「世界滅亡の断言」を強要された!? オカルトにかかわるマスメディアの責任とは
#山口敏太郎 #摩訶不思議ぶった斬り
UMA、心霊現象、都市伝説、オカルト……科学や情報技術が発達した現代でも、今なお話題に上がり続ける真贋不明な有象無象を、”摩訶不思議”のオーソリティー・山口敏太郎が縦横無尽にぶった斬る
心霊、妖怪、都市伝説、UMA、UFO、陰謀論……この手の分野を扱っていると、いろいろと仰天することに出くわす。特にこの手の分野をまったく疑うことなく妄信している人々、俗にビリーバーという妄信者には迷惑することが多い。とにかく、奴らは他人の迷惑など省みず、自分のことばかり主張するのだ。
とある人物などは、日々締め切りと納期に追われる弊社(株式会社山口敏太郎タートルカンパニー)に、毎日のように電話をしてきて、自分の宇宙人体験を聞かせようとする。最初のうちは社員たちも黙って聞いていたのだが、徐々に編集業務や執筆業務に支障をきたすようになってくる。
このままでは、取引先に迷惑をかけてしまうので、会社の代表としてその人物に「仕事中なので、何度も何度も電話をかけないでほしい」と伝えると、突如逆ギレ。「なんで自分が体験した世界的に貴重な話を聞かないのか!!」と大暴れ。なだめて電話を切ったのだが、大変不快な思いをした。
毎日職場に電話してくる己の非常識な行動を否定されたにもかかわらず、彼の頭の中では、自分の体験談(単なる妄想)を山口敏太郎に否定されたと思い込んでしまったようで、その後あちこちに電話して妄想を撒き散らしているようだ。彼はこの先、何十年も妄想の世界で夢心地のまま人生を終えるのであろう。
また、突然尋ねて来て、いきなり面会を求める妄信者も困りものである。うちの事務所は毎日のように来客があり、編集者や放送作家、テレビスタッフと打ち合わせを重ねている。ゆえに、いきなりやってきて玄関先で「山口敏太郎に会わせろ!!」と叫ぶものだから、打ち合わせもできず、もう大変である。中には、怪しげな器具や預言書(小学生レベルだが、逆にそれが”20世紀少年”みたいで怖くもある)を手渡そうとする輩もいる始末で、最近はインターフォンで関係者かどうか確認し、アポのない人物は取りつがないようにしている。
逆に筆者を妄信者扱いする人間も稀にいる。筆者の本やテレビ・ラジオでの発言をチェックしていれば、妄信者でも全否定論者でもなく、不可解な現象の案件ごとで、真偽を判断するのが山口敏太郎流だと理解できるのだが、テレビやラジオのスタッフでありながら
「山口さん、2012年人類は滅亡すると断言してください」
「なんでもかんでも、宇宙人の陰謀だって言ってください」
と言ってきたりする場合がある。
「人類滅亡なんか、するわけないじゃん。あるのは資本主義の限界が見えることかな」
「なんでもかんでも、宇宙人の陰謀にしちゃ駄目でしょう」
と答えると、
「ええっ、今までの専門家みたいに妄信してないんですか」
と、ひどく驚くのだ。確かに不思議な現象は実際にあるが、報告される事例のうち95%以上がなんらかの勘違い、妄想、虚言でしかない。これはフェイク情報を切り捨てたとしても残り5%の中に真の不思議現象が残るのだ。
どちらにしろ、オファーする相手をもっと調べてから依頼すればいいのにと思う。今までは、確かにそういうイージーな演出も受けてきたオカルト研究家が多かったのも事実だが、それはあくまで昭和のテレビ・ラジオの話である。
コンプライアンスが浸透した現在では、霊能者やスピリチュアルカウンセラー(占い師はOKのようだ)という職業の人が画面に映り、霊能力とか霊視という言葉を使うことさえもはばかられる。こういう時代だからこそ、安易に恐怖をあおる演出や、視聴者もうすうす分かっているようなインチキな演出は控え、ウソはウソ、分からないことは分からないと正直にいうのが、これからのメディアの責任である。
(文=山口敏太郎)
●やまぐち・びんたろう
1966年7月20日生まれ、徳島県出身。血液型AのRHマイナス。作家・漫画原作者・ライター・オカルト研究家などさまざまな肩書を持つ。UMAや心霊・都市伝説など、あらゆる不思議分野に精通する唯一のオールラウンドプレイヤー。
2012年!!恐怖の人類滅亡預言の真実 巨匠!山口敏太郎B-FILEシリーズ
B-FILE。
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