金正日死去を日本語放送「朝鮮の声」はどう報道している?
#北朝鮮
本日(19日)正午、突然世界をかけめぐった朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の金正日総書記死去のニュース。さまざまなメディアが速報を伝え、街頭では新聞社が号外を配るなど、日本国内でもこのニュースは大きく取り上げられている。
現在、各メディアは「朝鮮中央テレビで報じられたところによると」として、情報を発信している状況だ。日本での「朝鮮中央テレビ」の受信は困難だが、もっと手軽な方法で生の情報を得ることができる。それが、朝鮮中央放送委員会による日本語放送「朝鮮の声」である。これは、北朝鮮の平壌から日に6回放送される、いわゆる宣伝放送だ。かつて、金日成主席死去の際は音楽を流し続ける特別編成となったが、今回はどうなるのか? 短波ラジオのスイッチを入れた。
受信環境によるのだろうが、筆者は周波数9650KHz(ラジオは20年愛用しているSONYのICF7600DAを使用)が最も明瞭に受信できる。放送内容は通常、16時から第1プログラムを放送、17時から第2プログラムを放送するという形態(他の時間帯も同様である)だ。
本日16時から始まった放送(冒頭3分ほど聞き逃した)では、冒頭で金正日総書記の訃報を伝えた後、通常番組ではなく「金正日将軍の歌」「インターナショナル」「不世出の愛国者金正日将軍」などの音楽を流す特別編成で放送された。ただ、音楽の合間に、通常番組である金日成主席の回顧録「世紀とともに」が朗読された。後半が通常番組編成だった理由は不明である。
17時からの放送では、通常通り「朝鮮の声放送です」という男女のアナウンスと北朝鮮国歌の放送によるインターバル・シグナル(ラジオ放送で開始前に識別のために行われる音楽とアナウンス)の後、「リスナーのみなさん、ただいまから、朝鮮民主主義人民共和国の首都・平壌からの日本語放送をお送りします」とアナウンスが入り、そのまま音楽へ。やはり「金正日将軍の歌」など歌を2曲流した後に訃報を報じた。
訃報では「朝鮮革命が勝利を続けている時に(正日氏が)死去したことは大きな損失」「金正日同志は、主席の最も親しい同志として革命伝統をしっかり守り、引き継いだ」「社会主義の偉大な守り手」と、最大級の献辞で、その偉業を称える。さらに、我々「白頭山の革命の伝統」を「金正恩同志のみちびきで悲しみを力に変え」て、「不滅の革命業績を守り育てていく」とし、「革命の炎を国中に燃え上がらせなければならない」「労働党と人民は世界各国との友好を強化し自主的な新しい平和をつくる」「敬愛する総書記の優しい姿は人民の心の中に永遠にとどめられ、功績は国の歴史に輝く」とスローガンを続けた。
さらに、金正恩氏を序列一番とする232名で構成される国家葬儀委員会の名簿の一部を読み上げて、追悼期間などの予定も報じている。
放送内容自体はすでに朝鮮中央テレビで放送され、日本国内のメディアが報じているものと大差ない。だが、情報が少ない北朝鮮において、価値ある生の声であることは間違いない。短波ラジオがなくとも、時間帯によっては中波(AM)でも発信しているので、手軽に聞くことができる。
放送時間と周波数は、以下の通り。
時間
16:00~17:00
17:00~18:00
18:00~19:00
19:00~20:00
20:00~21:00
21:00~22:00
周波数
621 6070 9650 7580kHz
時間
06:00~07:00
07:00~08:00
08:00~09:00
周波数
621 9650 7580kHz
(文=昼間 たかし)
本当に激動の1年です。
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