「固定ファンが離れれば終わり」テレビドラマ”定番シリーズ枠”の不確かな未来
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第6話の平均視聴率が23.4%を記録した『家政婦のミタ』(日本テレビ系)をはじめ、『妖怪人間ベム』(同)、『謎解きはディナーのあとで』(フジテレビ系)など高視聴率の作品が多い、秋のドラマ。その一方で、思ったほど数字が伸びずヒトケタにとどまる作品もあったりするわけだが、このようなクールごとのドラマ視聴率の動きとは少し離れたところにいるドラマ群がある。
現在、沢口靖子主演の『新・科捜研の女』(テレビ朝日系)が放映中の、テレ朝系木曜8時台の「木曜ミステリー」枠。『科捜研』は今回で11作目という人気シリーズだが、京都を舞台にした刑事捜査モノが中心のこの枠は、橋爪功の『京都迷宮案内』(7シリーズ)や、渡瀬恒彦の『おみやさん』(8シリーズ)、名取裕子の『京都地検の女』(7シリーズ)など、ロングランシリーズが多い。
同じくテレ朝系水曜9時台、『相棒』シリーズが放送中の枠も、渡瀬恒彦の『新・警視庁捜査一課9係』や、かつての『はぐれ刑事純情派』など、こちらも定番シリーズ化した刑事モノが多く、TBSでも『水戸黄門』とローテーションのような放送形態をとっている佐々木蔵之介主演の刑事ドラマ『ハンチョウ~神南署安積班~』が、これまでに4シリーズ放送されている。
あるテレビ関係者は、「定番シリーズ化しているということは、安定した視聴率が取れているということですよね。TBSの『ハンチョウ』枠は、昔からパナソニック枠なので別かもしれませんが、安定することで、スポンサーもつきますしね」と話す。
これらシリーズモノの刑事ドラマは、派手なガンアクションやカーチェイスではなく、地道な捜査や鑑定、さらには容疑者や被害者との人情的やり取りでストーリーが進んでいくことが多いが、安定した人気の理由はどこにあるのだろうか。前出の関係者は言う。
「それぞれの作品の人気や内容は別として、やっぱり、”枠”であること、というのが実は一番大きいんじゃないかと思うんですよ」
というのは、
「何曜日の何時に何チャンネルを見たら、こういう感じのドラマやっているということで、視聴習慣がついている層が一定数いるというのが大きいですね。たとえば『相棒』が終わっても、他局のバラエティーじゃなくて、『相棒』に続く刑事ドラマをそのまま見る。木曜ミステリーなんかは特に舞台が京都というくくりまであったりして、一部スタッフも共通していることがあったり、すごく統一感がある。もちろん”月9″とか”木10″とか、曜日と時間でくくられるドラマ枠は他にもありますが、内容は毎回まったく違いますよね。内容や設定のブレのなさが、必ずここのチャンネルを見るというような習慣づけになっているのが強みなんじゃないでしょうか」
さらに、視聴者層についてはこう分析もしている。
「歴史ドラマではない、いわゆる時代劇は、予算や手間がかかったり、視聴率が取りづらくなっていて絶滅状態になりつつありますよね。人情風味や、冒頭に事件が起こって引きつけながら、おなじみの顔ぶれが解決していく、そして基本的に1話完結という分かりやすさみたいなものが、時代劇と通じるものがこの枠にはあるのも、安定した支持を受けているんじゃないでしょうか。現代劇の方が手間も少なくなりますしね。『水戸黄門』と『ハンチョウ』って、時代劇と現代劇を交互にやっているのに、見ている人はけっこうかぶっているみたいですしね」
その一方で、こんな意見もある。
「ある程度、人気は安定してるけれども、頭打ちになっている部分もあるんです。長期シリーズが多くなりすぎているところで、新鮮味は薄くなっていきますしね。新しい人気シリーズが生まれると、また新たな流れができるかもしれませんが、路線を変えると一気に固定層が離れてしまうというリスクもありますしね」(テレビ誌記者)
いつかは時代劇と似たようなパターンをたどっていくのだろうか。
確かにこの顔、安心する。
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