セックスはテクニックよりも信頼感 彼女にも読ませたい『HOW TO オーガズム』
#アダルト #本
日本人のセックス回数が、世界最低レベルなのは今や常識だ。外国人が驚く、レベルの高いアダルトビデオやコミック等々、セックスメディアが溢れ返る日本では、もう誰もセックスに興味がないのか? と思いきや、意外なことにセックスをテーマにした「実用書」が出版ブームなっていた。
これまでも幾度かセックス本ブームはあったが、昨今、出版されているものの特徴は、医師が監修し、医学的な根拠に基づいて本当にセックスを楽しむためのキモになる部分にテーマを絞っていることだ。最近注目されている中の1冊『もちろん女医が教える 彼女にも読ませたいHOW TOオーガズム』(文苑堂)は産婦人科医の池下育子氏の監修によるもの。本書で驚いたのは、冒頭で「本書は女性を喜ばせるセックスのテクニックだけを一方的に指南するハウツーセックス本ではありません」と言い切っていることだ。
これまでのセックス本ブームでは「より気持ちよくなる方法」に主眼が置かれていたのだが、昨今のブームはそれとは違い「セックスで気持ち良くなるとは、こういうことです」と、諭すように教えることに主眼が置かれている。
なるほど、男であれ女であれセックスの後で「ホントに気持ちよかったのかな」と不安を抱いたことは必ずあるはず。あるいは、常日頃からパートナーに「愛撫の時間が短い」とか「ピストンが早すぎる」とか、不満な部分があるのに口に出せない人もいるだろう。
本書では、まず男女の性器のメカニズムを解説し「女性にとっては上手いか下手よりも、好きか嫌いかのほうがはるかに重要」「どんな男性もイチコロのものすごい女性器は迷信」であるとして、気持ちのいいセックスが二人の協力によって得られるものであることを示していく。前戯とインサートについて、解説した章では「愛撫やタッチは(これまでの)十分の一にする」といった具体的なレクチャーから「女性の乳房は、男性のペニスと同じくらい大切な場所」という精神的な側面まで、きちんと解説してくれる。
また、ベッドに入る前の男性視点では気づきにくい事柄への解説も充実している。女性が生理だった時の上手な対処法も「これは!」という気づきが多いが、さらに驚いたのは女性にとっての下着の価値にもページを割いていること。「ブラジャーのカップの部分を少しだけずらして乳首を露わにすると、ワイヤーが曲がってしまうことがある」「下着の上から女性器を愛撫するのは、有効なテクニックだが下着が汚れるのを嫌がる女性はけっこういる」等々、男性には気づかないことばかり。ここで書かれていることを実践するだけで、パートナーが信頼して身体を預けてくれるのではないかと思う。
少し前には、草食系男子や肉食系女子という言葉が流行し、結果としてセックスに対するネガティブなイメージが蔓延してしまっているのではないかと思う。とはいうものの、「セックスなんてしたくない」と、本気で思っている人なんているとは思えない。相手のあることだから「失敗したら、どうしよう」という恐れが先に立ってしまっているというのが、本音であろう。だからこそ、本書のような科学的に知っていて当たり前なことを解説する中で、知らなかった部分に気づいていくスタイルのセックス本は価値がある。
SNSなどさまざまなコミュニケーションツールの発達によって、むしろセックスする機会に出会いやすい環境は整っているハズだ。男性も女性も、こうした書籍で知識を再確認して、本当に気持ちいいセックスにチャレンジして欲しい。あ、本書でも触れているが避妊と性病の知識も忘れずに。
(文=昼間たかし)
もちろん女医が教える 彼女にも読ませたい HOW TO オーガズム
とりあえず読んでおけばいいと思うよ。
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