S・スピルバーグが初「アニメ」「3D」映画に挑戦!『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』
早いものでもう師走。これから続々と封切られる正月映画の中でも、とりわけ高い注目を集めているのが、スティーブン・スピルバーグ監督が3年ぶりにメガホンをとった3Dアニメ映画『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』だ(12月1日より、TOHOシネマズ スカラ座ほか全国ロードショー)。好奇心旺盛で行動力のある少年記者タンタンは、17世紀に洋上で消えた帆船「ユニコーン号」の模型を露店で見つけて購入。だが、模型には失われた財宝の手がかりとなる暗号文が隠されていた。財宝を狙う一味から追われながら、タンタンは相棒のフォックステリア・スノーウィとともに、ユニコーン号の秘密を解き明かすべく冒険の旅に出る。
原作はベルギーの漫画家エルジェによる『タンタンの冒険旅行』シリーズで、80カ国語以上に翻訳され発行部数累計は3億5,000万部以上という、まさに世界中で親しまれている名作。監督作としてはアニメ映画も3D映画も自身初となるスピルバーグが、実写作品に勝るとも劣らない巧みな演出でタンタンの冒険活劇をスリリングに盛り上げる。プロデューサーとしてタッグを組んだピーター・ジャクソンは、自身が立ち上げ『ロード・オブ・ザ・リング』3部作や『アバター』などに参加した視覚効果スタジオ、「WETAデジタル」の最新技術で驚異の映像に貢献。従来の3Dアニメ映画とは一線を画す実写的なキャラクター。および背景の描写のおかげで、ワクワク心躍る冒険を主人公と共に体感する楽しさを満喫できるだろう。
一方で、1年の節目を迎えるこの時期、心温まる感動と共に人生や生活を振り返る契機になる映画としてオススメしたいのが、同じく12月1日公開の『50/50 フィフティ・フィフティ』だ。酒もタバコもやらない”普通”の青年アダム(ジョセフ・ゴードン=レビット)は、27歳で神経のガンを患ったことを医者から告げられる。生存率はフィフティ・フィフティ、つまり50%。同僚や恋人、家族は病気を気遣いよそよそしくなる中、唯一いつも通りに接してくれるのは女好きで脳天気なカイル(セス・ローゲン)。アダムのガンをネタにふたりでナンパするなど、カイルなりのやり方で元気づけようとする。新人セラピスト・キャサリン(アナ・ケンドリック)の助けもあり、人生や人間関係を見直すアダム。だが、そうする間もガンは刻一刻と進行していた……。
ローゲンの友人の脚本家ウィル・レイサーが、ガン闘病の実体験を基に本作のシナリオを書き上げた。『(500)日のサマー』『インセプション』のジョセフ・ゴードン=レビットが、若くしてガン宣告された男の悲哀と葛藤をナチュラルに、時にユーモラスに好演。悪友役ローゲンとのかけ合いも絶妙で、難病モノなのにたっぷり笑わせ、しっかり感動させてくれる。命のありがたさをあらためて感じさせ、毎日を大切に生きようという前向きな気分をもたらしてくれる快作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』作品情報
<http://eiga.com/movie/55155/>
『50/50 フィフティ・フィフティ』作品情報
<http://eiga.com/movie/56967/>
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