インタビューされる快感がクセになる!? 「ザ・インタビューズ」って何?
#ネット
2011年に登場したウェブサービスの中で際立って成長したものといえば、株式会社paperboy&co.(以下、ペパボ)の「ザ・インタビューズ」(http://theinterviews.jp/)だろう。
ユーザー同士がインタビュアー・回答者になって記事を作成するというシンプルなテキスト系サービスだが、8月にリリースしてわずか2カ月で会員数は22万人を突破、9月末より正式なペパボのサービスとして運営されるようになった。
しかし、ユーザーの中には「なかなか質問されない」といった悩みを抱えている人がいたり、波に乗り遅れて「今さら使い始めても誰も相手してくれないのでは?」と考えている人も多いようだ。そこで、「ザ・インタビューズ」の開発者であるペパボの福田大介氏と、ディレクターの蛭田悠介氏に、サービスの上手な使い方から、開発の秘話、今後の展開などについて話を聞いた。
――「ザ・インタビューズ」は短期間で数十万というユーザーを獲得しましたが、受けた要因は何だったのでしょうか?
福田大介氏(以下、福田) 使う人がインタビュアーになれる、質問がやってくる、というコンセプトがよかったのだと思います。このサービスは誰かに質問されないと始まらないサービスなので、ユーザーがTwitterやFacebookで「何か聞いてほしい」というアピールをし始めたため多くの人の目に留まるようになり、好循環が生まれました。
蛭田悠介氏(以下、蛭田) 普通の人もインタビューされる快感がある、というのは私たちにとっても発見でしたね。
――最初は、Twitterでもフォロアー数の多い人や、ライター・編集といった業界の人が使っている印象がありました。
福田 そうですね。プロのライターさんに多く使っていただいているのはうれしいですね。普段はインタビューする側の人が、質問に答えているという逆転が起きているのが面白いのではないかと思います。
――しかし逆に、本当に普通の人からは、「なかなか質問されない」という声も聞かれます。
福田 このサービスは自分で積極的に使わないと相手から質問されないし、気づかれない。最初に3つくらいの質問に答えてみて、それをTwitterなどにアウトプットすることから始めてみてほしいですね。
蛭田 ただ、有名な人や特定の人にばかり質問が集まりがちで、質問数の少ないユーザーに対するケアというのは今後の課題ではあります。
――「これから使ってみよう」という方に、上手に使うヒントを教えていただけますか。
蛭田 福田も言っていましたが、常にアウトプットすることですね。相手からの質問が来て、答えたことをアウトプットする。それが循環していくことを体感してもらいたいです。
福田 質問に「答える」という以外にも、いろいろな人に「質問する」、自分が質問されたことを「読む」という楽しさがあります。
蛭田 Twitterは140文字ですし、今、長文を書く機会が少なくなってきていると思うんです。だから、久しぶりに長い文章を書くのもいいものなのでは、と。後々、答えたことを自分で読み返すと「そんなことを考えていたんだ」ということが分かって、記録の役割も果たせるように思います。
――そもそも、このサービスが生まれるにあたってのきっかけは何だったのでしょうか?
福田 ペパボでは毎年「お産合宿」という開発合宿をやっているんですが、企業のコーポレートサイトで使えるようなサービスを考えていたところ、似ても似つかぬものができてしまったというか(笑)。「最終的には自社内で使えればいいか」という気持ちで企画書を出したんです。それが通って、準備期間の3日間と1泊2日の合宿で、開発は自分がやって、通販情報サイト「カラメル」(http://calamel.jp/)のデザイナーのはるなさんにビジュアルを作ってもらってできました。
――最初は会社内でのコミュニケーションツールとして想定されていたというのは興味深いですね。Twitterなどソーシャルメディアでの広がりは狙ったものでしたか?
福田 いや、予想外でびっくりしました。
――質問する・しない以外の機能がないというのも、場が荒れない理由ですね。
福田 当初から内部にコメント機能をつけない前提でやっていたので、最初からTwitterやFacebookと連携させることは決めていました。
――ユーザー層はどうでしょう?
蛭田 6対4で女性の方が多いです。年齢は20代の学生を中心に使っていただいてます。
――正式なサービスになってから、出版社とのコラボなども展開されていますね。
蛭田 講談社さんと『スティーブ・ジョブズ』(著 ウォルター・アイザックソン、翻訳 井口耕二)の刊行と合わせて「あなたの上司や先輩がジョブズだったらどうしますか?」といった質問をするようなコラボを実施しています。他にも、映画『怪物くん』(仲村義洋監督)に出演している川島海荷さんや、USTREAMの番組と合わせて声優の茅原実里さんへの質問を募集して、生放送で茅原さんご本人に答えてもらう企画をしました。これからも業種にこだわらず、いろいろなコラボをやってみたいです。
――11月には、英語・中国語でのサービスも開始されました。今後も海外を意識されるということでしょうか。
蛭田 そうですね。フランス語やスペイン語なども追加していきたいですね。
福田 思ったよりも中国や台湾の方が使ってくれています。日本発のウェブサービスで、海外でも使われているものはなかなかないので、世界で使われるサービスになりたいですね。
――今後、「ザ・インタビューズ」をどんなサービスに育てていきたいとお考えですか?
蛭田 私はそれこそ、プロの方にもインタビューする際に使っていただきたいな、と思っていますね。
――そうすると、われわれの仕事がなくなってしまいます(苦笑)。福田さんはいかがですか?
福田 まだ具体的ではないんですが、弊社の電子書籍の「パブー」(http://p.booklog.jp/)との連携も視野に入れています。シンプルなサービスなので、インタビューされる楽しさ、する楽しさの両方をより多くのユーザーに体感してもらえるように、これからもより使いやすくしていきたいと考えています。
(取材・文=ふじいりょう)
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