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【TAF2011】半年遅れのアニメアワード表彰式!

「分裂の危機を回避していきたい」ノイタミナ山本PがTAF問題に言及

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 東京都青少年健全育成条例(以下、都条例)改正に伴い、これに反発するコミック10社会が参加を取り止め、開催が危ぶまれていた東京国際アニメフェア(以下、TAF)2011だが、最終的には東日本大震災の影響により中止となった。TAFと同日に開催予定だったアニメコンテンツエキスポも中止となり、以後、この分裂状態は解消されていない。

 イベントそのものが中止になってしまったため、TAF2011内で実施を予定していた「第10回 東京アニメアワードコンペティション」(以下、アニメアワード)の表彰式と「第7回 功労賞」の顕彰式も延期になっていたが、その式が10月10日、東京ビッグサイトで行われた。

 この会場で一歩踏み込んだ勇気ある発言をしたのが、”ノイタミナ”の山本幸治プロデューサー(株式会社フジテレビジョンクリエイティブ事業局映像コンテンツ事業部)だった。ノミネート作品 テレビ部門 優秀作品賞に『四畳半神話大系』が選ばれ、受賞に際してコメントを発したときのことである。

「ノイタミナという放送枠を、もう7年くらいやっているんですが、『四畳半神話大系』という作品と湯浅政明という監督は圧倒的に個性的な人、作品でした。まさか、『ガンダム』(機動戦士ガンダムUC)や『けいおん!!』(2期)に並んで賞がいただけるとは思っていなかったですし、そんなアヴァンギャルドな作品に賞をくれるTAFのアワード、素敵じゃないか、と思っております。

 ここからは個人的な話になるんですが、そんな作品やクリエイターを公に評価する、していただける場はなかなかありません。とても貴重な場だと思っておりますが、一連の都条例問題以降のゴタゴタは非常に残念で、力を合わせて、先ほど個人のクリエイターの方のおっしゃってきたように、”日本を元気にする”ため、分裂の危機を回避していきたいと思っております。我々も頑張ります」

 公募作品で世界のクリエイターを、ノミネート作品で”アヴァンギャルド”なプロの制作者を、功労賞で道を切り拓いてきた先達を称え、あるいは奨励するアニメアワードは、山本プロデューサーがいうように貴重な場であることは間違いない。

 今回、OVA部門では『機動戦士ガンダムUC』が優秀作品賞に輝いているが、同作品の小形尚弘プロデューサーが「なかなかこういった賞とはご縁のないロボットアニメなんですが、こだわりを持ってこれからも作っていきたい」と言うように、賞レース向きではないジャンルアニメに対しても優れた作品であればフェアに評価するという面を持っている。

 しかし、それも片肺飛行では意義を失いかねない。TAF2012は来年3月22日から東京ビッグサイトで開催が決まっている。一方、アニメコンテンツエキスポに2回目があるかは未定だ。

 統合か、それとも分裂か。あるいは片肺のままTAFだけが開催されるのか。この問題を決着させないとすっきりしない。いつまでも震災でうやむやにしておくわけにもいくまい。

 功労賞の顕彰式は素晴らしかった。やはり長い人生を歩んできた人々の言葉は重く、そして深い。

 『キューティーハニー』『魔女っ子メグちゃん』『ベルサイユのばら』『聖闘士星矢』で知られるアニメーター荒木伸吾のコメントに込められた思いは多くの制作者に共通するところかもしれない。

「私は約45年間アニメーションの原画を描いてきましたが、その中で自分が一番よかったなと思うのは、アニメを見て育った子どもたちが、私の絵を通して物語の中から素晴らしいものを夢描いてくれたことです。今になって本当に、アニメーションの原画を真剣に描いてきたことを、誇りに思います。アニメーターというのは非常に地味な存在で、でも一番肝心なところを受け持っている絵描きたちです。その人たちが、アニメーションの難しさの中で進んでいくには、目標が必要です。その目標を見失わないように、初めは苦しいんですが、目標に向かって自分を励ましながら描いていってほしいと、後輩たちに言いたいです。

 私はこれからもアニメーションや漫画を描いて、その中から、自分としてここまでやってきたんだと、満足できるところまで……手が震えていますが(苦笑)、なんとか自分を励ましながらやっていきたいと思います。今日は本当に私だけじゃなく、アニメーターを代表してこの賞をいただいていきます」

taf201102.jpg冨永みーなが永井一郎に顕彰状を渡す。

 今回は『サザエさん』の加藤みどり(フグ田サザエ役)、永井一郎(磯野波平役)、麻生美代子(磯野フネ役)、貴家堂子(フグ田タラオ役)が顕彰されている。サザエの弟、三代目磯野カツオ役を演じる冨永みーながサプライズゲストのプレゼンターとして呼ばれ、顕彰状を授与する際には、「ねえさん」である加藤みどりから笑いが漏れた。

 日本の本格的な商業アニメには『鉄腕アトム』から数えて既に50年近い歴史がある。最大級の地震、津波、原発事故に襲われたことしがほぼ世紀の折り返し地点。ここからアニメをどうしていくのか。課題が突きつけられている。

 受賞者と受賞作品は以下の通り。

◆アニメアワード《公募作品》/応募396作品
公募作品グランプリ 『Trois Petits Points』(フランス)
一般部門 優秀作品賞 『Thought of You』(アメリカ合衆国)『フルーティー侍』(日本)
学生部門 優秀作品賞 『HONG』(中国)『MOBILE』(ドイツ)
特別賞 『くちゃお』(日本)
企業賞 東京ビッグサイト賞 『SWING』(台湾)
CortoonsItalia 2011 『CHILDREN』(日本)
入選 『farm music』(日本)『ユートピアン』(日本)

◆アニメアワード《ノミネート作品》/415作品 
アニメーション オブ ザ イヤー 『借りぐらしのアリエッティ』
テレビ部門 優秀作品賞 『けいおん!!』『四畳半神話大系』
国内劇場映画部門 優秀作品賞 『借りぐらしのアリエッティ』
海外劇場映画部門 優秀作品賞 『トイ・ストーリー3』
OVA部門 優秀作品賞 『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』
個人部門
監督賞:米林宏昌『借りぐらしのアリエッティ』、脚本賞:丸尾みほ『カラフル』、美術賞:武重洋二/吉田昇『借りぐらしのアリエッティ』、キャラクターデザイン賞:馬越嘉彦『ハートキャッチプリキュア!』、声優賞:豊崎愛生『けいおん!!』、音楽賞:CECIL CORBEL『借りぐらしのアリエッティ』

◆第7回 功労賞
有賀健、荒木伸吾、小隅黎、勝間田具治、浦田又治、雪室俊一、神原広巳、千蔵豊、加藤みどり、永井一郎、麻生美代子、貴家堂子
(取材・文・写真=後藤勝)

四畳半神話大系 第1巻

おめでとうございます。

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最終更新:2013/09/11 11:43
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