本命はテレビ東京『ここが噂のエル・パラシオ』か!? 秋ドラマ徹底検証!【その1】
#ドラマ
今月、続々と放送がスタートしている秋の連続ドラマ。連ドラとは、毎クール各局が豊かなラインナップで私たちを楽しませてくれる一方で、最初の見込みを間違えると「あっちのドラマを見とけばよかった~」なんて後悔をしかねないギャンブル性の高い代物だ。
しかし全ドラマの初回をチェックするのは、何かと忙しい社会人には到底無理!……というわけで、ゆっくりドラマを見る時間のないあなたの代わりに、「日刊サイゾー」がちゃんと見ておきましたよ。
今回は”前半戦”として、10月4~17日にスターとした10作品の第1話を解説。筆者の完全なる独断と偏見により、5点満点の5段階評点付きで紹介します(以下、放送日時順。視聴率はビデオリサーチ調べ・関東地区)。
■『”ドラマ”私のホストちゃん~しちにんのホスト~』
(テレビ朝日系/火曜深夜1:51~/平均視聴率3.0%)
アメーバモバイル内のゲーム『私のホストちゃん』を原作に、鈴木おさむが演出を手掛ける23分間ドラマ。ドラマといえど、ホスト密着系のノンフィクション番組を模した作りになっており、ワンカメで追う、客役に目線が入る、話し言葉にテロップが入るなど、独特な演出が施されている。
劇中、「わざと同じ曲を入れて前のホストよりもうまく歌い、恥をかかせる。これが、ホストがごくまれに行う『カラオケかぶせつぶし』!」といったナレーションが入るなど、「ここはもしかして笑うとこなのかな?」と思わせるシーンが何度かあったが、イマイチ判断できぬまま23分が経過。今思うと、原作のゲームをしている人なら笑えるネタだったのかもしれない。
★評価 [2点]
■『QP』
(日本テレビ系/水曜24:59~/平均視聴率1.7%)
高橋ヒロシ原作、三池崇史監督の『クローズZERO』コンビがおくるヤクザドラマ。韓流批判でおなじみの高岡蒼甫が、クランクイン直前まで主演を務めるはずだったとか。
同枠前クールの『ろくでなしBLUES』とは打って変わって、どこにおいて抜かりがない。主要キャストの脇を椎名桔平や田口トモロヲなどがガッチリ固めるなど、この手の邦画好きには生唾ものだ。
ハードな題材をテレビでどこまでできるか、という心配も、序盤から血糊ベッタリで一安心。さらに子どもが拳銃を撃つシーンや、主演・斉藤工の一糸まとわぬ全裸ショットなど、ド深夜帯に甘えて初回から攻めの姿勢を見せていた。
また、マキシマム ザ ホルモンのエンディングテーマがクールな映像とあいまってゾクリ。一般ウケするかどうかは別として、今後もこのまま走り続けて欲しい。映画化しそう。
★評価 [4点]
■木曜ミステリーシアター『秘密諜報員 エリカ』
(木曜23:58~/読売テレビ系/平均視聴率6.3%)
栗山千秋初主演ドラマ。元スパイの主人公が、主婦と探偵業を兼業するお話。
栗山の派手なアクションシーンは、『キル・ビル』のGOGO夕張を連想させテンションが上がる。展開は少々月並みだが、”読売ドラマ制作枠”とは、古くから「奇抜な設定、安心の展開」が定番なので、これでよし。
とにかく栗山の神々しいまでの美しさを再確認するドラマ。逆に登場人物が極端に少ないため、栗山の容姿が苦手な人には少々辛いかも。
★評価 [4点]
■ドラマ24『ここが噂のエル・パラシオ』
(金曜24:12~/テレビ東京系/視聴率非公開)
記憶喪失になった青年が、女子プロ団体でレフェリーとして暮らすコメディードラマ。
とにかくキャスティングが秀逸。へたれレフェリー役の武田航平も、Sキャラの佐藤江梨子も、エロレスラー役の澤山璃奈も、スナックのママ役の三浦理恵子も全員がハマッており、初回にも関わらずこの変な世界観を違和感なく受け入れられる。
また、澤山璃奈の陰部とバストトップのみを隠した、全裸での跳び蹴りシーンには一気に目が覚める。ドラマ史に残る名シーンと言っても過言ではないだろう。
相変わらず最近のテレ東ドラマは、時代に媚びずにやり切る力に長けている。旬のタレントに頼らず、ドラマ本来の面白さを追求する頑なな姿勢に感動。”低予算で面白いものを作る”といった点では、同枠前クールの『勇者ヨシヒコと魔王の城』よりも更に評価したい。特に目の肥えた大人たちに見て欲しいエンタメ性の高い作品。
★評価 [5点]
■『HUNTER ~その女たち、賞金稼ぎ~』
(火曜22:00~/フジテレビ系/平均視聴率9.8%)
元CAの米倉涼子、桐谷美玲ら5人の女たちが、報奨金目当てに容疑者逮捕に励む1話完結もの。展開は少々強引で非現実的。米倉と桐谷の顔の表情が乏しいせいか、逆に堀内敬子や戸田恵子の演技力の豊かさに感動してしまった。
米倉が主演という先入観もあり構えて見てしまったが、放送が終わるころに「これは軽い気持ちで見るべきだった」と後悔。予想を反しコメディー要素が強いため、見る側のテンションを間違えると戸惑ってしまう作品だ。初回を見る限り、米倉涼子とコメディーは食い合わせがいいようには感じられなかった。
米倉が歳を重ねたせいか、堀内敬子がママチャリに乗っているせいか、なんとなく『おばさんデカ 桜乙女の事件帖』(フジテレビ系)のタイトルが頭に浮かんだ。
★評価 [3点]
■『家政婦のミタ』
(水曜22:00~/日本テレビ系/平均視聴率19.5%)
松嶋菜々子演じるターミネーターのような無表情の家政婦・三田が、問題を抱える家庭に深く関わっていくホームドラマ。
キャスティングが絶妙。一歩間違えたらただの色物になりえる脚本を、松嶋、長谷川博己、相武紗季ら演者が一丸となって成立させている。
松嶋がAKB48のメンバーの名前を淡々と言うシーンが、シュールで最高。好き嫌いはあると思うが、シャレの分かる人にはおすすめのドラマだ。今後、ネタ切れ感が出ないことを祈りたい。
★評価 [4点]
■『蜜の味~A Taste Of Honey~』
(木曜22:00~/フジテレビ系/平均視聴率11.6%)
「榮倉奈々、菅野美穂、ARATAの壮絶な三角関係を描いた、大石静ならではの濃厚で官能的な大人の恋の物語」という謳い文句に放送前から今期で一番期待していた作品。
しかしフタを開けてみれば、”ほとんど人通りのない工事現場で子どもが下敷きになり、そこに菅野が偶然タクシーで通りかかり応急処置。さらにそこには榮倉も偶然居合わせる”という、韓流ドラマよろしく天文学的な確率のシーンを堂々と見せられ興ざめ。”ベタドラマ”と開き直るのなら、逆にもっと昼ドラ感や韓流感を出して、どっちかに振り切れて欲しい。
ただ、木村文乃演じる中国人留学生・頼陽華(らい・ようか)の、デリカシーがなく声がでかいキャラが、「大学の時、こういう留学生いたな……」という”あるある”としてアリ。
★評価 [2点]
■日曜劇場『南極大陸』
(日曜21:00~/TBSテレビ系/平均視聴率22.2%)
「TBS開局60周年記念の集大成。木村拓哉、南極に挑む!」「民放の大河ドラマの歴史が、 今、始まる!」とビッグに謳うだけあり、豪華な俳優陣、大量のエキストラ、大掛かりなセット、CG、壮大な音楽……と、否が応でもケタ違いの制作費を感じさせる作りとなっている。
1983年公開の『南極物語』のリメークと勘違いされがちだが、基本的に別物。キャッチコピーを比べても、映画が「どうして見捨てたのですか なぜ犬たちを連れて帰ってくれなかったのですか」というキャッチコピーだったのに対し、こちらは「その夢には、日本を変える力がある」。犬よりも戦後の時代と人間を重点的に描いていくようだ。
初回の2時間5分拡大版では、船が出港するまでの日本を舞台に展開。ネットでは、ユッサユッサと揺れる綾瀬はるかの胸が話題となっていたが、やはり主演はキムタク。「日本の夢を乗せる船にしたいんです!」と熱いセリフを連発するキムタク、犬に手を噛まれるキムタク、犬ぞりに乗り喜ぶキムタク……魅力的なキムタクの表情に胸キュン必至だ。また、CM中もキムタクが出演するニコン、タマホーム、トヨタのCMが流れまくり、これはもうTBS開局60周年に相応しいキムタクの祭典。
★評価 [4点]
■『俺の空 刑事編』
(日曜23:15~/テレビ朝日系/平均視聴率6.6%)
『サラリーマン金太郎』でおなじみの本宮ひろ志原作。主人公・安田一平役を、「芸能経験ゼロの新人」を対象に行われたオーディションで選出。この話題を聞くたびに、2000年に行われた伝説のオーディション「21世紀の石原裕次郎を探せ!」が脳裏に浮かんでいたのは私だけではないはず。
しかし放送中、ネット上では「溝端淳平が役にハマってる!」「溝端くん、前の髪型の方が良かった~」などと、主演俳優の庄野崎謙を溝端淳平だと思い込んでいる人が続出。確かに少し似てはいるが……。
ドラマはさすがの安定感。「捕まえなければならない奴は、捕まえるんだ!」など名言かどうかは分からないが、とにかく主人公の熱い叫びにも注目だ。今期、家族そろって見るのは、このドラマで決まり!
★評価 [4点]
■『私が恋愛できない理由』
(月曜21:00~/フジテレビ系/平均視聴率17.0%)
彼氏のいない女3人が、無駄におしゃれな部屋でルームシェアを始めるという典型的なトレンディードラマだが、近ごろこの手の作品がほとんどなかったため、逆に新鮮に感じる。
初回は要素を詰め込みすぎて展開がバタバタ。終始、慌しくはあったものの、大島優子の「あたしなんか、あたしなんか、バージンなんだから!」が聞けただけですべてよし。
★評価 [3点]
そんなわけで、10月後半にはこれから始まる『妖怪人間ベム』(日本テレビ系)や、『相棒season10』(テレビ朝日系)など12本をレビュー予定。忙しくてドラマが見られない方も、代わりに見ておきますので一先ずご安心をば。
(文=林タモツ)
テレ東甘く見んなよ!
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