辛酸なめ子さんの至言「なんか、つい交尾の話とかしちゃうんです」(前編)
#インタビュー #対談 #サブカルチャー #小明 #辛酸なめ子 #大人よ教えて!
モテない、金ない、華もない……負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第29回のゲストは、月刊「サイゾー」連載『サバイバル女道』が書籍化された、辛酸なめ子先生です!
[今回のお悩み]
「友達がいないですね……」
――なめ子先生、お久しぶりです! 本当になめ子先生にはお世話になりっぱなしで、私の活動はほぼ、なめ子先生リスペクトというか、劣化コピーの出来損ないみたいな……本当にすみません。私はAKR19っていうユニットを1人でやっているんですけど、これもなめ子先生の”ひとりt.A.T.u.”のマネですもんね。
辛 ああ、ありがとうございます、そんなそんな。
――もうt.A.T.u.のようなソウルメイトは見つかりましたか?
辛 見つかってないですね、友達自体いないというか、それを逆に相談したいですね。
――すみません、友達は私もいないです……。
辛 学生時代の頃の友達が僅かにいるくらいで、どんどん人と疎遠になっちゃうんですよね。お酒も飲まないので、人の宴会に行かなかったり、ノリが悪いから次から誘われなかったり、そういうことが多いです……。でも、小明さんだったらカラオケも歌えるし大丈夫なんじゃないですか?
――カラオケなんて1人でしか行けないですよ! 中島みゆきとか森田童子とかが好きなんで、他人と行くと、「ふつう今の流れでそういう歌いく?」みたいな空気読めない人になりそうで……なのでカラオケは1人で行って、好き放題暗い歌を歌ってますね。
辛 なんか霊が集まってきそうですね……。
――いつからこうなっちゃったのかな……。
辛 私もこの前、セドナから来たグレッグっていうスピリチュアル系のヒーラーに「8歳くらいまでは明るい性格だったのに、そこから急に暗くなりましたよね」みたいなことを霊視されて、確かに幼稚園までの写真はすごい良い笑顔なんですよ。それで、グレッグに「そういう自分の殻を破って明るくなるために、ピエロ教室に通いなさい」って言われて……。「ピエロ教室?」と思ったんですけど、「もし東京のピエロ教室が知り合いに会いそうで恥ずかしかったら、横浜のピエロ教室とか、少し遠くでもいいですよ」って。でも、ピエロ教室自体、少ないですよね。
――セドナでは割とメジャーなんですかね。
辛 グレッグが言うには、毎週ピエロ教室に通ってピエロになりきってジェスチャーをすれば、解放されてもっとポジティブになれるらしくて。なのでピエロ教室を探してたんですけど、まだ見つかってないですね。
――過剰におどけて自己嫌悪しての繰り返しで、むしろ躁鬱が激しくなりそうな気がするんですが……。もっと普通に、ダンス教室とかカルチャースクールが良いんじゃないですか?
辛 ダンスだったら、この前プライベートで少女時代のダンスを教えてくれるところを検索して、そこで「Mr.TAXI」とかを踊ったんですけど全然ダメで……。レッスンが始まる前は20代前半の子に「その靴かわいいね」とか言われてなんとなく仲良くなれそうだったんですけど、ダンスが始まったら私があまりにも下手すぎたのか、帰る時にはもう無視で、話してくれなかったですね。
――切ない経験をされましたね……。
辛 うん……。
――サイゾ-で連載されている「サバイバル女道」もそういう切ないけどためになるお話がたくさん載ってますよね。あ、この度は書籍化おめでとうございます! 連載何年で書籍化に?
辛 あ、ありがとうございます。連載は2年ぐらいですね。当初は本当に世の中が平和だったので、「サバイバル女道」ってタイトルでやってましたけど、今、本当にサバイバルが必要な状態になってしまって……。ただ、本当に「地震の時どうすべきか」みたいなのは全然載っていないので、そういうのを期待して買った方にはぜんぜん役に立たないんじゃないかと心配です。
――あはは! 安全な野菜をダウジングで見分ける方法も載っていますし、あながち間違ってはないかもしれないですよ! うちの姉も放射能の数値を気にして偽物のガイガーカウンターをつかまされたので、読ませてあげたいです。それにしても、なめ子先生は連載もすごい数だし、本もたくさん出されていますよね。どのようにして毎日お仕事をこなしていらっしゃるんでしょうか?
辛 単発の仕事も入れて、1日2本以上は何かを終わらせるくらいですね。あとはプライベートを捨てるとか……。本は、書いていたものがたまったら出版社の方の意向次第です。
――なるほど~。私のこの連載も29回目になるんですけど、書籍化どころか、つい先日も副編集長さんにタイトルを間違えられて……2年以上やっているのに名前すら覚えられていないんだから、書籍化は遠そうです。
辛 ……タイトルが長いですもんね?
――優しいフォローありがとうございます。「大人よ教えて」って言ってる私も既に大人ですし、なんとなく無理があるのは分かってるんです。……それにしても「サバイバル女道」は2年以上も連載しているのに、よくネタに困りませんね。毎回どこに取材に行くかはご自分で決められてるんですか?
辛 そうですね。その時の話題性によって……たとえばノリピーが話題だった時は日本ダルク本部(薬物依存リハビリセンター)に行くとか、いろいろです。本部でお話させていただいた方は、ぜんぜん年上だったんですけど独特の色気を感じましたね。
――修羅場をくぐった人間のフェロモンみたいなものがあるのかな、ノリピーだって40歳で子供もいてしかも覚醒剤の人なのに、子供も産まず薬もやってない20代の私よりも断然輝いていて……もっと悲惨な姿になっていないと、ドラッグのイメージアップになってしまうじゃないですか! 謝罪会見のノリピーだって完全にかわいくて、周りの男性とか皆ちょっと許してましたよ!
辛 許してましたね……! その後も通信制の学校に行って、イメージVTRとかも楽しそうでしたもんね。でも、ダルクの人に取材をしたら、覚せい剤はやっぱり一番ダサいというか、バカにされるみたいです。ヘロインやコカインの方がおしゃれというか……レディ・ガガとかもコカイン中毒でしたもんね。
――えっ!! そうなんですか!? ガガは厳しい両親の元でカトリックの学校に行ってたと聞いたんですが、その反動なんでしょうか? そういえばなめ子先生もご両親が教職でお嬢様学校ですよね。
辛 満たされてるから好奇心が旺盛になったりするのかもしれないですね、私はやったことはないんですけど……。昔、高校の友達にマジックマッシュルーム(当時は合法)を試そうと誘われたけど断りました。
(後編につづく/取材・文=小明)
●しんさん・なめこ
1974年、東京都生まれ。マンガ家・エッセイスト・セレブ、スピリチュアル、女磨きなどをテーマに、数々の作品を発表。「週刊文春」(文藝春秋)など多数の連載を抱えている。月刊「サイゾー」連載をまとめた書籍『サバイバル女道』が絶賛発売中。
●あかり
1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。
ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/>
サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
じつは「サイゾー新書」の第1弾です。
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