トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 「俺はいってぇ誰なんだ?」板尾創路監督が第2作で魅せた妙味『月光ノ仮面』

「俺はいってぇ誰なんだ?」板尾創路監督が第2作で魅せた妙味『月光ノ仮面』

new_main.JPG(C)2011『月光ノ仮面』製作委員会 / 配給: 角川映画

 今週は、クラシカルな題材の現代的な翻案、日常に浸食する非日常、キャスティングの妙が味わい深い日米の新作映画2本を紹介したい。

 まず1本目は、1月7日公開のホラーアクション『フライトナイト/恐怖の夜』(2D/3D上映)。ラスベガス郊外で母と暮らし、美人の彼女エイミーと楽しく過ごしていた高校生チャーリー。だが、隣家に魅力的な男ジェリーが引っ越してきてから、級友や町の住民たちが次々と行方不明に。かつてのオタク仲間から、頻発する失踪事件がバンパイアのジェリーの仕業だと知らされたチャーリーは、母と恋人を守るため、ジェリーとの戦いを決意する。

 85年の伝説的カルト映画『フライトナイト』(トム・ホランド監督)を、『ラースと、その彼女』(2007)のクレイグ・ギレスピー監督が最新の視覚効果と3D映像でリメーク。主演のアントン・イェルチンは、『スター・トレック』『ターミネーター4』(ともに09)といったSF大作や、堀北真希の恋人役を演じた『誰かが私にキスをした』(10)などへの出演が記憶に新しい。タフガイ役の多いコリン・ファレルのバンパイアも意外にハマっているが、エイミー役の新進女優イモージェン・プーツも派手な目鼻立ちとキュートな笑顔が印象的で、今後の活躍を期待したい。オリジナルを尊重し全体にオーソドックスな展開だが、3D特有の臨場感と没入感でテーマパークのアトラクション的にスリルと興奮を味わえる娯楽作だ。

 続いては、板尾創路が監督・脚本・主演の『月光ノ仮面』(1月14日公開)。日本が敗戦から立ち直り始めた昭和22年、ボロボロの軍服に顔じゅう包帯の男が寄席小屋のある町に帰ってくる。男は一切の記憶をなくしているが、どうやらかつての若手人気落語家・森乃家うさぎらしい。古典落語『粗忽(そこつ)長屋』を呪文のようにつぶやく男は、森乃家一門に支えられ、やがて高座に復帰するが……。

 板尾監督作品としては『板尾創路の脱獄王』(10)に続く第2作。浅野忠信、石原さとみ、前田吟、木村祐一、宮迫博之といった個性派出演陣をそろえ、テレビでもおなじみのシュールな世界観とナンセンスな笑いをディープに展開。浅野、六角精児、矢部太郎らが劇中で聞かせる達者な噺も、落語ファンにはうれしいポイント。じわじわと溜まっていた不条理が一気に爆発するかのような終盤のクライマックスと、『粗忽長屋』の筋とリンクする不確かなアイデンティティーの妙味が余韻を残す異色作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『フライトナイト 恐怖の夜』作品情報
<http://eiga.com/movie/56859/>

『月光ノ仮面』作品情報
<http://eiga.com/movie/56010/>

しんぼる

ホントの”天才”は松っちゃんじゃなかったようで。

amazon_associate_logo.jpg

【関連記事】
早くも2012年ベスト1映画が登場!”代理殺人”を巡る恐怖『哀しき獣』
父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』
新宿の劇場に通い詰める名物男が語る2011年、本当に面白かった邦画・洋画

最終更新:2018/12/07 18:31
ページ上部へ戻る

配給映画