「募金額に応じて黒帯進呈!?」極真・松井館長だけじゃない……空手界”闇のマネーゲーム”事情
#格闘技
空手の名門、極真会館の松井章圭館長が、東京国税局の税務調査を受け約30億円を追徴課税されていたことが分かった。これは総合人材サービス会社の旧グッドウィル・グループが人材派遣会社のクリスタルを約838億円で買収した際、仲介した投資ファンドに出資した関係で約100億円の分配金を受け取ったもの。オリンパスも真っ青の巨額手数料なのだが、松井館長はこれを譲渡所得として約20億円の金額で申告。しかし、国税局はこれを税率の高い雑所得と判断した形だ。
この買収をめぐっては、仲介した投資ファンドの元社長らが東京地検から法人税法違反で起訴され、東京地裁で有罪判決を言い渡されており、松井館長が出資したという数十億円の出資金も実際には数千万円の見せ金だったと報じられるなど、キナ臭い話だった。
K-1で活躍したアンディ・フグを下したこともある大物空手家が”闇のマネーゲーム”で大儲けしていたとは意外だが、極真関係者からは「こういう財テクこそが空手家の目指すところ」という声も聞こえる。
「極真のみならず空手は、ボクシングやプロレスなどのプロスポーツと違って興行では大して稼ぐことができない世界なので、資金運用に熱心になりやすい」(同関係者)
収入の基盤となる道場経営は、関係者いわく「他と比べても優秀」だという。
「危険度を抑えた競技性から子ども会員も多いなど集客にも強く、月謝だけでなく昇段審査や道着、合宿代といった臨時収入が多いのも特徴。その一方で、大会などイベントではボランティア的に無報酬で弟子を使うので、支出も少ない。あとは稼いだ金をどう運用するかだけを考えるようになる」(同関係者)
ある空手有段者によると、かつて大きな新道場を設立する際に寄付を募り、高額募金者には黒帯や、より上のクラスの段位を与えるという条件で2億円以上の資金を集めたことがあったという。
「茶帯だった空手家が我先にと何十万円も寄付して次々に黒帯をもらったんです。でも、実際に道場設立にかかった費用は5,000万円ほど。当時の責任者だった師範の部屋には投資関連の本ばかりが積まれ、コンサルタントもよく出入りしていました。まるで財テク資金を集める道具が空手という感じでしたね」(同有段者)
ただ、この財テクが失敗して本業の道場が経営難に陥った空手家も少なくないようだ。神奈川県のある空手道場は株式投資の失敗がダメ押しになって2年前に閉鎖。元館長の男性は「一時は空手ブームで賑わったこともありましたが、最近は総合格闘技やK-1の登場で空手人気が下火になって、財テクでもしなければ道場の存続は厳しかった」と肩を落とした。
上がるも下がるもマネーゲームとは、流派による熾烈な争いで強い道場が生き残るような空手界のイメージとはかけ離れている。実のところ各道場の師範はまるで中小企業の経営者のようだ。武道精神も金儲けの欲には勝てないものか。
地道が一番。
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