“菊の維持費”に253億円! 知られざる天皇陛下と皇族の収入とは?
#皇室 #プレミアサイゾー
──皇室経済の実態と、その効果年間200億円以上にも上る皇室関連予算。だが、禁忌的な側面からか、それらが表立って語られることは実は少ない。日本の象徴として扱われ、金銭面で語ることがタブー視される皇室を、あえて経済の観点から考察、その経済効果を探ってみた―。
後、現人神ではなく国の象徴として君臨することとなった天皇。国賓との晩餐や内閣総理大臣の任命にかかわる儀式などの公務を日々こなしているが、一方で皇室を維持するために年間約253億円もの税金が投入されている。国家財政が逼迫している状況を鑑みれば、「菊タブー」として聖域化していた皇室関連予算に対しても、厳しい目を向けている国民は多い。
「皇族としての品位保持」の目的に使われるものも含まれている、これらの支出。だが、05年に高円宮承子さまが留学先での私生活を奔放につづったブログが問題となり、そのような皇室に多額の税金を投入することへの是非が問われた。しかし、「宮内庁御用達」の品々など、皇室が存在することによって発生する経済効果があることも事実。皇室存続の是非についてはさまざまな意見や立場があり、すぐに結論が出るものではないが、今回はあえて経済的な側面に焦点を当てていきたい。
そもそも、皇室にどれくらいの国家予算が投入されて、どのような使われ方をしているのか、積極的に取り上げるメディアが少ないこともあり、一般国民には見えにくい。ということで、まずは皇室費についての基本的な知識から押さえていこう。
皇室費には皇室経済法第3条で定められた、内廷費、皇族費、宮廷費の3種類がある。内廷費は天皇家に支給される予算で、今年度は3億2400万円。皇族費は秋篠宮家や常陸宮家など宮家に対する予算で、2億8822万円が支出されている。ちなみに、これらは法律的には「御手元金」という扱いになっており、つまりは天皇家、宮家の「家計」をやりくりする費用なのだ。
具体的にいえば、例えば愛子さまの教育費も内廷費から支払われているのだが、プライベートな費用のため、その実態は詳しく公開されていない。
■皇室経済を語るのはやっぱりタブー?
元毎日新聞の宮内庁担当記者で、成城大学准教授の森暢平氏が執筆した『天皇家の財布』(新潮新書)によると、一般の会社員が皇族並みの手取りを得るには、内廷費からは、所得税や住民税、健康保険、年金などの諸経費が引かれないので、額面で7億円以上の収入が必要だという。
しかし、「宮家の例でいうと、皇族費には一定の基準があり、例えば秋篠宮家は悠仁さまを含めた5人で5490万円。半分は使用人を雇う人件費に充てられるとして、自由に使えるお金は3000万円ほどです。大手企業の役員でも、これくらいの給料の人はたくさんいる」(森氏)というのが現状。ちなみに、『天皇家の財布』によると、宮家の巨大な私邸に関しては、維持管理費を皇族費から払わなければいけない。こうした状況を考えると、この額が多いか少ないかは、国民一人ひとりの価値観に委ねられる部分が大きい。
さらに、皇室費としては、公的活動の費用に充てられる宮廷費がある。今年度予算は56億8378万円で、こちらは宮内庁が管理する公金という扱いだ。さらに、皇室に関連する予算としては宮内庁の人件費や事務費などが計上されている宮内庁費107億8557万円のほか、皇室の警備を担う皇宮警察本部の経費81億9899万円がある。これらの費用を合計すると約253億円となり、当然、財源は国民の税金だ。
これらについては「合理性を基にしたリベラリズム的な視点からすると、必然的に無駄なものは省こうという立場になるが、逆に伝統や格式を重んじる保守的な視点からすると、是が非でも守らなければいけないという立場になる」(森氏)ため、議論することが難しい。まして、かつては「不敬罪」があった皇室。現在でもその存在是非を問うことは一般的にタブーとなっており、約253億円という金額の費用対効果について論じることはメディアでも控えられがちだ。その証拠に、秋篠宮妃紀子さまが悠仁さまを出産された際の経済波及効果を年間3兆円規模とした試算はあるものの、皇室を取り上げた雑誌の売り上げ増や皇居周辺などを訪れる人が落としていく観光関連費を試算したデータは驚くほど少ない。今回取材を申し込んだなかでも「皇室関係の経済を試算することは控える方針となった」(某機関のマーケッター)という弁もあり、やはり皇室を経済で語ることには、抵抗がある様子。ほとんど国民による議論の俎上にも上がっていないのが実情であろう。森氏の試算によると、03年度の皇室関連予算の国民ひとりの負担額は、214円ほどだといい、これを庶民の生活感覚としてどうとらえるかはそれぞれ。一方、皇室があることよって得られる経済波及効果は税金の投入額を上回る可能性もあると考えられるが、実際にその費用対効果はどのようになっているのだろうか?
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