大学職員)

 さらに、音楽とファッション、どちらのコースもマンガ学部より「就職」あるいは「デビュー」させるのは簡単にできるのではないかという指摘も。

「マンガ家になるには、最低でも商業誌に16ページくらいの作品をひとつは掲載しなくてはならない。そのハードルは極めて高いといえます。けれど、音楽ライターやファッションライターならどうでしょう? ページの埋め草的な文章を400字でも書けば、デビューしたとしてカウントできますからね」(ファッション誌編集者)

 どうも景気のよい話だけれど、やはり「そんなにうまくいくワケがない」という意見もある。ジャンルによって違いはあるものの、ファッションの販売員の出世コースは20歳で店長、25歳を過ぎたあたりで管理職というのが当たり前の世界だ。出世する人材の大半は、高校を中退して17歳くらいで就職した人々だとされる。つまり、大学を出てからでは感性を磨く時間もなく、既に手遅れなわけだ。

 また、特設サイトでは「楽器が弾けなくても、服づくりの経験がなくても。音楽とファッションにひたりきれる場所がここにある」という宣伝文が掲載されているのだが、ここには誰もが苦笑する。

「DTMだったら、楽器は弾けなくても作曲できるかもしれませんが、それで音楽業界に就職できるかといえば……」(音楽業界関係者)

 開設後、一体どんな学生が集まるのかが注目される。
(文=三途川昇天)

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名乗ったモン勝ち。

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最終更新:2013/09/09 19:10
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