もう貧乏人なんていない!? 『ボンビーガール』『銭金』……貧乏番組が行き詰まりのナゼ
#テレビ #バラエティ
『幸せ! ボンビーガール』(2011年4月20日~9月14日。9月28日にスペシャル放送/日本テレビ系)のほか、9月11日には『愛の貧乏脱出大作戦 特別編 愛の復興大作戦』(テレビ東京系)が放送され、さらに9月28日には、貧乏ブームの先駆けともいえるバラエティー番組『銭形金太郎』(テレビ朝日系)もスペシャルとして、約4年ぶりに復活。不況、震災と、日本経済の低迷が続く中、このところ、テレビでは貧乏番組が次々に放送されている。いま、テレビでの貧乏ネタ需要が増えているのだろうか。テレビ関係者に聞いた。
「震災以降、日本全体が元気になりたいと思っている雰囲気があり、『貧乏の中でもイキイキ暮らしている人』から元気をもらいたい、という需要は確かにあります。『銭形金太郎』も、深夜にやっていたころに『番組を見て自殺を踏みとどまった』なんて人がいましたし、貧乏な中で確固たる自分を持っている人は好感を持って見られるし、元気をもらえるということはありますね」
とはいえ、今回の『銭形金太郎SP』に関しては、「過去のVTR部分の方が面白かった」という声も多いし、『幸せ! ボンビーガール』も半年で終了している。
「おそらく『幸せ! ボンビーガール』も出発点は『”銭金”みたいなもの』ということだったのだと思いますし、それが意外と数字が良くて、そこから本家の『銭金』も復活したのではないかと思います。貧乏ネタは、需要はあるのですが、”貧乏な人”を探すのが難しいということはありますね」(同関係者)
たとえば、『銭形金太郎SP』は約4年ぶりの復活だったにもかかわらず、紹介されたケースは「月収8万円のうち5万円は父親からの仕送り&エアコンもある豊かそうな部屋暮らし」「お客さんからの貢物&綺麗なマンションに住むアイドル」など、あまり貧乏に思えないものばかり……。また、ほとんどが「芸人」「アイドル」など、非一般人というのも、特徴的だった。
「一般人に出演してもらう場合、承諾書を取るなどが必要ですが、そこまでしても、当日になって収録に来ないパターンもけっこうあります。そうすると、責任を負ってくれる人が必要になるので、芸人などを探す番組が多いんですよ」(テレビリサーチャー)
さらに、”貧乏”そのものが減っていることもあると言う。
「いまは、『築何十年でトイレ共同、家賃2~3万円』みたいな物件自体がどんどん取り壊されてなくなっていますし、携帯でいくらでも情報が調べられるので、バイトで収入が少しはある人がほとんどなんです」(同リサーチャー)
確かに、情報がたくさんあるだけに、収入も何らかの形でそこそこ得られる現代。さらに、昔はPCやエアコンを持っているだけで豊かな暮らしに見えていたが、いまは家電そのものも安くなっているため、「いかにも貧乏暮し」の人は少なそうではある。
「それに、昔は情報がないから、なんとかオリジナリティーで工夫するのが面白かったんですが、いまはヘンに情報が溢れて賢くなってしまっているので、『あれ、俺、ヘンなことやってる?』と途中で気付いてしまう。突っ走りにくくなっているので、オリジナリティーが生まれにくいという面はありますね」(同リサーチャー)
「貧乏でも明るくイキイキ生きる人」から勇気・元気をもらいたいという需要はあるものの、現実的には、貧乏番組もさまざまな難しさがある時代になってしまったようだ。
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