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佐々木俊尚の「ITインサイド・レポート」 第43回

「反グローバリズムデモが世界席巻」? 勘違いも甚だしい報道の甘言

【プレミアサイゾーより】

──激変するITビジネス&カルチャーの深層を抉る!

──米ウォール街におけるデモからの派生で、世界中の若者が自分たちの置かれた環境に異議を唱えだした……と報道されているが、果たして本当だろうか? 反グローバリゼーションを唱える参加者たちは、現在の世界の構造を本当にわかっているのか、疑義を呈す。

1112_it_ill.jpg知らぬは日本の参加者ばかりなり​「東京を占
拠する」前にやれることはまだあったはずだ。

「ウォール街占拠(オキュパイ)デモ」が各国に波及し、世界を一周していると報じられている。本当だろうか?

 アメリカのウォール街やローマ、パリなどの欧米諸国で盛り上がったのは事実だ。ローマでは数万人がデモに参加し、暴動にまで発展して銀行が略奪されるなどの騒ぎになった。ウォール街でも数千人が参加し、逮捕者を多数出している。

 日本ではどうか。朝日新聞の10月15日の記事にはこうある。

「東京・六本木の公園では正午ごろ、プラカードを手にした若者ら100人ほどが集まり、格差是正を訴えた。参加した学生の一人は『経済成長やグローバリズムを求めるのはやめよう。それは誰かを搾取していることだから』と話した」

 写真入りで報じられている割には、参加者はわずか100人しかいなかったという。大手メディアの大半が無視したフジテレビへの反韓流デモだって、数千人は集まっていた。脱原発デモは数万人単位の参加者を集めている。それに比べれば、驚くほど小規模である。

 さらに言えば、東南アジアでの参加者はもっと少なかったようだ。あまりソースがないので明確なことはわからないのだが、インドネシアのジャカルタでは20~30人程度がアメリカ大使館前に集合して「米帝国主義反対!」を叫んだだけだったようだし、フィリピンのマニラでも同じように参加者は数十人。おまけにこの参加者については、フィリピン在住の日本人男性がツイッターでこんな指摘をしていた。

「フィリピンでオキュパイデモに参加してたのは貧困層ではなくてネット環境が自宅に完備されてる良家の子息だと言う皮肉ww 貧困層はそんな事何も知らないし暇も無い」

■「世界中の貧困層の団結」なんて、もはや不可能

 前述のように、実態としては、先進国と途上国ではかなりの差があるようだ。ところがマスメディアでは「世界で盛り上がる反格差デモ」などと報じられている。例えば10月16日に、産経新聞はこんな記事を書いている。

「世代間の経済格差に気づかされた若者が自分たちの声を政治に反映させようにも人口構成上、有権者の中では少数派にとどまり、街頭を占拠して声を上げるしか道がない。インターネットを通じた『Occupy(オキュパイ=占拠せよの意)』という呼びかけに欧州やアジアの若者が一斉に反応したのは、構造的な矛盾へのいらだちを共有しているからに他ならない」

 まあ言ってみれば、実にわかりやすい「反格差」「反グローバリゼーション」のスローガンがそこにはあって、そういうわかりやすいヒューマニズム(のようなもの)には大手紙は乗りやすいということでしかないのだろう。

 だが「反格差」「反グローバリゼーション」の波は、本当に産経の言うように世界中を覆っているのだろうか?同記事ではこうも書かれている。

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最終更新:2011/11/24 10:30
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