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ミスチル桜井、西原理恵子、乙武洋匤の”最期の夜”とは?『世界が今夜終わるなら』

konyaowarunara.jpg『世界が今夜終わるなら』(A-Works)

 もし今夜、世界が終わるとしたら、あなたは何をして過ごすだろうか。

 日本中が深い悲しみや憤りに包まれた2011年。あっという間のようで、とても長くてずっしりと重い、そんな1年だったが、震災後、多くの人が”人生の終わり”というものを、多かれ少なかれ意識したのではないだろうか。いつか必ず誰のもとにもやってくる”死”。頭では分かっていても、慌ただしい毎日を送るうちにそんな意識は薄れ、あたりまえの日常がずっと続くと思い込んでしまう。けれど、人生の残り時間は意外と短い。”そのとき”をなんとなく予感できたらラッキーだけれど、なんの前触れもなく突然やってくる場合がほとんどなのだろう。

 『世界が今夜終わるなら』(A-Works)は、ラッパーのGAKU-MCが著名人27人に「最後の夜の過ごし方」をインタビューした本だ。Mr.Childrenの桜井和寿や乙武洋匤、漫画家・西原理恵子、そしてサッカー女子日本代表・澤穂希など、バラエティーに富んだメンツが名を連ねている。

 普段と同じように過ごすという者、家族や仲間たちと過ごすという者、飲んで食べて騒いで楽しむという者など人それぞれだが、なんとなく、”その人らしさ”というものがうかがい知れる。

 先日、FIFA女子世界最優秀選手に選ばれた澤穂希は「大好きなサッカーをして、仲間と友達と家族と一緒にご飯を食べたい」、乙武洋匤は「愛情を注いでくれた父の墓参り」と語る。

 そんな中、とくに印象深かったのは、西原理恵子の言葉だ。

「今まで目の前で沢山死んだ人を見てきたけれどみんな立派でした。非常に穏やかに笑って逝きましたんで、私も何かあるんだったら穏やかに笑って逝こうかと」

 西原は、重度のアルコール依存症だった元夫をガンで失くしている。長きにわたる依存症を克服し、やっと家族がまた一緒に暮らせると思った矢先の出来事だった。そんな元夫は「子供を傷つけずにすんだ、人として死ねるのが嬉しい」という言葉を残して死んでいったという。

 ある日突然、大切な人を失うことはとてもつらく悲しいことだし、できればそんな日が来るなんて考えたくはない。自分の人生だって、たとえいくつになってもまだまだやり残したことがたくさん出てくるだろう。けれど、人生の残り時間を意識することではじめて、”生きる”ということに真摯に向き合えるのではないだろうか。

 最近では、万が一の時に備えて、自分の思いや希望を家族などに伝えるためのノート「エンディングノート」がちょっとしたブームになっているが、最期を考えることは必ずしもネガティブなことではない。むしろ、「最高の人生を送るためには必要なこと」だと、GAKU-MCは言う。

 誰と出会い、どこへ向かい、何をするのか。あらためて自分の未来予想図を描いてみたくなるそんな1冊だ。

世界が今夜終わるなら

パーティーだな。

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最終更新:2013/09/09 19:51
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