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業界志望者必読!

やっぱり!「コミュ力ない人間は不要」アニメ業界の求める人材はコレだ!

R0029844.jpgマンガ産業に続いてアニメ産業でも技術職の育成は進む。漠然とした「業界志望」じゃもうダメだ

 アニメ業界が、業界志望者たちに求めるスキルとはなにか。そして、それは大学や専門学校などの育成機関で教えることができるものなのか? 1月13日、日本動画協会が主催する「アニメ・クリエイター育成ビジョンづくり 産学共同推進プロジェクト」のキックオフ・シンポジウム「現場からの報告:教育機関のカリキュラム・産業界の人材育成」が、秋葉原の同協会会議室で開かれた。

 アニメが日本のコンテンツ産業の核であり、海外にも輸出できる商品力の高い物であることは、間違いない。ところが、今後のアニメ産業の核となる人材を育成する方法は、いまだ確固たる物とはなっていない。このプロジェクトは教育機関とアニメ産業界の人材育成の考え方を検証し、共同で環境や方法を検討するというものだ。

 この日のシンポジウムでは教育界・産業界双方からパネリストが出席し、現状と、これまでの人材育成の状況についての意見交換が行われた。

 冒頭、2010年にアニメ製作会社を対象に行ったアンケートについて報告した日本動画協会事業副委員長の増田弘道氏によれば、アニメ産業の人口は製作に関連する部分(脚本・声優なども含む)で2万3,000~2万5,000人規模。これに流通を加えて、3万人程度の産業だとされる。そして、新規の採用数はアンケートに回答したものを推定すると、09年度実績で動画が平均4.5名、美術が平均2.1名、仕上が平均2.7名、撮影が平均2.1名を、それぞれ採用していると報告。実際には、この数の2~3倍が採用されていると増田氏は分析している。つまり、なんからのスキルがあればアニメ産業は、さほど参入が困難な業界ではないことが見て取れる。

■教育機関に望まれるのは、社会常識やほうれんそう

 さて、アニメ産業で必要とされるスキルだが、アンケートの回答では「やはりか!」という結果が出ている。もっとも希望されるスキルは画力。これは、製作現場であれば当然のことだし、単に上手い下手ではなく手の速さまで含んでということだと分析できる。そして、その次に希望されるスキルとしてあげられていたのが「コミュニケーション能力」、間に「パース図法」を挟んで「アニメーションの一般的知識」と続いている。

 さらにアンケートで「教育機関に望むこと」として挙げられているは、トップが「常識的な基礎知識」つづいて「社会常識」となっており「専門技術」は3位となっている。上位の2つを具体的に記すと、読む・書く・伝えるなどのコミュニケーション能力、言葉遣いや応対、年金や保険のシステムだそうで、やはりアニメ業界であっても才能以前に一般企業と同じスキルが求められていることがわかる。具体的に必要な物として「ほうれんそう」と記入してきた回答もあったそうで、よほど採用してから後悔するようなことがあったのだろうか?

 続いて、教育界から発言したのは東京藝術大学大学院アニメーション専攻の岡本美津子教授だ。岡本教授によれば、同大学院でアーティスト志向なのは半数程度、もう半数は就職志向で近年はゲームメーカーに優秀な人材が流れていることも述べた。その上で、育成にあたっては、短編作品を、一人で一年に一本製作させる課題を課していることを述べた。

 続いて発言した日本工学院クリエイターズカレッジ・カレッジ長の佐藤充氏は教育にあたって「自分の作品をプレゼンできる能力」の育成にも力を注いでいることを述べる。同校では、就職に不可欠な人間力の育成として、毎朝、先生がロビーに立ち、あいさつ運動を行ったり「遅刻禁止、毎日登校する、〆切を守る」等が記された学生の心得のようなものを配布している。

 教育機関でも、一人で製作させることによって製作の流れを理解させたり、責任感を植え付けるといった行為を通じて「常識」を身につける方法が試されていることがわかる。

 アニメ産業側から発言したスタジオジブリの稲村武志氏は業界志望者の現状を次のように語る。

「携帯電話やネットの世代は、感応的なアニメの描き方が苦手、コピーを消費することで満足している人が多い」

 その上で、アニメ製作に求められるスキルは、テキパキできる作業能力であり、コミュニケーションを取ってしっかりと学べる人のほうが上達も早いという経験に即した意見を述べた。

 この日のシンポジウムでは短時間ながら、パネリストが自身の体験を元にした生の声を聞くことができたと思う。日本動画協会では、教育機関やアニメ製作会社の人材育成を報告書にまとめ、3月の当局国際アニメフェアにて成果発表する予定だ。これをもとに、来年度以降は具体的な人材育成のプロジェクトが行われることになりそうだ。

 このシンポジウムは平日の開催であり、観客の多くは業界関係者だったが、他方、業界を志望する学生の参加目立ち、質疑応答では「学生側に、こういうことを発信する機会がもっと欲しい」という意見も。技術職の育成は着実に進んでいるが、それ以外の業界志望者を育成するシステムは、まだこれからだ。
(取材・文=昼間 たかし)

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最終更新:2013/09/09 19:28
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