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「ビジネス書籍も氷河期時代に……」老舗出版社にも倒産ラッシュか?

 長引く不況に加えて既存媒体の企画力低迷、インターネットの普及とウェブサイトの充実などいくつもの要因によって、出版界は未曾有の危機に直面している。例えば、不況に比較的強いといわれてきたアダルト系などをみると、かなり深刻な状況になっている。雑誌の廃刊や出版社の倒産・廃業も立て続けに起きており、2007年9月の桃園書房の破産や10年9月に行われた東京三世社の任意整理による廃業などは記憶に新しい。また、今年になってからも1984年創刊の『ザ・ベストmagazine』(KKベストセラーズ)が今年になって休刊するなど、状況はますます厳しさを増しているようだ。

 その一方、やはり手堅いとみられ続けてきたビジネス関係も、没落の一途をたどっている。

 ビジネス書籍の最近のヒット作といえば、ダイヤモンド社刊『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称「もしドラ」)が挙げられる。しかし、それとて販売戦略を駆使した結果のベストセラーであり、最初から売り出す仕掛け作りをしたために販売部数を獲得したものである。

 ビジネス系に強いといわれたある中堅出版社の幹部社員も、「ビジネス書籍は悲惨な状態」と嘆く。

「本当に本が売れない。出版事業を縮小したケースは数え切れないし、中には会社そのものの整理や廃業を考えているという出版社もある」

 例えばある中堅出版社は、気がつけば業績の落ち込みに加えて、社内に人材が枯渇していることを否定できず、計画的に事業を縮小し、10年後をめどに廃業を検討しているというウワサもあるという。そして、同様のケースはいくつもあるとのことだ。

 こうした状況の中、編集者の配置転換が急ピッチで進んでいるという。しかも、これまでとはまるで違ったやり方だという。

「以前は、編集から営業に回されるケースが多かったのですが、それでも出版関連での仕事でした。でも、最近ではまったく違った部署や、関連会社に飛ばされるケースをよく耳にします」(前出・出版社幹部社員)

 例えば、入社以来ずっと編集畑にいた編集者が、いきなり倉庫での在庫管理業務を命じられたり、通販部門の顧客管理へと異動になったりすることもあるそうだ。

 一方、編集部門でも厳しい現実に直面している。あるビジネス専門誌の編集長が言う。

「最近では、原稿料を払わないことが多くなっています」

 何も、書き手に対する原稿料を踏み倒しているわけではない。ビジネス専門誌にはでは、「原稿料なしでも記事を書きたい」という一般の人を書き手として採用するケースがある。例えば、有名企業に勤めていて自分の習得した知識を記事にしたい幹部社員や、自らのビジネスノウハウを公表したいコンサルタントなどである。そうしたやり方では、意図したような内容にまとまらないこともあるというが、「雑誌の維持が最優先。背に腹はかえられない」(前出・編集長)とため息をつく。

 そうしたビジネス専門誌は年間購読が頼りだが、年々減る傾向にあるのはどこも同じようだ。ある総務関係で歴史と実績のある専門誌の編集長などは、「今日まで頑張ってきたが、部数の減少を見ると悲観せざるを得ない。来年は(部数減少で)第三種郵便物の認可が取れないかもしれない。そうすると、そろそろ潮時かも」とうつむいた。

 こうしたビジネス専門の刊行物は、企業がまとめて購入することが多かった。だが、現在ではその企業の体力が著しく低下している。社員教育や啓発のための予算も削減され、社内で使う研修テキストなども使い回しにすることも珍しくなくなっている。ビジネス書が売れる要素は、ますます少なくなっていくのだ。

 ビジネス関連の出版そのものが、成立しなくなる日が来るのかもしれない。
(文=橋本玉泉)

不況下で失業したときのための生き残りヒモ生活マニュアル

今から読んでおこう。

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最終更新:2013/09/10 14:20
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