警察まで巻き込み……『あの花』聖地巡礼で盛り上がる秩父市の”仕掛け”
#アニメ #聖地巡礼
埼玉・秩父の町のあちこちに今、あるアニメのキャラクターグッズが溢れているのをご存じだろうか。
今年4月から6月まで放送され、再放送が10月初旬に4夜連続全話一挙放送されたフジテレビ・ノイタミナ枠のアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』だ。
西武秩父駅周辺の土産物売り場の店頭は今、通称『あの花』のグッズだらけ。駅周辺にはコスプレをしている人など、「聖地巡礼」者の姿が多数見られる。
この作品の異質なところは原作がなく、アニメオリジナルにもかかわらず、アニメ放送中から「聖地巡礼」する多数の人が町を訪れ、9月末からは西武秩父駅限定で記念切符発売と、いろいろ展開が早過ぎること。
西武秩父駅によると、第1弾の記念切符5,000セットはすでに完売し、第2弾も、5,000セットのうち西武秩父駅取扱い分3,000セットはすでに残り3セットとなっているという(10月26日現在)。
さらに放送中の5月には、『あの花』のキャラクター「めんま」が呼び掛けるポスターが、警察署の名前で貼り出されていた。
たとえば、『新世紀エヴァンゲリオン』グッズが大人気となっている箱根などは、放送終了後10年も経ってからのグッズ化&町おこしだったわけだが、『あの花』の異様な展開の早さはなぜなのか。
秩父アニメツーリズム実行委員会に聞いた。
「聖地巡礼の人は、早くはアニメ放送開始前から来始めてましたよ」
原作なしのオリジナルアニメなのに、放送前からとはどういうことなのだろうか。
「よく、『地域おこしのためにアニメを作ったのではないか』と言われるのですが、そうではなく、『放送が終わるまではアニメをじっくり楽しんでほしい』という制作会社の希望もあり、作品内で地名を出さなかったんですよ。我々は当然アニメに協力していますので秩父をPRするタイミングを見計らっていたのですが、放送が始まるなり、第1話でキービジュアルとなっている橋がどこなのかと話題になり、ファンの方の間で旧秩父橋と特定され、注目を集めたようです」
アニメ放送中に警察まで巻き込むPRとなった理由については?
「アニメのキャラクター『めんま』が橋の欄干に立つキービジュアルがあるのですが、ファンの人がもしマネをして事故が起こると放送ができなくなるので、注意喚起の貼り紙をしようということになりました。でも、単に『欄干に上るのはやめよう』ではファンの心をつかめないのでと、制作会社のOKをもらい、アニメキャラに呼びかけてもらう形にし、また、警察署長さんにもOKをもらって文言を入れたんです」
それにしても、一部で大人気のアニメとはいえ、一般知名度はそこまででもない気がするのに、こんなにも騒動になるとは……。
「我々も分からなかったんですよ。制作会社の方に『アニメが始まると、(作品内で溜まり場として登場する札所)17番というお寺はすごいことになるよ』と言われていたんですが、正直、ここまでは予想つきませんでした。監督が長井龍雪さん、脚本を岡田麿里さん、キャラクターデザインを田中将賀さんが務めており(テレビアニメ『とらドラ!』と同一スタッフ)、その3人だったら必ずヒットすると確信していたようです」
秩父アニメツーリズム実行委員会は、昨年、スタンプラリーなどを行った「銀河鉄道999in秩父」のために立ち上げたものだそう。
「来年どうしようかね、という話をしつつ、題材を探していたときに、ちょうど『あの花』の話がきたんです」
ちなみに埼玉といえば、最近では『らき☆すた』アニメ版の舞台が鷲宮町(現・久喜市)や幸手市、春日部市であることから、神社への聖地巡礼・町おこしイベントなどで盛り上がったこともあり、それがヒントになったところも大きいようだが、アニメ放送とほぼ同時進行に進んだ、早過ぎる町おこし&ブーム。
アニメ放送前からすでに聖地巡礼の人が来ていたという事実から考えても、背景には、広告代理店やテレビ局、制作会社などが一丸となった”仕掛け”があったのではないだろうか。
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 1 【完全生産限定版】
マジ泣ける。
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