「いまだからできる叫びを届けたい」”熱い男”保志総一朗&緑川光が降臨!
#アニメ
11月20日、東京・シネマサンシャイン池袋にてアニメ『スクライド オルタレイション TAO』のイベント上映が行われ、声優の保志総一朗と緑川光が登壇した。演者としての作品へのシリアスな言及から、笑いを催す軽妙なやり取りの数々までを披露。『スクライド』に対する思いを存分に語った。
『スクライド』は10年前の2001年7月から放映された全26話のテレビアニメーション。『コードギアス 反逆のルルーシュ』の鬼才・谷口悟朗が監督した”熱い男の燃えるアニメ”として口コミでその勇猛さ、特異さが語られ、いまや伝説的な作品と化している。
そして今年、10周年記念作品として『スクライド オルタレイション』が制作された。これはテレビシリーズ全話をベースに新作パートを追加して再構成したもの。オリジナルキャストによる全編新規アフレコ(!)を行い、さらにHDデジタルリマスター化を施した全2部作のスペシャルエディションとなっている。11月19日から前編『TAO』が上映中で、2012年3月10日からは後編『QUAN』の公開が予定されている。
脚本に『機動戦士ガンダムOO』の黒田洋介、キャラクターデザインに『機動戦士ガンダムSEED』の平井久司が参加するなどメインスタッフも豪華だが、とにかく熱い物語だけに、キャストの演技がクローズアップされた作品でもあった。そして、その中心にいたカズマ役の保志、劉鳳役の緑川がそろって現れるという話を聞きつけて、女性ファンのみならず、生ける伝説を目撃しようという男性ファンまでもが詰めかけ、会場は異様な熱気に包まれた。
全編新規アフレコということで、10年前との違いは歴然としている。熱いふたりを演じた保志と緑川は今回の収録にどのように立ち向かったのかが、トークの焦点となった。
開演前から会場の雰囲気が温まっていたこともあり、開口一番、カズマの声をつくって始めようとした保志に対し、場内からはさっそく笑いが漏れる。思わず緑川が「大丈夫だから。普通にね」とツッコむと、保志は普段の声に戻って「(高い声は)きついですね」とひとこと。
「監督からは、『あのころのスクライドは尊重するが、同じことをやっても仕方がない。それを超えるものをつくりたい』と漠然とした指示をいただきました」笑いを誘った保志は、現在の声でどう挑んだのか。
「前作の若さには勝てないので。熱さと勢いも前作……いやでもね、熱さだけは、気持ちだけは負けないように。熟成したこのカズマの声で、いまだからできるカズマを意識して、叫びました」
一方の緑川は10年ぶりの劉鳳役に対して「まあ正直、怖かったですね」と、重々しく語り始めた。
「10年前でさえ、劉鳳の叫びはちょっと無理をすると、すぐに喉をやってしまう感じだった。ウソ偽りなく叫ぶ作品だったので、叫ぶのがメインのキャラクターはこれで仕事納め、くらいの気持ちで頑張ってやったんですよ。それだけの価値があると思っていたし、自分の中できれいに完結していたのに、(アフレコをやり直すと言われて)『えっ!? うっそーん! 僕、もうそういう気持ちになれないんですけど……』と、そこから始まった」
一度完全燃焼したものを超えられるのか、喉が持つのかと、他の役柄にはない怖ろしさが脳裏をよぎったようだ。
「絶対に当時よりも喉の疲れは早く訪れるだろうし、何より保志くんに迷惑をかけたくなかったので、ペース配分にすごく気をつけてやりました」
トークが進んだところで、緑川がちょっとしたイタズラ。名ゼリフの数々に話が及んだとき、「『カズマくん、私の同志にならないか』というセリフがあったよね」と保志に語りかけたのだ。きょとんとした顔の保志が必死に思い出し、「あー、なんかあった!」と言った途端に「ないよ!」とダウトの判定。
ガガーンとショックの面持ちの保志に「いままでそうやって生きてきたでしょ。適当にノッかって(笑)」と追い打ちをかける。ふたりのコンビが良好であるからこそのやり取りだが、これで会場の雰囲気はさらにほぐれた。その場で再現する名ゼリフのリクエストを募ると男性ファンから「ビッグマグナム(立浪ジョージ)!」と威勢のいい声が上がる。これに緑川は快く応えて「暴れっぱなしなんだよぉ!(※若干イントネーションに差異はあるかもしれない)」とノリノリで演じ、ボルテージは最高潮に達した。
最後に保志は「次回(QUAN)の収録を考えたくないほど消耗した」と言いつつも、いまだからできる叫びをお届けしたいと、後編への意気込みを語った。対して緑川は甘い声をつくって「僕は保志さんよりもだいぶ歳をとっているので……」とおどけつつ、ペース配分を守っていい演技をお届けしたいとこちらは安全宣言。
新規カットも予想され、声優陣にどのような負担が求められるかは未知数だが、今秋と来春の上映が、伝説の暴れん坊アニメを良質の新録で楽しめるまたとない機会であることは確かなようだ。
(取材・文=後藤勝)
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