「中国による乗っ取り!?」国内自動車マツダに中国・長安汽車が敵対的TOBか
#経済 #中国 #自動車
日本の自動車メーカーも中国に乗っ取られてしまうのか。
「東京モーターショー2011」では、新世代のコンセプトカー「雄(TAKERI)」を世界初公開したマツダだが、一方で中国の5大自動車メーカーのひとつ長安自動車(長安汽車)に買収されるのではないかという見方が業界内でささやかれている。
マツダは2006年から中国で長安、フォードと3社の合弁会社でマツダ車を生産してきたが、来年にはフォードが抜けた「長安マツダ」の2社合弁となる予定で、中国政府の認可を待っている。そんな中、長安が香港の投資顧問会社を使ってマツダ株に関する調査を内外の証券会社などに寄せていたことが伝えられており、これがマツダ株の取得に乗り出したのではないかと見られている。
「米有力投資ファンドのアライアンス・バーンスタインなど2社が夏にマツダ株を12%も取得していることもその動きの可能性があります」とモータージャーナリスト。
こうした見方があるのは、その背景にマツダの経営難があると見られる。リーマンショック以降は株価が低迷、3月の震災でも大きな打撃を受けた。さらに、ヨーロッパの金融不安に伴う円高ではユーロ安が、国内生産に頼り欧州向け輸出車の多いマツダを直撃している。
「実際、10億円の黒字を当初見込んでいた来年3月期の連結最終損益が、190億円の赤字になると発表されました。最終赤字への転落はこれで4期連続で、非常に苦しい」(前出ジャーナリスト)
山内孝会長兼社長は30日、この経営状況について「円高環境下でも日本で造る車で収益を出すよう取り組んでいる」としたものの、一方では「円高だけは企業がコントロールできるものは何もない。糸が切れそうになる直前」とも発言している。
前出ジャーナリストは「この危機に長安が敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けてくることも十分予想されます。仮にそうなれば、マツダの経営権を得てロータリーエンジンに象徴される高い生産技術などが中国に流れてしまう」と危惧する。
いまや中国の食指はすでに他業種では顕著で、これまで三洋電機やレナウン、ラオックスなどが中国企業に買収されており、日本の主要産業である自動車も標的の例外ではないだろう。ある投資家からは「マツダ株を保有している日本の銀行も黙って見ているわけはないので、そう簡単にはいかない」という声も出ているが、将来の日本を左右する可能性を持つ問題だけに心配は大きい。
(文=鈴木雅久)
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