プロボクシング亀田大毅”世界タイトル戦決定”の裏にあるファン不在・ルール無用の暴挙
#ボクシング #格闘技 #亀田三兄弟
プロボクシング亀田三兄弟が所属する亀田ジムは10日、年末の「亀田祭り」(12月7日/大阪府立体育館)で二男・亀田大毅がWBA(世界ボクシング協会)スーパーフライ級タイトルマッチに出場すると発表した。ところが、その相手が世界王者だったはずの清水智信ではなく、テーパリット・ゴーキャットジムというタイの選手に決定したことから、またしてもボクシング界に混乱が起こっている。
「世界王者の清水は8月の試合で負傷し、WBAに休養届けを提出。来年の3月に復帰する意向を示していました。ところが、何としても12月の『亀田祭り』に大毅の世界戦をねじ込みたい亀田側が、暫定王者テーパリットとの試合をセットし、それを正規のタイトルマッチとしてWBAに認めさせてしまったんです」(ボクシング記者)
本来、清水が休養中のため、暫定王者テーパリットと大毅の試合は暫定タイトルマッチとして行われるのが然るべき形であり、亀田陣営も当初はJBC(日本ボクシングコミッション)に対して暫定戦を認めるよう要望していたという。
「JBCは今年の2月に、国内でのWBA暫定王座戦を一切認めないという決定を下しています。その決定に沿って、テーパリットと大毅の試合も許可しなかった。すると亀田側は『(暫定ではなく)正規であればいいのなら、正規にする』と”宣告”して、WBAの総会に乗り込んでいったんです」(同記者)
ウクライナで行われていたWBA年次総会に乗り込んだのは、日本ボクシング界から永久追放処分を受けている亀田三兄弟の父・史郎氏と、同様にライセンス無期限停止処分の亀田ジム前会長の五十嵐紀之氏。総会では、日本国内でまったく権限がない2人がWBAに対して何らかの”申し出”を行ったと見られ、その結果、WBAは正規王者清水を”休養王者”扱いとし、暫定王者テーパリットを”正規王者”に格上げしてしまった。
「WBAにとっては、正規だろうが暫定だろうが世界戦が行われればそれに応じて認定料が入ってくる。”WBAタイトル戦”という冠の付いた試合を数多く行えば、それだけ利益が出るということです」(同記者)
ここで問題を複雑にしているのがWBAの「暫定王者」というシステムだ。本来、正規王者がケガなどで試合に出場できない場合に、空白期間を設けないための措置であり、正規王者が復帰した際には速やかに「正規 vs 暫定」のタイトルマッチが義務付けられる。だが、WBAはそのルールを厳格に適用してこなかった。
「実際にWBAは、正規王者が防衛戦を行える状態でも、暫定王者を次々に認定してきた。過去には、同一階級に正規王者と2人の暫定王者がいるという異常事態まで起こしている。JBCが2月に国内でのWBA暫定戦を拒否する決定を下したのも『このままでは世界王者の価値が下がってしまう』という危機感からでした。WBAは、世界王者認定団体としては、もはや”死に体”ですよ。今回のケースでは、”世界タイトルマッチ”という肩書きがほしい亀田陣営と、認定料を稼ぎたいWBAの利害が一致してしまった。清水は被害者です。だいたい、WBAはこれまで”休養王者”制度を一人たりとも適用していない。今回だけの特例なんですから」(同記者)
実際、清水もこうした動きを以前から察知しており、自身のブログに「僕はボクシングが好きでした。でも最近ちょっと嫌い(笑)。王座決定戦嫌い。暫定嫌い。休養? 何なんそれ? 結局政治力やん???」などと書き込み、「次の夢、目標を目指してもいいかな」とプロボクシングからの引退まで示唆している(ブログは後に削除)。
とはいえ、WBAがテーパリットを正規の世界王者として認定してしまった以上、JBCが今回のタイトルマッチを拒否する理由は見当たらず、このまま開催されることは決定的。大手スポーツ各紙も「大毅、二階級制覇へ」と見出しを打ち、「これからは俺の時代」などという大毅のコメントを伝えている。
また、このタイトル戦が組まれた「亀田祭り」のメインイベントでは、一男・興毅がWBAバンタム級世界タイトル防衛戦に出場するが、この興毅の試合相手の選定にも不可解な部分があるという。
「今回の興毅の相手、マリオ・マシアス(メキシコ)はランキング12位の無名選手だが、この試合が決定する直前に突如ランキング上に名前が現れ、目立った実績のないまま世界タイトル戦の挑戦者に選ばれている。無論、このランキングを制定しているのも当のWBAです。事実上、プロボクシングの世界王座戦は”各階級世界最強のボクサーを決める試合”ではなくなってしまいましたね」(同記者)
そうしてファン不在、ルール無用のままパッケージされた「亀田祭り」、今回もTBSの独占中継が予定されている。
(文=編集部)
けっこう強いのだから普通にやればいいのに。
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