ヒット確実!? 一足早いお正月娯楽映画『リアル・スティール』『ピザボーイ』
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ヒットが見込める正月映画の娯楽作品といえば、幅広い層が楽しめる内容であることが必大切。『リアル・スティール』(12月9日公開)は、ロボット格闘技を扱った作品と聞くと何やらSFオタク向けっぽいが、実際はスポ根系アクション、家族愛、成長物語といった要素がバランスよく盛り込まれ、万人にオススメできるエンターテインメントだ。舞台は2020年、リモコン操作されるロボット同士の格闘技がショービジネスになっている時代。元プロボクサーのチャーリーは、中古ロボットを闇試合に出場させて一攫千金を夢見ているが、無謀な勝負に挑んでは敗れてばかり。そんな折、元妻に育てられていた11歳の息子マックスを一時的に預かることに。スクラップ処理場で旧式のスパーリングロボット「ATOM」を偶然見つけたマックスは、ATOMを試合に出したいとチャーリーに懇願する。
『X-メン』シリーズのヒュー・ジャックマンが、息子との再会とATOMとの出会いを通じて人生の再起に賭ける主人公を熱演。伝説的プロボクサー、シュガー・レイ・レナード直伝の本格的なボクシングアクションにより、基本はCGでバーチャルに描かれているロボットファイトのシーンにおいて、肉体の躍動という興奮をもたらしてくれる。マックス役のダコタ・ゴヨは、父親に対する感情の微妙な変化やATOMに注ぐ情熱を繊細かつナチュラルに表現。ミラーリング機能を通じて少年がATOMに”ロボットダンス”を教えるというジョークも楽しい。現実の技術でも、漫画・アニメの世界でも、ロボット先進国である日本へのオマージュが、ATOMというロボットの名前をはじめ随所に見られるのもうれしいところ。喪失と挫折を味わいながらも、新たな絆をよりどころに、力を合わせて再生していく父子の姿を描いた本作は、熱い感動と勇気を与えてくれるはずだ。
一方で現在公開中の『ピザボーイ 史上最凶のご注文』は、コメディー、バディ物、犯罪サスペンスといったジャンル映画のファンから支持を集めている快作。30分以内という約束の配達時間をいつも過ぎてしまうピザ配達人のニックは、インド系のガールフレンドとの関係が原因で、その双子の兄で親友でもあるチェットと絶交してしまう。同じころ、宝くじを当てた父親を持つドウェインと爆弾オタクのトラヴィスは、他人に銀行強盗をさせることを計画。2人からの注文を受け指定場所に到着したニックは、睡眠薬で眠らされ、目覚めると時限爆弾が体に固定されていた。10時間以内に10万ドルを渡さなければ爆発すると脅されたニックは、絶交中のチェットに頼み込んで即席の強盗コンビを結成するが……。
『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグが、『ゾンビランド』のルーベン・フライシャー監督と再タッグを組んだコメディー。ヘタレ青年のニックと生真面目でキレがちなチェット、ボンクラ中年ニートのドウェインと彼を崇拝する臆病者のトラヴィスという、”ダブル・バディ”の各キャラ設定と掛け合いが絶妙だ。極端な変人はいないが、みんな少しずつズレていて、どこか憎めない。この手の作品にしては大がかりなカーチェイスシーンで、スライド走行などをアイゼンバーグが自ら披露していたり、2組のバディが対峙する終盤のシーンでは本物の火炎放射器を使用したりと、監督こだわりのリアリティーがさらなる笑いを生む。過去のジャンル映画に言及した小ネタも満載の本作は、気心の知れた友人同士やカップルで鑑賞して「笑って年忘れ」のノリで楽しむのがオススメだ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『リアル・スティール』作品情報
<http://eiga.com/movie/55975/>
『ピザボーイ 史上最凶のご注文』作品情報
<http://eiga.com/movie/56751/>
お正月といえば。
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