サイキックかマジックか……ユリ・ゲラーの弟子に向けられる疑問
#山口敏太郎
UMA、心霊現象、都市伝説、オカルト……科学や情報技術が発達した現代でも、今なお話題に上がり続ける真贋不明な有象無象を、”摩訶不思議”のオーソリティー・山口敏太郎が縦横無尽にぶった斬る
昨年末、大槻教授のブログが話題に上った。年末恒例のテレビ朝日『ビートたけしの超常現象Xファイル』に登場したユリ・ゲラーの弟子・リオー・スシャール氏のマジック(?)の種に関して、大槻教授が推理を展開しているのだ。
幾つか教授らしい興味深い推論が展開されているが、そもそもマジシャンの種明かしは野暮天の極みのように思えてしまう。これは筆者の推論に過ぎないが、大槻教授は、マジックでありながら”超能力(サイキック)”と主張するリオーサイドの言説が紛らわしいと言いたいのではないだろうか。
リオー氏は2010年、2011年と2年連続の出演となったが、番組共演者の大部分は、リオー・スシャール氏のことは”なかなか種が見破れない優秀なマジシャン”という認識で見ていた。感覚的に言うと”超魔術”のMr.マリックみたいなもので、視聴者の大部分も、”超能力(サイキック)”ではなく”マジック(手品)”だと思いながら見ていたのではないだろうか。
2011年の収録では、筆者こと山口敏太郎は後半に出演したが、同じ収録現場におり至近距離で見事なテクニックを見せてもらった。彼は、かつて世界中で超能力ブームを巻き起こしたユリ・ゲラーのフォロワーを探すべくイスラエルで開催された『ネクスト・ユリゲラーを探せコンテスト』(我々日本人で言うと『21世紀の石原裕次郎を探せコンテスト』みたいなものだろうか)で優勝し、名をあげた新手のエンターテイナーである。
コンテストでは人格・エンタメ性・サイキックなど数々のチェック項目を設け、審査員や観客が厳正に審査し投票。その結果優勝者に選ばれただけあって、人間性も良くファンサービスにも長けた好人物であった。筆者はスタジオだけではなく、新聞の対談で一度長く話しているので、非常に頭の良いエンターテイナーであり、21世紀のショービジネスには必要不可欠な存在だと思っている。
ただし、日本での展開に関して問題が無いわけではない。彼の基本コンセプトなのだろうか。明らかに種があるように思えるにもかかわらず「マジックではない超能力(サイキック)である」と主張するスタイルである。
見る人々を煙に巻くスタイルは、「ハンドパワー」と唸っていた初期のMr.マリックをも彷彿させる。この初期のマリックスタイルはオカルト否定論者の上岡龍太郎を激怒させ、Mr.マリック自身が”種がある”と公言していくソフト路線への転向につながっていく。このあたりのくだりが、今回の大槻教授の指摘と似ているように思えてならない。
どちらにしろ、マジシャンの種は”やらせ”ではなく、それは批判の対象にすべきではない。問題なのは演技の途中で、「マジックですよね?」と聞く共演者に対して「超能力(サイキック)である」と答えてしまうオーバートークであると思う。欧米人が笑って気にしない”超能力とマジックの違い”、その違いを我々日本人は気にしてしまうのだ。
(文=山口敏太郎)
●やまぐち・びんたろう
1966年7月20日生まれ、徳島県出身。血液型AのRHマイナス。作家・漫画原作者・ライター・オカルト研究家などさまざまな肩書を持つ。UMAや心霊・都市伝説など、あらゆる不思議分野に精通する唯一のオールラウンドプレイヤー。
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B-FILE。
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