『サザエさん』猛烈な”花沢さん推し”に見るアニメ界のサブキャラ活用術
最近気になるのは、アニメ『サザエさん』における花沢花子さんの出番が、やたらと多いこと。
かつてはクラスメートのカオリちゃんと早川さんが、「タイプ違いのヒロイン」「クラスの人気を二分している存在」として、「甲乙つけがたい」「本命・カオリちゃん、対抗・早川さん」みたいなカツオの心情がよく描かれていたように思う。「顔がいいのはカオリちゃんで、性格が良いのは早川さん」的な設定も確かあったような気がする。
にもかかわらず、今では露出は完全に花沢さんばかりが多く、カオリちゃんは影が薄くなり、まして早川さんはほとんど空気で「誰?」と思う人すらいるだろう。
やや太め&だんご鼻&ダミ声で押しが強い花沢さんは、もともとオチ担当ではあった。
だが、花沢さんはアニメオリジナルキャラのはず! なぜ花沢さんばかりがプッシュされているのだろうか。漫画編集者に聞いた。
「花沢さんは愛嬌があり、面倒見が良くお節介で、ヒロインであるサザエさんに通じるものがあるので、もともと人気が高いですよね。また、カツオに対して優しい・一途なところも好感度につながっていると思いますし、あちこちにお節介で首をつっこむキャラクター性も、話をころがす上で、便利だということもあると思います」
ただし、花沢さんは特に珍しいケースではないのではないか、と同編集者は言う。
「『サザエさん』でいえば、同じくアニメオリジナルキャラの穴子さんなどは、特徴的な顔やヘンな名前に加え、アニメの声のインパクトもあってか、近年、一人歩きしてますよね」
また、漫画に詳しいある編集者は言う。
「サザエさんだけでなく、長期アニメでは時期によって推してるキャラが変わるということがよくありますね。たとえば、『ちびまる子ちゃん』。一時は劇場版『ちびまる子ちゃん 大野君と杉山君』で登場した大野君・杉山君コンビを多用していましたし(アニメ版では1995年から登場)、また、原作でも独立させるくらい作者が気に入っているらしい”永沢君話”が、非常に多かった時期もあります」
そういえば、『ドラえもん』においても、にわか層に「きれいなジャイアン」が大ブレークしたことなどを機に、ジャイアンがやたらとプッシュされている。12月2日放送回においては、とうとう「もっときれいなジャイアン」が登場。
この”きれジャイ”は、人を絶世の美男美女に映し出すことで、調子よくおだてておかしな姿を勧めてくる「うそつきかがみ」(原作にもアリ)が出てきて、一部視聴者の間では「神回」とも呼ばれていた。
世間の人気にあわせてメンバーのポジションを変え、露出を増やしていくという意味では、テレビアニメもアイドルグループと同じ? 花沢さんも、庶民的な雰囲気と愛嬌・頼もしさが今の時代にピッタリなのかもしれない。
けど、付き合うならやっぱりカオリちゃん。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事