アラフォー女が年下男を選ぶのは「仕事への理解」と「マッサージ力」!?
#本 #インタビュー
タレントの加藤茶が45歳年下、堺正章が22歳年下、ほかにもFUJIWARAの藤本敏史が17歳年下の女性と結婚するなど、”年の差婚”が注目を集めている。
そんな中、年の差婚の当事者にインタビューし、なぜ同年代に惹かれないのかなどを考察したのが、明治大学文学部・諸富祥彦教授とマーケティングライター・牛窪恵さんの共著『【年の差婚】の正体~なぜ同年代に惹かれないのか~』(扶桑社新書)だ。そこで、当サイト読者も気になるであろう、20~30代の男女の結婚観、年上の男性や女性が好かれる理由について牛窪さんに話を聞いた。
――牛窪さんは、いままでにたくさんの男女にインタビューをされていますが、20~30代の結婚観は変わっていますか?
牛窪恵氏(以下、牛窪) 特に20代女性の結婚観がすごく変わっていると思います。2003年に「負け犬」という言葉が流行って、私は、04年に『男が知らない「おひとりさま」マーケット』(日本経済新聞出版社)という本を出しました。講演でいろいろなところをまわり、その時に、当時の20代半ば、いま30歳前後くらいの女性にお話を聞く機会が多くありました。彼女たちは、いわゆる「負け犬」と言われるような、30代を過ぎた女性が、独身、あるいは結婚して子どもを産んでいないことをよくは思っていませんでした。というのも、私たちバブル世代は、男女雇用機会均等法第一世代ですから、男性と肩を並べてバリバリ働けることがうれしくて、仕事に対して希望を持っていました。しかし、バブル崩壊後、経済は停滞し、労働者派遣法も改正され、派遣労働の人が増えました。上の世代、私たちの世代の女性を見ても、多くは仕事で大成功しているわけでも出世しているわけでもない。そんな時に婚活ブームが起こり、20~30代の女性たちは、早く結婚をして、子どもを産んで、仕事はそこそこの範囲で続けたいという願望が強くなっています。
――男性の結婚観はどうでしょうか?
牛窪 20~30代半ばくらいの男性は、年代的にも妻子を養うべきとは思っていません。共働きで、奥さんにも働いてもらいながら、その代わり自分も家事や子育てを手伝いますよ、という男性が増えています。しかし、若い男性に街頭インタビューをしたところ、一番の理想は女優の檀れいさんがCM(サントリー「金麦」)で演じるような奥さんだった。家で甲斐甲斐しくご飯を作って待っていてくれるような女性が、本当は理想なんです。でも、20代の男性の多くは「養う甲斐性がないので、相手が専業主婦だと不安だ」と言う。
――最近では、加藤茶さんやフジモンさんをはじめとして男性が年上で、女性が15歳以上年下という年の差婚が話題を集めていますが、若い女性が年上の男性に惹かれる理由は何でしょうか?
牛窪 恋愛段階での理由は2つあると思います。ひとつは、同年代が草食系というか、恋愛に対して積極的ではないということ。もうひとつは、今の若い女性は、女子力アップに積極的で、いろんなことに対して向上心が強いので、年上の男性はそこをうまく満たしてくれるということです。お金の都合もありますから、全部できているわけではないのですが、若い女性は、いろんなお店に行って、おいしいお酒の飲み方を知りたいとか、国内外問わず、いろんなところに行って、その土地の人と触れ合いたいとか、そういう欲求を持っています。私はバブル世代だったので、まわりのおじさんが会社のお金でおいしいお店に連れていってくれたり、給料もボーナスがかなり出たので、そういったことを自分ですることができました。しかし、いまの若い女性たちは、派遣で年収ベースも低め、自分も会社もお金に余裕がありません。
――やはり、年上の男性の魅力は頼りがいにあるのでしょうか?
牛窪 はい。安心して付き合えて、いろんなことを教えてくれる。バカなことを言っても、頭を撫でてくれたりする。そういう年上の男性が感覚的によいという女性は多いですね。今回、本書を書くにあたっていろいろと取材をしたのですが、年上好きな女性は圧倒的にファザコンが多いです。一昔前であれば、「亭主元気で留守がいい」なんて言われ、お父さんのパンツは箸でつまんで洗うなんてこともありました。でも、いまの若い女性は、すごくお父さんと仲がよい子が多いです。CMでもサントリーの「オールフリー」やトヨタのパッソなどは、仲のよい父と娘を描いていますね。年上の男性の側も、非常にオシャレになったというのもあると思います。
――確かに、最近はお父さんの下着と一緒に洗濯しないで、というようなことは聞かなくなりましたね。
牛窪 いまの時代、お父さんも清潔ですしね。聞いてみると、娘の友だちが家に集まって、遊んでいるときにお父さんが乱入して、一緒に盛り上がったりすることもあるようです。
――一方でアラフォー女性が、年下の男性と結婚するパターンも増えているということですが、女性はすごく現実的なのに、収入も頼りがいもあまりない年下の男性に惹かれるのはどうしてでしょうか?
牛窪 理由は2つあると思います。ひとつは、いまのアラフォー女性は男女雇用機会均等法の第一世代にあたるので、まず仕事をする自分を認めてほしい。仕事が自分のアイデンティティーを確立するものだという自負がある。同世代の男性を見ると、「24時間戦えますか」といわれていた世代で、とにかく仕事のプライオリティーが高い。そうすると、結婚したら女性は、家にいて、自分を支えてほしいというのが理想なので、同年代の結婚はなかなかうまくいきません。逆に、若い男性は、女性が働いて、自分より年収が高くても気にしません。そして家事や育児も協力したい。そういう若い男性と結婚する方がアラフォー女性にとってメリットがあります。もうひとつは、アラフォー女性がよく言うのは、精神的に癒やされたいということです。年齢的にも、30代後半から女性の体には変調が出てきます。白髪やシワ、シミなど。疲れたなというときに、彼が家に先に帰って、ご飯を作ってくれたり、マッサージしてくれたりする。バリバリ稼ぐ男性より心地よいなということになります。
――最後に、本書はどんな人に読んでもらいたいですか?
牛窪 まずは、バブル世代で仕事をすごく頑張ってきて、いままで女性とゆっくり付き合ったり、結婚を真剣に考える時間がなかったアラフォー男性に読んでほしいです。彼らには、やっとモテ期がきているし、男性は高齢になっても子どもを作れるので、本当に結婚願望があるなら、1回はしてみてほしいという思いがあります。あとは、同年代のアラフォー女性にも読んでほしいです。仕事でもそうですが、どう生きればいいかという過渡期にあたった人たちなんです。10年以上前は、働きながら子どもを産むことはすごく厳しい時代だったので、それをあきめた女性もいました。逆に、働くことに一生懸命になれなくなった人もいます。やはり、子どもを産む産まないは別として、私自身、結婚してよかったと思うので、皆さんにも結婚を経験してみて欲しいです。まわりにいい男がいないと嘆いているなら、ちょっとだらしないなと思う年下の男性でも自分で育てていくような気概で、幅広い男性に目を向けてみてください。
(文=本多カツヒロ)
●うしくぼ・めぐみ
1968年、東京生まれ。マーケティングライター。有限会社インフィニティ代表取締役。著書に、『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』(講談社プラスアルファ新書)、『「エコ恋愛」婚の時代』(光文社新書)、『ただトモ夫婦のリアル』(日経プレミアシリーズ)、『男が知らない「おひとりさま」マーケット』(日本経済新聞出版社)などがある。
そういうことだったのね。
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