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【元木昌彦の「週刊誌スクープ大賞」第109回】

「綾瀬はるかの顔の横にペニスがズラリ!?」ポスト渾身のセックス特集

ranking111003.jpg「週刊ポスト」10月14日号 中吊り広告より

第1位
「仰天!男の『サイズ』を測る女たち」(「週刊ポスト」10月14日号)

第2位
「雅子さま愛子さま校外学習に宮内庁記者が『税金泥棒』『異常な母子』」(「週刊文春」10月6日号)

第3位
「円高ユーロ安で得する法」(「週刊朝日」10月14日号)


 光文社の写真週刊誌「フラッシュ」が相当厳しいようだ。東日本大震災や島田紳助騒動でやや持ち直したものの、それでも実売率は60%程度で普段は50%前後だという。実売も10万部ぐらいで人件費や経費を切り詰めてもギリギリ、いつ休刊になってもおかしくないようだ。

 かつては「フォーカス」(新潮社)、「フライデー」(講談社)、「フラッシュ」など5誌で約600万部もあった写真週刊誌だが、いまや「フライデー」がやや健闘しているだけになってしまった。

 紳助と暴力団組長の写真を「フライデー」がすっぱ抜いたように、まだまだ写真週刊誌がやれることはあるし、ものによっては写真の持つ力は活字よりも大きい。「フラッシュ」にも最後の踏ん張りを見せてほしいものだが。

 さて、「週刊朝日」と「ポスト」が怒っている。先日の小沢一郎の秘書3人の判決に対してである。「朝日」は「裁判所の暴走」、「ポスト」は「小沢『抹殺裁判』」と、口を極めて「こんな判決がまかり通るのはおかしい」と、まるで小沢の機関紙のように批判している。

 東京地裁登石郁朗裁判長は「水谷建設」からの裏献金について「合計1億円を小沢事務所が要求し、被告人石川と同大久保が受け取ったことは、合理的な疑いなく認められる」とし、犯行動機を「被告らはゼネコンとの癒着が公になることを恐れ、犯行におよんだ」と断定した。

 また、小沢がこれまで曖昧な説明に終始していることに対しても「4億円を用意した小沢の供述も変遷を繰り返しており(中略)信用できない」と指摘し、「被告らは法の趣旨を踏みにじり、政治活動や政治資金に対する国民の不信を増大させた社会的影響を見過ごすことはできない。不合理な弁解を弄して責任を頑なに否認し、反省の姿勢をまったく示していない」として有罪判決を下した。

 両誌の批判の要点は、裁判は法と証拠に基づいて進められるべきなのに、裁判官は初めから「推定有罪」という予断をもって判決を出したという点だ。

 「裁判所は検察のメンツを立てたのです」(魚住昭=朝日)と、裁判官は常に検察の方に顔を向けているから無罪判決を出す勇気などないと断じる。

 「この国が恐ろしいのは、すべての権力が同じ方向を向いて走り、正義よりも自分たちの足下ばかり気にしている点だ。(中略)このような裁判がまかり通り、誰も『おかしい』と口を開かなくなれば、小沢自身も『有罪確定』と見て間違いない」(ポスト)と、このままではこれから始まる小沢の裁判も有罪判決が出る可能性が高いと危惧している。

 私も、この判決は「あまりにも政治的」で「検察不信を払拭しようという司法の巻き返し」という底意があるように思う。だが注目すべきは、これが小沢時代の崩壊が始まった中で出されたということである。もはやこの流れは止めようがない。

 小沢の父・佐重喜は69歳で亡くなっているが、小沢も同じ年になった。角栄になれなかった男はどう自分の政治家人生を締めくくるのだろうか。私の関心はそこにある。

 今週の3位は、世界第2次恐慌までささやかれる中、いささか脳天気な「朝日」の記事。たしかにユーロ危機は深刻だろうが、こちとらビンボー人には「資産はこうして守れ」と言われても守るべき資産などない。ならば円高、ユーロ安で何かいいことはないのか。

 並行輸入ならブランド品が半年前の3割安で買えるという。6万円のカルティエの長財布が3万9,000円、12万円のグッチのトートバックが9万6,000円だそうだ。

 大手スーパーでは差益還元セールをやっているし、楽天市場やヤフーショッピングでもやっているから、オリーブオイルや岩塩、バルサミコ酢がお買い得だという。高級ワインなども昨年に比べて1~2割安で、楽天のワインショップは「シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ」2万1,800円を1万9,800円に引き下げたというが、自慢じゃないがこちとらワインは2,000円以下のものしか飲まないから関係ないね。

 旅行は、大手ツアー会社は半期に一度しか見直しをしないから安くなるのはまだ先。狙いは個人旅行で、日本語のページもある世界最大旅行予約サイト「エクスペディア」がお薦めだそうだ。

 このままいくと、輸入牛肉を使っているであろう「すき家」の牛丼も200円になるかも。

 第2位は皇室ものでは昔から定評のある「週刊文春」の雅子妃についての記事。

 宮内庁記者会といえば”上品”な記者たちが毒にも薬にもならない質問でお茶を濁すと思っていたが、こと雅子妃に関してはそうではないようだ。

 ことの発端は先日行われた学習院初等科2泊3日の山中湖校外学習。これに雅子妃が同行したいと言い出したため厳戒態勢がとられ、山梨県警数十名も動員された。その上、雅子妃は愛子さまを含めた児童が宿泊したホテルの「インペリアルスイート」(1泊12万円)に泊まったことだった。

 「文春」によれば9月22日、怒気を含んだ記者の声が宮内庁の報道室に響き渡った。

「今回のお付き添いは、極めつけの茶番ですよ。皇室の尊厳もくそもない!」

 また別のベテラン記者はこう言った。

「(中略)震災から半年、国民が大増税の時代を迎えようとしているその時期に妃殿下は校外学習でインペリアルスイートに泊まられた。常識的に考えられない出費。”税金泥棒”との批判を受けるかもしれません。それを許した(皇太子)殿下はどうお考えなのですか」

 毎日のように通学に付き添い、別室で授業が終わるまで待機して一緒に帰る愛子さまと妃殿下に対して「異様な母子」という言葉まで飛び出したというのである。戦前だったら間違いなく不敬罪で逮捕だね。

 羽毛田信吾宮内庁長官も定例会見でこうコメントしている。

「校外学習ができたのは良いのですが、通常の形でないのは心配している」

 この発言の裏には、両陛下が雅子さまのやり方に疑義を持たれていることがあるのではないかといわれる。

 これから年末にかけて皇后さま、愛子さま、雅子妃、天皇陛下の誕生日が続く。そのときの会見で天皇陛下から、愛子さまの教育方針についての”不信感”が発せられないかと周囲はハラハラしているようだ。

 皇室は世の中を映す鏡であるが、世の中が大乱のときこそ泰然として、われわれを温かく見守ってほしいと思うのだが、なかなかそうもいかないようである。

 今週のグランプリは「ポスト」のセックス特集。おそらく、こうした記事がトップになったのは初めてではないか。快挙である。

 これを選んだ理由は2つある。ひとつはこの特集が、われわれの世代には懐かしい「微笑」や「新鮮」という雑誌を取り上げているからだ。

 今ひとつは、このページの右に綾瀬はるかのカラーグラビア、それもかわいい~顔のアップがあるからだ。はるかの顔のアップとさまざまなペニスの写真が載っている「サイズを測る女たち」を左右に並べたレイアウトは素晴らしい。

 祥伝社から出された「微笑」(隔週刊誌)と「新鮮」(月刊誌)は、1970年代前半から90年代半ばにかけて大きなセンセーションを巻き起こした女性誌である。まだ性に関しておおっぴらに話せる雰囲気ではなかった時代に「愛棒身悶えるナメ方研究」「膣圧時計」「ペニス勃起度ゲージ」という特集を「淑女」たちがこぞって読んだのだ。

 ペニスはもちろんヴァギナ、オナニーという単語が誌面に躍り、性をエンターテインメント化したのである。

 これを創刊したのは今年80歳を迎えた櫻井秀勲である。櫻井は光文社にいて「女性自身」を国民雑誌にまでした伝説の編集長である。私が講談社に入ったときは残念ながら光文社の労働争議で辞められた後だったが、私を含めて多くの編集者にとって編集のバイブルのような存在である。

 記事の中に「女を濡らした傑作タイトル選」がある。これが素晴らしい。「未確認ぶら下がり物体 よい『KOGAN』を見分ける」「ほのぼのレイプ」「本格膣圧計・ペニス長大器プレゼントつき!名器・名刀づくりカード」「1日10分!『締まるワギナ』蘇生ヨガ」

 櫻井インタビュー「毎号、牢獄に入る覚悟で作っていました」もすこぶる面白い。

 「微笑」が発売されて女性が自分からセックスに興味があるといえる環境ができたが、女性を性に目覚めさせたのは「微笑」ではないという。はるか昔からそういう女性がいたことを松本清張の『菊枕』を読んで知ったそうだ。女流俳人・杉田久女をモデルにした作品だった。時代を問わず悶々と性に悩む女性を檻から解放したい、そうした思いで「微笑」を作ったのだと話す。

 彼の雑誌を成功させる技術のひとつに「振り子理論」がある。

「右に90度振り切って、左にも90度振り切る。『名器になりたい! この膣鍛錬で』という企画をやる一方で、『女性差別の原風景』という特集も組む。この”振り幅”が大きければ大きいほど、雑誌はウケる」

 私も週刊誌編集長時代に「ヘア・ヌード」と「小沢一郎批判キャンペーン」をやって成功したが、これも振り子理論に当てはまるのだろう。

 編集者諸君! 編集の奥義の詰まったこの特集を大至急読むべし。
(文=元木昌彦)

motokikinnei.jpg撮影/佃太平

●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。

【著書】
編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか

an・an (アン・アン) 2011年 9/7号

ananのセックス特集なんて大したことない?

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最終更新:2013/09/11 12:33
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