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角川書店とガンダムビズの終焉【1】

ガンダムの新作で小学館と角川書店が激突──角川帝国を支えた”ビジネス”の未来

【プレミアサイゾーより】

──アニメ界に君臨するガンダムシリーズ。その関連ビジネスは幅広いが、中でも紙媒体での展開で近年深く結びついてきたのが角川書店だ。しかし今期放映が始まった『ガンダムAGE』では、そのお株を小学館に奪われている。角川のガンダムビジネスに何があったのか?三大出版社を追い上げる、オタク系の雄の未来を考える。

1112_gundam_n.jpg(絵/都築潤)



2011年10月より、ガンダムの最新テレビシリーズ『機動戦士ガンダムAGE』(TBS系/以下、AGE)が、満を持してスタートした。『機動戦士ガンダム00』から4年ぶりのテレビシリーズということで、制作サイドも気合が入っているようだ。『レイトン教授』シリーズや『イナズマイレブン』など子ども人気の高い作品を多く手がけるゲーム会社・レベルファイブを企画協力に、ストーリー&シリーズ構成・脚本に同社の社長・日野晃博氏を迎え、ガンダムシリーズ史上初となる、ゲーム化を前提としたメディアミックスの形で企画が始動。同じ血脈の3世代の主人公を据えてストーリーが展開し、1年間放送される予定だ。主人公のフリット・アスノが14歳であることや、キャラクターデザインがずいぶん子ども向けであることを見てもわかるように、コアなターゲットを従来の年齢層からグッと下げて、ガンダムシリーズに触れたことがない小中学生に焦点を絞っているのが特徴といえる。従来のガンダムファンからは、「キャラが子どもっぽすぎる」「世界観がこれまでと違いすぎる」など、放送開始前から否定的な声が大きく、案の定1話放映後は日野氏のツイッターに作品に対する批判が殺到し、炎上寸前になった。

 前途多難な出だしとなった『AGE』だが、放送前からマンガ版が展開されていた点も要注目だ。いち早くコミカライズ作品を掲載したのが、小学館の少年誌「月刊コロコロコミック」(『機動戦士ガンダムAGE トレジャースター』【1】)。前述の『イナズマイレブン』などのコミカライズで前例があり、レベルファイブとのかかわりが強いことから今回初めてガンダムシリーズと小学館がタッグを組んだと思われるが、ガンダム作品のコミカライズといえば、「ガンダムエース」というガンダムマンガ専門誌を持っている角川書店がお決まりのコースとなっていたはずである。

 同誌はもともと『機動戦士ガンダム』(以下、1stガンダム)の再構成を主とした『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』【2】(作画は『1stガンダム』のキャラデザを手がけた安彦良和。11年8月号で連載終了)のために創刊された。そのほかにも、現在OVA(オリジナルビデオアニメ)でシリーズ発売され、アラフォー世代のガンダムファンの間で人気を博している『機動戦士ガンダムUC』の原作小説(作・福井晴敏)やそのマンガ版『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』【3】が連載されるなど、ガンダムシリーズの要となるような作品のコミカライズ版やアナザーストーリーが多数掲載されている(なお、『AGE』の別バージョンのコミカライズは同誌にも掲載されている)。また、『機動戦士ガンダムさん』【4】『トニーたけざきのガンダム漫画』【5】など、アニメ制作会社・サンライズのお墨付きならではのギャグマンガやパロディマンガも掲載されている。このように、”ガンダムビジネスの出版部門を担うのは角川書店”という印象が強いわけだが、そもそも、角川書店とガンダム、ひいてはサンライズ社の蜜月は、いつから始まったのだろうか?

■「ニュータイプ」創刊がすべての始まりだった

 当特集の年表を読んでいただければわかるように、『1stガンダム』の、富野由悠季監督による小説版は朝日ソノラマから、マンガ版は秋田書店から刊行されるなど、ガンダムシリーズは始動当初から、角川書店とタッグを組んでいたわけではない。むしろ、「SDガンダム」シリーズやガンプラ人気を盛り上げたのは講談社の少年誌「コミックボンボン」掲載作『プラモ狂四郎』(クラフト団・やまと虹一)や『SD武者ガンダム』シリーズなどであり、この頃は同社との関係が深かったことが伺える。角川書店とサンライズが深くかかわるようになり始めたのは、「角川書店の現取締役社長の井上伸一郎氏と、『ファイブスター物語』【6】などで有名なメカニックデザイナーでマンガ家の永野護との付き合いが発端ではないか」と、アニメ史に詳しいライターは言う。

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最終更新:2011/11/18 16:23
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