「山口組が”暴排=憲法違反”で訴える!?」警察庁・安藤長官勇退の裏事情
#暴力団 #暴排条例
全国警察組織のトップで、暴力団対策の陣頭指揮を執ってきた警察庁の安藤隆春長官が勇退することが14日に決まったが、その理由についてさまざまな憶測が飛び交っている。
10月から東京でも施行され、暴力団対策の決め手ともいわれている暴排条例だが、芸能界では暴力団と接点のある可能性があるタレントの起用を控える動きが顕在化するなど、さまざまな業界でその対応が活発化している。しかしその一方で、現場ではいまだに「具体的に何をしたらアウトなのかよく分からない」といった戸惑いの声も多く聞かれる。
暴排条例では、暴力団員やその密接交際者と認定されると、銀行取引を停止されたり、不動産の賃貸契約もできなくなるなど、通常の日常生活も困難になるような厳しい状況に追い込まれる。密接交際者と認定されると氏名を公表される可能性もあるが、たとえ暴力団員との交流を繰り返したとしても、それ以外に不法な行為をしていることを特定できない人物の人権をそこまで制約できるのかという問題や、そもそも”密接”の基準が明確ではなく、その最終的な判断は「事実上、警察の胸先三寸で決まる」(警察関係者)という問題もある。
また、条例施行前から警視庁には、元暴力団員から「マンションの契約更新をしてもらえなかったが、俺たちはどうしたらいいのか」といった相談が寄せられたりもしているという。
そうした状況下、芸能界などで誰が”条例適用第1号”となるのか注目を集めているが、警視庁ではすでに摘発に向け、「切符(逮捕状)を取る動きが活発になっている」(同関係者)という。
摘発が行われた場合、それに伴ってさまざまな問題が表面化する可能性もあり、「山口組が、『暴排条例は基本的人権を不当に制約する憲法違反だ』という裁判を起こす準備を密かに進めている」(同関係者)との話もある
安藤長官は、自らの出身地である愛知県を本拠地とし、現在の山口組の中核組織といえる弘道会の摘発に力を入れるなど、暴力団対策を強力に進めてきたことで知られる。任期は来年3月までだったため、それまでに「どれだけ成果が出せるのか」と注目されていた。
それだけに、今回の唐突な勇退は少し不可解で、「何かスキャンダルがあるのでは」「健康問題でも抱えているのではないか」といった憶測も飛び交っているのだが、前出の警察関係者は、こう語る。
「暴排条例による摘発などが具体化すればさまざまな問題が起こり、安藤長官にも火の粉が降りかかる可能性がある。万が一、現職の長官が辞任でもする事態になれば、それは警察組織全体の失態になってしまう。そのため、トラブルが顕在化する前にトップを変えたのではないか。次の長官は直接の当事者ではないので、たとえ何か問題が起こっても、個別に対応するだけで済みますからね」
現場に近い警察関係者までこうした見方をするのは、今回の暴排条例について、警察のトップを含めた上層部と現場の認識にもさまざまなギャップがあるからともいえそうだ。
ちなみに、関東の広域暴力団関係者は一連の動きについて、こう語る。
「関東の組織は昔から、山口組のように裁判を起こすとか、表立ってお上に逆らうような動きはしない。それでも暴排条例について、うちうちでは『あれは憲法違反だろ』といった話はしているけどね」
また今後については、「確かに表立った動きはしにくくなったが、だからといって我々の”仕事”がなくなるわけじゃない。目立たないよう動くだけだ」とも話す。
安藤長官は暴排条例だけでなく、暴力団対策法の改正にも取り組むなど暴力団対策に力を入れてきたが、万が一、暴排条例が憲法違反と認定でもされたら、暴力団対策が後退してしまう恐れまであるのではないか……。
暴排条例に基づく摘発はまもなく表面化するとみられるが、安藤長官勇退の真相も含めて、今後の動向がますます注目されることになりそうだ。
(文=ジャーナリスト・杉原章一)
たたけばホコリが出てくる出てくる。
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